茨城県議団ニュース 2024年5月号
1者のみ応札 落札率99.97% 明らかな利益誘導ではないか!!
2021年3月県議会で江尻県議が追及していました
【江尻議員の議会質問要旨】 予算特別委員会
民間の産業廃棄物の処理責任は民間にあるのに、なぜ県が処分場をつくるのか―県は「茨城県産業資源循環協会から要望があったから」と説明。
しかし、問題なのは、要望書を出した産業資源循環協会の会長が日立セメントの元専務であり、日立セメントは株木建設のグループ会社。その株木建設は各地で処分場建設を請け負っており、選ぶ側と選ばれる側が同じというのは明らかな利益誘導ではないか。
【大井川知事の答弁要旨】
循環協会会長が株木建設あるいは日立セメントの関係者だというのは単なる偶然でございますし、ご指摘のような利益誘導は一切ございません。
2021年3月茨城県議会 予算特別委員会 江尻加那議員の質問と答弁(大要)
▼茨城県がエコフロンティアかさまの後継施設として日立市諏訪町の太平田鉱山(日立セメント社有地)に整備する新産業廃棄物処分場。その建設工事の入札が行われ、株木建設(水戸市)を代表とする特定建設工事共同企業体(JV)が落札。
▼入札参加者は同JVのみで、事前公表された予定価格218億1932万円(消費税込み)に対し、218億1300万円で落札。落札率は99.97%でほぼ予定価格通り。
▼同JVは株木建設のほか、オカベ(日立市)・秋山(日立市)・鈴縫(日立市)・共和化工(東京都品川区)の5社で構成され、建設工事は5月に着工し、2026年度中に開業予定。
ふくらむ事業費
「どこに処分場をつくるのか」─県内多数の候補地から日立セメント鉱山跡地を選んだときの資料では、概算事業費を約208億円と示していました。その後、処分場の基本設計段階230億円に増え、さらに県は処分場のために新規搬入道路(県道)をつくるとしました。
その道路は学校や住宅地をぬうように山を登り、高架橋2か所とトンネル2か所をつくる約4kmの大型工事で、建設費は約120億円。そして、処分場の詳細設計・入札の段階になって、「資材高騰などで事業費が269億円になる」と県は説明。道路とあわせると389億円になり、当初の1.7倍にふくらんでいます。
江尻議員は3月県議会で、「そんな場所を選んだのが間違いであり、工事中止を」と主張。 県は「安全第一にすすめていく」と答えるだけです。
「1者応札は官製談合では?」
処分場の建設と運営は、県が出資する「一般財団法人茨城県環境保全事業団」が行っています。 事業団は昨年11月に処分場建設工事の一般競争入札を公告。
しかし、入札に参加したのは株木建設JVのみでした。
これに対し、「1者で認められるのか?」「競争原理が働かない」「官製談合では?」との声が県民から寄せられました。
県では、土木部の2022年度建設工事の一般競争入札(2,040件)のうち、 1者応札は4%程度で、多くは2者以上が参加して行われています。
ところが、県は2023年2月に入札参加者が1者の場合の取扱いを改定し、1者応札で認める要件を緩和。 事業団は「その県の規定に準じた」と説明しています。
参加が1者だけになった理由について、事業団は「2024年問題で建設業の人手不足の顕在化に加え、工期が長いこともあり、企業が慎重になったのではないか」と推察し、「入札のやり直しは必要ない」と判断したとしています。
ちなみに、エコフロンティアかさまの入札は12者のJVが参加しましたが、事前の談合情報どおりのJVが落札した経緯がありました。
今回の入札も公平公正と言えるのか、疑念が広がります。
(仮称)新産業廃棄物最終処分場建設工事に係る入札結果について(PDF)
市町村の廃棄物 今度は日立に埋立て?
県の埋立処分場エコフロンティアかさま(笠間市)には、産業廃棄物だけでなく市町村が一般ごみを燃やしたときに出る灰やばいじんも埋立て処分されています。
地域住民が建設に反対 水戸地裁に提訴
江尻議員は4月25日の裁判を傍聴しました。原告で地域住民の荒川さんは「産廃処分場予定地の唐津沢湖は、昨年9月の台風13号で上流域に崩落が発生して湖に大量の雨水や土砂が流れ込んだ。自然の防災ダム機能をはたしている湖を埋立て、そこに産廃を埋立てれば洪水が廃棄物を押し流し、下流の鮎川で被害が発生する」と訴えました。
また、荒川さんら反対連絡会は「処分場や搬入道路に巨額の県費を使うべきでない」と主張。「周辺の生活環境や自然を守れ」とねばり強く住民運動に取り組んでいます。
茨城県議団ニュース 2024年5月号(PDF)