江尻かな県政ニュース 2025年5月号

江尻かな県政ニュース 2025年5月号表 江尻かな県政ニュース 2025年5月号裏

寄せられた声をもとに知事に質問 こんな県政でいいのか

県議会議員 江尻加那

江尻県議は3月の議会で、大井川知事2期8年の県政運営をふまえ、2025年度予算と施策について質問しました。

県の一般会計予算は、税収も歳出も過去最大。しかし知事は、グローバル大企業誘致に新たに100億円の補助を創設。ムダな霞ケ浦導水事業に年間予算で初めて100億を超える111億円を投入。茨城空港には平行誘導路計画を打ち出し、自公政権と一体で大企業・大型開発に大盤振る舞いです。

一方、物価高や医療・介護・教育の負担に苦しむ県民への支援策は余りにも不十分で、救急搬送患者に選定療養費の徴収も導入してしまいました。
知事の独断専行と実績づくり、忖度や非公開が、パワハラや過重業務の温床になっているのではないか、検証が必要です。

企業誘致競争や県有施設の売却・廃止、県立進学高校に13校も全国最多の中高一貫校をつくるなど、その下で職員や子どもたちが苦しんでいます。

知事は、1人あたり県民所得(※)が「全国3位になった」と吹聴していますが、県民に実感はありません。企業所得は10年間で1.2倍に増えましたが、雇用者報酬は伸びずに実質賃金は目減り。会社の儲けに対する人件費割合を示す労働分配率は、全国平均72.4%に対し茨城は64.5%と下回っています。

県民への情報公開も不十分で、72ある県審議会のうち6割が非公開。東海第二原発避難計画検証委員会や茨城空港あり方検討会も非公開です。

また、県が日立市に建設する新産業廃棄物処分場の搬入道路について、日本共産党がルート決定過程を開示請求しても肝心部分は黒塗り。不服申し立ては3年半棚上げ状態です。処分場の用地選定をめぐる業者との癒着疑念に対しても、知事は「偶然です」と居直っています。

江尻県議は、県民本位の県政に切り替えることを求めて質問しました。

※1人あたり県民所得・・・企業所得、財産所得、雇用者報酬の合計をその県の人口で割った経済的豊かさを測る指標

日本共産党 県政チェック

江尻かな県議 3月議会一般質問と答弁の全文はこちらから

1. 救急搬送患者への選定療養費徴収は見直しを

【江尻質問】
救急車で大病院に搬送され、医師が「緊急性なし」と判断した場合に概ね7,700円を徴収する県制度は見直すべき。救急患者の受入病院や休日夜間診療を拡充するために医師の確保や財政支援を行い、救急医療を守ることが県の役割ではないか。

【知事答弁】
救急車の適正利用や救急医療のひっ迫緩和に一定の効果があったと考えており、選定療養費の徴収をやめることは全く考えていない。医師については「数」の確保ではなく、「偏在」を是正することが重要と考えている。

徴収件数
開始から3か月で940件、搬送数の4.2%との報告。

2. 学費の負担軽減へ支援を

【江尻質問】
制服や学用品が値上がりし、県立高校ではタブレット端末約6万円が自己負担とされ、入学支援金が必要ではないか。卒業後の進学を支援する県奨学金は、給付型の拡充を求める。

【教育長答弁】
県の基礎調査でも「教育費の負担軽減」を求める声が多かった。低所得世帯に対して高校タブレットの貸与や購入補助を行い、中学校の部活動地域移行による参加費など負担軽減に努める。県奨学資金は国の給付型奨学金と併給が可能であり、基準を満たす全ての学生が利用できるよう枠を多く設けている。

奨学金返還支援
★支援実施自治体(15市町)
日立市、石岡市、結城市、常陸太田市、高萩市、ひたちなか市、稲敷市、かすみがうら市、桜川市、神栖市、茨城町、大洗町、阿見町、境町、利根町

3. バス、タクシーを利用支援し、高齢者の「足」確保を

【江尻質問】
健康長寿にもつながる支援として、「茨城版シルバーパス」を創設して地域の公共交通を利用しやすくしてはどうか。

【政策企画部長答弁】
県は、市町村のコミュニティバスやデマンドタクシーの導入を支援しているが、高齢者の運賃割引補助は多額の財源が必要となるほか、通学・通勤利用者など他の世代との公平性から課題があると考える。

公共交通支援予算
県は2025年度予算で、民間乗合バスやタクシー、鉄道など公共交通事業者に対し、「経営改善支援」や「バス運転士緊急確保」のための補助(3億8800万円)を支援することにしました。

4. 県立学校も給食無償に

【江尻質問】
水戸市や城里町など県内半数の21市町村が小・中学校給食を無償化している。県立特別支援学校や県立中学校などでも無償化するとともに、すべての市町村で実施できるよう県の半額補助を求める。

【教育長答弁】
学校給食は、児童生徒の心身の発達と「食育」への理解を得る上で重要な役割を果たしている。市町村立学校の給食費の半額を県が補助した場合は約56億円、県立学校は約2億円かかると見込まれる。現在、国が無償化の実施をめざす動きがあり、動向を注視していく。

有機給食
有機農産物を活用している水戸市、城里町、常陸大宮市、つくば市、笠間市、石岡市、かすみがうら市、行方市をはじめ、給食の「質」と「安全」のために現場は工夫や苦労を重ねており、県の財政支援が必要です。

5. ムダな導水開発、広域化やめよ

【江尻質問】
県は、市町村の水道事業を県に一体化させようとしているが、経費や職員の削減ではなく、耐震化や災害時の対応を強化すべき。そのためにも税金ムダづかいで環境破壊の霞ヶ浦導水事業は中止を。

【知事答弁】
21市町村と一体化協定を締結し、1,137億円以上のコスト削減を見込んでいる。水道技術者は最優先で確保に努める。導水事業(2,395億円/那珂川~霞ヶ浦~利根川を地下トンネルで通水)計画は破たんしておらず、石岡トンネルが完成すれば通水実施を国に要望している。

水戸市が契約解除
水戸市は自前の水道で充足できるとして「一体化」に参加せず、県の高い水を買う契約(毎年1億4千万円)の解除を決断。共産党の長年の追及がようやく実り、水道料金の抑制や耐震化につなげていきます。

6. 茨城空港の安全と就航・集客促進 基地の軍備増強と両立しない

【江尻質問】
自衛隊基地と一体の茨城空港で、1時間1~2便の国内・国際線を8便に増やすための新誘導路建設は、基地反対地主から土地を買収、収容するというのか。政府は百里基地に最大500億円を投入し、戦闘機の隠ぺい施設や生物化学兵器に対応する施設強靭化を実行する計画。こんな軍備増強と就航・誘客促進は成り立たないのではないか。

【知事答弁】
誘導路設置は、国が今後の需要や必要性を踏まえて判断するもので、現時点で土地収用について答弁することは差し控える。具体化にあたっては、関係者の理解が得られるよう取り組む。

7. 東海第二原発 原電に再稼働の資格なし

【江尻質問】
「原発を最大限活用する」とした自民党の政治資金団体に、原子力産業協会会員企業から11年間に76億円超の献金が渡っている。 東海第二の再稼働をめざす日本原電も会員。防潮堤の欠陥工事や火災を多発させており、県は再稼働はやめさせるべき。

【知事答弁】
原電幹部から「これまでの火災はたいしたことではない」との意識が端々に感じられた。 安全軽視を捨て去る必要があると厳重注意し、原発運転能力が有るのか原子力規制委員会に説明を求めた。

★知事は、自らの政治資金パーティーについて、「協会会員企業にパーティー券を購入してもらった事があるのか」との江尻県議の質問に、「ない」とは答えませんでした。

8. 県政パンフ作成

日本共産党茨城県議団は、大井川県政2期8年を検証するパンフレットを作成しました。(2025年3月発行)
県政パンフはこちらからご覧ください
茨城県政パンフレット2025

★パンフレット(冊子)が欲しい方はご連絡ください。
電話 029-301-1387(日本共産党茨城県議団)

江尻かな県政ニュース 2025年5月号(PDF)