復興庁“原発汚染水は安全”チラシ 共産党茨城県委員会、県の学校送付に抗議
日本共産党茨城県委員会と県内の地方議員団は2月16日、復興庁と資源エネルギー庁が福島第1原発事故で発生したALPS処理水(汚染水)の安全性を強調するチラシを県内の小中高等学校に直接送付していたことを受け、大井川和彦知事と小泉元伸教育長に対し、配布の中止と国への抗議を求めました。山中たい子議員、江尻加那議員が参加しました。
チラシは、処理水について「世界でも既に流しています」、「人間が食べたり飲んだりしても健康に問題のない安全な状態で処分される」などと宣伝。文部科学省作成の「(処理水は)海に放出される方針」と記載された「放射線副読本」とともに、県内の学校に直接送付されていました。
要請は、▽児童生徒や家庭への配布中止と回収▽チラシの内容と配布方法について国に抗議する▽「副読本」の記述を改めるよう要請する―の3点。
山中氏は、「海洋放出に漁業関係者が怒りを持っている」と指摘。江尻氏は、「海洋放出の決定は県民が受け入れておらず、チラシの内容も先走った内容だ」と抗議しました。
県義務教育課の担当者は、「使うことを指定しているわけではない」と説明。活用状況は調査していないとして、「申し入れは受け取る」と応じました。
(「しんぶん赤旗」2022年2月17日付より転載)
文部科学省「放射線副読本(令和3年改訂)」の再改訂と復興庁・経済産業省「ALPS処理水」に関するチラシの配布中止を求める申し入れ
2022年2月16日
茨城県知事 大井川和彦 様
教育長 小泉 元伸 様
日本共産党茨城県委員会
日本共産党茨城県議団
日本共産党茨城県市町村議団
文部科学省は昨年12月以降、「放射線副読本2021年改訂版」を小中高等学校に直接郵送しています。
問題は、福島第一原発事故による汚染水の海洋放出について「この水は、ほとんどの放射性物質を取り除き、大幅に薄め、健康や環境への安全を確保するための基準を十分に満たした上で、海に放出される方針」などと追記されたことです。「汚染水の海洋放出は安全だ」との一方的な情報を子どもたちに教えることを、学校現場に強制するものではないかと危惧するものです。
さらに、復興庁作成チラシ「ALPS処理水について知ってほしい3つのこと」と、経済産業省作成の「復興のあと押しはまず知ることから」を副読本に同封した問題です。チラシは、処理水の安全を一方的に宣伝する内容であり、副読本とともに活用するよう指示文書が発出されています。
「トリチウムは身の回りにたくさんあります」「トリチウムの健康への影響は心配ありません」「取り除けるものは徹底的に取り除き、大幅に薄めてから海に流します」などと、取り除けないものは薄めて流せばいいという主張で、様々な課題や住民不安には全く触れていません。
ALPS処理水の処分方針をめぐっては、漁業者をはじめ多くの住民が反対し、海洋放出は認められないとの世論があります。加えて重大なのは、国と東京電力は「関係者の理解なくしていかなる処分も行わない」とした約束を反故にして海洋放出を決定したもので、社会的理解は得られていません。また、東京電力は廃炉作業をめぐって、重大事象の隠ぺいや公表の遅れなどを繰り返しており、信頼は失墜しています。こうした中で、子どもたちに一方的な主張だけをすり込む国のやり方は断じて許されません。
また、県・市町村教育委員会を通さず、直接各学校に積極的活用を呼びかけることは、学校現場における政治の不当な介入とみなされても否定できません。
県と県教育委員会が、この問題を容認すべきではなく、毅然とした対応を求めるものです。よって、以下の点について、強く申し入れます。
記
- チラシの学校送付状況等を早急に把握し、児童生徒・家庭への配布を中止し回収すること。
- 「ALPS処理水」に関するチラシの内容と配布手法について、国に抗議すること。
- 放射線副読本を再改訂し、処理水の海洋放出に関する記述を改めるよう国に要請すること。
以上
文部科学省「放射線副読本(令和3年改訂)」の再改訂と復興庁・経済産業省「ALPS処理水」に関するチラシの配布中止を求める申し入れ(PDF)
◎参考
- 復興庁チラシ(PDF)
- 経産省チラシ(PDF)
- 小学生のための放射線副読本(2021年10月改訂、PDF)
- 中学生・高校生のための放射線副読本(2021年10月改訂、PDF)