茨城県議団ニュース 2024年4月号

県議会ニュース2024年4月号表 県議会ニュース2024年4月号裏

3月県議会速報NEWS

自民・公明・立憲・国民民主が県立学校授業料の値上げに賛成
学費負担軽減こそ県民の願い

県議会が3月26日に閉会しました。最終日に、2024年度一般会計予算(1兆2511億円)や県立施設の利用料金や授業料の値上げに反対して討論に立ちました。

つくば・市民ネットワークと日本維新の会の県議2人も授業料値上げに反対しましたが、自民、公明、立憲、国民民主、無所属が賛成し可決。2025年4月入学生から授業料が引き上げられるほか、運動施設や偕楽園、博物館、県民文化センターなど37施設の利用料金は今年秋に一斉値上げとなります。

討論でとりあげた8件の議案に対する反対要旨は下記の通りです。

暮らしや経済が疲弊する下で県独自の直接支援は乏しく、学校給食無償化や地域交通の維持拡充に財政支援がまったく不十分です。国民健康保険税や介護保険料、後期高齢者医療保険料の同時引上げに対し、県の財政安定化基金を活用して負担を軽減すべきですが対策がありません。中小企業の賃上げを後押しするための支援策も必要です。

老朽化した市町村の水道施設耐震化交付金は5億円程度にすぎない一方、霞ヶ浦導水事業費は45億5千万円にのぼります。水道料金引き下げの要望に応えるべきです。

石炭灰を埋め立てる常陸那珂港整備に58億4千万円も投じるほか、脱炭素につながらないアンモニア混焼を産業拠点プロジェクトとして推進することは石炭火力の延命化です。「カーボンニュートラル」の言葉は事実に反しており、知事はCO²排出企業に忖度して「ゼロカーボンシティ宣言」をしないのではないでしょうか。

住民訴訟となっている新産業廃棄物最終処分場整備(日立市)は、65億7千万円の予算で本格着工の計画です。しかし、整備地周辺では昨年の台風で鮎川の洪水や土砂崩れが発生し、住民の指摘が現実となりました。事業費は新搬入路を含めると当初の1.7倍となる389億円(施設269億円・道路120億円)に膨れ上がっています。処分場整備を中止・見直しすべきです。

以上の立場から、一般会計、港湾事業会計、水道及び工業用水事業会計予算に反対します。

県立医療大、看護専門学校、産業技術短期大学、産業技術専門学院、農業大学校、陶芸大学校の授業料値上げは到底認められません。「低所得者には減免制度がある」「足りなければ奨学金がある、貸付もある」と言って「値上げやむなし」とするのは県民の願いに背を向けるものです。これら6つの県立学校の学費は5億円で無償化できます。お金の心配なく学べる教育環境をつくるべきです。

資金積立基金条例の一部改正は、経済産業省が、10年以上停止している原発の地元自治体に新たな交付金を出すことに伴う改定で、原発回帰への仕掛けであり、東海第二原発の再稼働を進める積立基金は認められません。交付額は、原発から30キロ圏内の人口が30万人以上で、避難計画が国に了承されていない場合は上積みされ、最大40億円とされていますが、財源は廃炉事業にあてるべきです。

最後に、医薬品の安定供給確保及びイノベーション推進を求める意見書(自民党提出)についてです。薬不足はあってはならない事態ですが、意見書案にある「薬価引下げ」の多くはジェネリックであり、大本には社会保障費抑制があります。政府は2015年骨太方針で、ジェネリック使用を2倍の80%とする無謀策を決定し、多くの中小製造会社は十分な設備も人材育成もままならない状態で増産を強いられ、結果、複数の企業で不正行為が相次ぎ供給破綻を招きました。政府の責任は重大です。

ところが、2023年骨太方針で、今度はイノベーション推進の名のもとに患者負担で薬価を引き上げようとしています。今でも日本の医療費に占める薬剤費は33割を超え、イギリス・フランスの約2倍、ドイツの1.3倍と突出しています。財源が必要なら患者負担ではなく公費で検討すべきであり、意見書に同意できません。

(以上)

主な議案等に対する各会派の採決態度

主な議案等に対する各会派の採決態度

原発再稼働ストップ! 避難計画は破綻している

拡散ミュレーション“17万人のカラクリ”

県は、東海第2原発の過酷事故を想定した放射性物質拡散シミュレーションを日本原電に行わせ、その結果をもとに、知事が「30キロ圏内92万人が一斉避難することはあり得ず、最大17万人の避難に対応できる計画を準備すれば実効性が担保できたと言える」としました。

しかし、避難対象が17万人とされるケースを見ると、青く塗られた20マイクロシーベルトを超える部分が水戸市に広がっているにも関わらず、水戸市の避難人数は「ゼロ」としています。県は、市内にある9か所のモニタリングポストのどれにも引っかからないためと説明していますが、避難対象を過小評価するもので問題です。

病院・福祉施設の計画策定率66.1%

30キロ圏内にある病院や福祉施設も避難計画策定が求められていますが、22月時点で策定済みは病院114か所のうち50機関、社会福祉施設484のうち345施設で、策定率は全体で66.1%であることが分かりました。しかし、策定済みであっても移動手段の確保や複合災害への備えはまったくありません。

125,000人分の避難所不足

さらに、県は、1人あたりの避難所面積を2m²→3m²以上に見直した結果、30キロ圏内92万人のうち12万5千人の避難所が不足すると公表。これに対し、自民党県議が「車中泊避難も検討すべき」「さいたまアリーナやビックサイト、東京ドームも避難先になり得る」と、とんでもない意見を示しました。そんな避難リスクを県民に負わせて、再稼働させるのは無責任で愚かな選択です。

笠間市、常陸太田市、常陸大宮市、鉾田市、大子町、東海村、日立市が計画策定済みとされていますが、これらも避難車両や複合災害への対応は「検討課題」とされるのみです。

防潮堤施工不良工期延長でなく廃炉に!

日本原電は、防潮堤の施工不良を鉄筋で補強するなどの補正書を原子力規制庁に提出中。今年9月の工事完成は不可能であり、廃炉を決断すべきです。

複合災害への備えなし

  • 【東海村】
    村長が「複合災害の場合を含めれば、(避難計画を)ゼロから検討するしかない」と、22月28日の会見で発言。
  • 【笠間市】
    市ホームページに「東海第二発電所において、単独による原子力災害が発生した場合」の広域避難計画であると明記。
  • 【日立市】
    マイカー避難が難しい住民に必要なバスの台数を750台と試算したが、車両や運転手の確保の見通しなし。

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