日本共産党茨城県議団ニュース 2022年2月号
検査キット・ワクチンが足りない 保健所業務が追い付かない 事業者への支援金がない 薬剤師・看護師がいない…
ないものだらけのコロナ対策
山中たい子県議が本会議で質疑
保育所・学校での検査実施こそ
県議会は1月28日、新型コロナ対策や防災・減災・国土強靭化の土木事業を含む補正予算を賛成多数で可決し、閉会しました。日本共産党は予算案に反対しました。
山中たい子県議は、コロナ感染の疫学調査を縮小し、濃厚接触者の対象を同居家族だけに限定した県の対応をただしました。「県民が身近で受けられる検査体制が不可欠。 無料で検査できる場所を増やすべきだ」とし、薬局などでの検査数の拡大と、学校や保育所での定期的な検査の実施を求めました。
知事は、疫学調査の縮小理由を「保健所業務のひっ迫」と説明。無料検査は「2月以降も継続する」と答弁しつつ(当面2月末までを想定)、検査キットの不足から「保育所などでの予防的検査の実施は困難だ」と主張。「濃厚接触者であっても、検査対象は有症状者に限る対応が 必要」と述べました。
山中県議は、旅行代金を割り引く「いば旅あんしん割事業」について、「まん延防止等重点措置の適用で受付を停止する一方、27億2千万円の予算計上が適切なのか」と指摘。
事業者に対する直接支援を求めましたが、知事は「いば旅あんしん割事業の再開時期を適切に判断する」と答えるだけでした。
江尻かな県議が討論にたちました
予算の優先順位まちがっている
【討論全文】
共産党県議団はこれまで、新型コロナ対策補正については、さらなる拡充や改善を求め賛成してきました。 しかし、今回の補正には同意できません。
検査
第1に、必要な検査が余りに不十分です。1日11,000件の行政検査能力に対し、年明け以降の平均は2,120件。 地域薬局の無料検査も、昨年専決処分で見込んだ54万回に対し実績は3万回です。
濃厚接触者は同居家族に限定され、それ以外は現場判断に丸投げされ、自宅待機者に対する行政検査は行われず、薬局では濃厚接触の疑いがある人は検査できません。
当面、抗原検査キットの家庭や職場への無料配布、保育園・学校は県の定期検査実施が必要ですが、予算や具体策がありません。
支援
第2に、県内産業への支援では、富裕層向けのマリンレジャーイベントに2,100万円、いば旅あんしん割に27億2千万円の予算です。 あんしん割は予算措置しても実行できない一方で、事業再開までの支援金は1円もありません。 時短要請には飲食店協力金のみであり、県の関連事業者支援金の追加・継続こそ必要です。
保健
第3に、「新しい資本主義」にむけた予算が計上されましたが、国民に自己責任を押し付け、人件費を削減し、社会保障を切り下げてきた新自由主義の弊害により、県保健所はかつて18カ所あったのがいまや9カ所です。 応援体制の強化とともに、恒常的に保健所の数と職員を増やすことです。
保健所必要人口の目安を20万人としている「地域保健法ガイドライン」の趣旨を踏まえれば、本県は14箇所ですが、知事は統廃合の反省も今後の増設方針もありません。
安心
第4に、防災・減災、国土強靭化のための土木事業(304億7200万円)について、国の今年度「防災・安心交付金」は、地方要望に対し7割程度で、3割が切られています。 一方、国土強靭化による予算が優先され、茨城港港湾整備に3億2千万円、鹿島臨海工業地域の特定企業が出す産業排水処理施設に9億円です。
これに対し、交通安全事業は2千万円の補正で、県内1,365箇所もの通学路ハード対策必要個所への対応は困難です。
以上の理由から反対し、討論とします。
よせられた声
- コロナ対応が忙しいため、どうしてもその他の業務が後回しになって、DVや虐待などの対応が不十分になりそうで心配です。そして保健師さんのこころも心配です。
- 検査キット、注文しても入ってこないようです。コロナ拡大から3年目なのに保健所業務がひっ迫。こんなに大きな波がくることを予想していなかったんでしょうね。静かに落ち着くのを待つしかないのかな。
- 幼稚園ではじめて保護者の感染がありました。結局、園の検査キットを使用しました。国から配布されたのは10個、これまで園で購入したのは300個。自腹ですがお守り代わりです。
- やっと県で無料検査を始めましたね。昨年要求した時はけんもほろろでしたが。
- ワクチン何回打てばいいのか?と思うと気が重いです。
2022年1月臨時県議会で可決された補正予算の主な内容(総額456億5400万円)
1. 新型コロナウイルス感染症対策(147億6300万円)
無料検査の拠点整備補助・検査費用補助 67億1300万円
- 無料検査費用補助 3月末までの見込み140万回分
- 薬局など検査体制整備支援(1/28現在265ヵ所で実施)
※予算を適切に活用して検査を拡充するには、十分な検査キットの確保、医療機関における検査を保障する調整、無料検査場所と薬剤師の拡充、家庭・職場への検査キット配布など県の方針化が求められます。
県立学校施設の環境改善・感染症対策整備 33億4800万円
- 特別支援学校体育館の空調整備(22校)
- 県立高校の空調整備(2校)
- 県立学校特別教室棟のトイレ洋式化(118校)
- 特別支援学校の多目的トイレの整備(15校)
介護施設等の見守り機器導入費支援 3,100万円
- センサー付きベッドなどに半額補助(1機器上限30万円)
茨城の地酒振興 5,200万円
- 県産日本酒の開発支援、自酒バーを活用した酒蔵への支援、地酒ソムリエの育成、都内での試飲会、高級レストランへの販売促進
露地野菜産地イノベーション推進 1億200万円
- れんこん、白菜、キャベツ、レタスを対象に、差別化した商品つくり、品目の転換、デジタル技術を活用した出荷予測導入等を支援
低所得のひとり親世帯への特別給付金 16億7800万円
- 児童1人に5万円を3~5月末に支給(市町村により上乗せあり)
【対象者】
(1)今年1月分の児童扶養手当受給者(申請不要)30,200人
(2)公的年金の受給により児童扶養手当は不受給者(要申請)750人
(3)家計急変や離婚などにより低所得になった方(要申請)1,450人
旅行代金割引(いば旅あんしん割事業) 27億2000万円
- ワクチン検査パッケージを活用し、感染拡大を防止しながら観光需要を喚起するため、県内の日帰り又は宿泊旅行を支援
【実施期間】2022年3月10日宿泊分まで(1旅行2泊上限)
【支援内容】旅行料金1,500~5,000円割引、クーポン2,000円
【支援条件】ワクチン2回接種又は検査陰性証明
※1月27日から茨城県がまん延防止等重点措置地域に指定されたため、現在、受付停止中。再開時期は未定。
ひたちなか大洗リゾート構想推進 8,100万円
- 大洗カジキ釣り大会など富裕層向けのマリンレジャーやイベントを活用したブランド力の向上
- エリア全体の交通状況を調査し、渋滞対策を検討
インバウンド誘客プロモーション強化 1,200万円
- 海外往来再開に備え、台湾向けの映像プロモーションを実施
2. 「新しい資本主義」の起動(4億2000万円)
農業担い手確保・経営強化支援 3億8700万円
- 中間管理機構を活用した農地集積化協力金 1~2.8万円/10アール
- 経営転換協力金 1万円/10アール
- 市町村農業委員会へのタブレット導入支援
- 中心経営体に対し農業用機械・施設経費を補助
上限:法人3,000万円、個人等1,500万円
スマート林業導入支援 1,700万円
- 住宅等の木材需要増加への対応に向け、生産性や安全性を向上するため、効率的な林業生産に資する機械等の導入支援
児童養護施設等職員の処遇改善 1,600万円
- 社会的養護を担う施設・事業所の従事者の賃金引上げ
【対象者】37施設748人
※児童養護施設、乳児院、母子生活支援施設、自立援助ホーム、ファミリーホーム、児童心理治療施設で働く保育士、心理士、料理員、事務職員などすべての従事者
【補助単価】賃金 月9,000円 + 社会保険料事業主負担 月1,900円
【対象期間】2022年2~3月(4月以降は新年度予算に計上見込)
※保育士の処遇改善は市町村で予算措置
※介護士、看護師の処遇改善は新年度県予算に計上見込み
3.防災・減災・国土強靭化の推進(304億7200万円)
社会資本の整備 297億1500万円
- 道路、橋梁整備(67億3100万円)
- 河川改修、治水、砂防、急傾斜地対策など(158億9400万円)
- 常陸那珂港区、日立港、鹿島港整備(18億9100万円)
- 流域下水道施設改修(5億1300万円)
・土地改良、農地の大区画化(26億9400万円)
・鹿島臨海特定公共下水道の改築(9億790万円)
通学路等の交通安全施設整備 2,000万円
防災情報通信設備整備 3億9300万円
- 震度情報ネットワークシステムの更新として、消防庁との通信回線、震度計79基、サーバーなどの更新
- 消防庁報告のオンライン化
要配慮者の屋内退避施設への放射線防護対策 3億4500万円
- 東海第二原発から10km圏内にある屋内退避施設(日立市役所南部支所)に、陽圧化・放射性物質除去フィルターの設置、必要資機材の整備
※その他、これまでに28施設が整備実施済