茨城県議団ニュース 2024年4・5月号

県議会ニュース2024年4・5月号表 県議会ニュース2024年4・5月号裏

2024年度県議会第1回定例会 予算特別委員会
「気づく、つなぐ、支える」ヤングケアラー支援の拡充を

家庭の事情などで家事や家族の世話、介護など、本来大人が担うべき仕事を子どもが担う「ヤングケアラー」の実態が少しずつ知られるようになりました。
勉強や友人関係に影響が生じ、進学や就職、経済的な困難に直面する生徒が少なくない中、江尻議員は支援体制の強化を求めました。

江尻質問 困難を抱える生徒への進路支援を

県のヤングケアラー支援事業予算は2022年度は900万円あったのが翌年は300万円、2024年度は約150万円と減っており、県の実態調査が支援につながっていないのではないか。

私は、中学生の頃からヤングケアラーとなって看護師の夢があったが諦め、介護施設で働きながら家計を支えてきた女性から生活の相談を受けた。

再度夢に挑戦し、今春から看護学校への進学を果たしたが、中学や高校の時に学校で気づき、支援につなぎ、支えることができていればもっと早く挑戦できたかもしれない。

学校でのヤングケアラーをはじめとする困難を抱えた生徒への進路支援について教育長に伺う。

教育長答弁 進路の断念はあってはならない

ヤングケアラーであることなど、家庭の状況などを理由に、生徒が希望する進路を変更・断念することがあってはならない。学校では、入学当初から個人面談や学校生活アンケートを行い、ヤングケアラーをはじめ生徒が抱える困難を早期に発見できるよう努めている。

ヤングケアラーの可能性を把握した場合はスクールソーシャルワーカーを通して市町村の担当部署と連携を図っている。経済的支援は高等学校等就学支援金や進学のための修学資金も案内している。

江尻質問 進路相談専門員の配置を

ヤングケアラーに関する市町村の相談窓口での取り組みが重要だ。子ども家庭庁は2024 年度以降、進学や就職を含めた進路相談専門員を配置するとしているが、本県ではどのように対応するのか、福祉部長に伺う。

福祉部長答弁 進路・キャリア相談員に財政支援

市町村などがヤングケアラーの進路やキャリア相談に対応する相談員を配置する場合に財政支援を拡充するなど強化を図る。古河市が県内で初めて相談支援を開始している。

江尻質問 「地域包括ケア」の拡充が必要

ヤングケアラーを支える上でも、医療・介護・住まい・生活支援などを一体に支援する地域包括ケアが必要だ。水戸市など8市町で茨城型地域包括ケアが未実施だが、取り組みの拡充について保健医療部長に伺う。

保健医療部長答弁 コーディネーターの人材育成図る

茨城型地域包括ケアを実施していない市町村に対してもコーディネーター養成研修を行い、他職種と連携して課題解決に向けた調整などを担うコーディネーターの人材育成を図る。

学校アンケート 不登校理由に実態とかい離!?
「子どもの実態を掘り下げた調査に改めるべき」

江尻かな議員は3月22日の県議会予算特別委員会で、小中学校での児童・生徒の不登校理由の把握について、調査方法の改善などを要求。あわせて、教員の不足が昨年9月で144人にのぼり、長期休職者の8割が精神疾患であることなどを明らかにし、抜本的な教員の増員を強く求めました。

先生への調査 子どもの受け止めと大きな隔たり

文部科学省や県が学校の教員を対象に毎年実施している調査では、不登校理由で最も多いのが子どもの「無気力・不安」でダントツです。全国で46.9%ですが、茨城県では57%にのぼります。

一方、文科省が2021年に児童・生徒を対象に実施した調査ではまったく結果が異なります。「先生との関係」「いじめや嫌がらせ」「身体の不調」と答えた割合が高く、教員対象の調査と大きな差があることを指摘。

また、いじめについて「重大事態」として対応するケースが限られているのではないかとただし、子どもの実態を掘り下げた調査に改めるべきだと求めました。

県「国の方法に基づく」文科省は調査方法の見直しを検討

教育長は「児童・生徒が直接回答するのではなく、教員が不登校の要因を把握した上で、具体的な支援を行うことが重要」と述べ、実態把握の改善には触れませんでした。

一方で文科省は、不登校について子どもと教員の認識に大きな隔たりがあることを認め、調査の手法を見直す方針です。

江尻議員は県内の年間いじめ認知件数約2万5000件に対し学校が重大事態としたのは21件で1,000件に1件の割合だと指摘。
「重大ないじめを見逃している可能性もある」として改善を求めました。

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