日本共産党茨城県議団ニュース 2019年9月号

県議団ニュース表 県議団ニュース裏

2019年第3回定例会 県議会速報ニュース

地震・台風など災害から県民を守る県政へ
江尻かな県議が本会議・委員会質問、山中たい子県議が討論

8月30日から始まった県議会は9月26日に閉会しました。議会中に台風15号による被害が発生し、日本共産党県議団として被災農家や原子力施設を調査。江尻かな県議が11日の本会議と20日の予算委員会で質問に立ち、県や国の取り組みをただしました。

山中たい子県議は最終日の討論で、港湾建設などをすすめる補正予算や保健所縮小、偕楽園有料化を強行する県政を批判しました。

東海第2原発 直下地震が125回に

9月11日の県議会本会議で江尻かな県議は、運転開始から40年を超えた東海第2原発について大井川知事に質問。
原発直下の10km圏内で起きた地震が、2015年6月以降の4年余りで125回にのぼると明らかにしました。これは、同時期の原発直下地震の発生回数としては全国最多です。

また、2012年12月以降、全国の原発立地県での地震についても茨城県が最多の1,659回発生していることを独自の調査で告発しました。

その上で、江尻県議は「県民の安全を守るには『廃炉』しかない」と知事の決断を要求。地震の回数や発生状況などについて県として調査し、県民に公表するよう求めました。

大井川知事は、「地震や耐震の評価については、当事者である 日本原電㈱がすべきもの」と主張。再稼働については、県民の意見を聞いたうえで判断したいと答えましたが、いつ、どのように意見を聞くのかについて何も示していません。

核燃料プールから取り出しキャスク保管に

また、江尻県議が「原子炉建屋内のプールに残る核燃料棒を、とりあえず乾式キャスク(金属容器)に移してリスクを軽減すべき」と質問。
知事は「キャスク保管は管理の容易性や経済性に優れていると言われるが、使用済燃料は長期保管をせず、計画通り搬出されるよう国や事業所に働きかける」と答えました。

米飯・パン・めんの安定供給を

学校給食の主食である米飯・パン・めん製造業者の廃業が相次いでいます。
江尻県議は20日の予算委員会で「配達エリアが広がり、今の契約単価では限界」、「夏休みは収入がストップするが従業員は切れない。人件費など最低限の補償があると助かる」という業者からの要望を紹介。

その上で、茨城県が取り組む『食育』の土台となる主食の安定供給のために、県として給食費への補助を求めました。

教育長は「他県の動向などを踏まえた検討が必要。市町村に 業者負担軽減策を働きかけ、既存の補助金情報などを提供しつつ安定した主食提供を支援していく」と述べるにとどまりました。

最終日 山中県議が一般会計補正予算案で反対討論

山中たい子県議は議会最終日の採決に先立ち、約200億2800万円にのぼる一般会計補正予算案について反対討論を行いました。

  • 常陸那珂港区・中央ふ頭の波除堤整備費が追加されましたが、総事業費6,800億円のうち、これまで3,673億円の税金を投入してきました。
    県債(借金)を増やして、一部大企業のための巨大な港湾建設事業は見直すべきです。
  • 公衆衛生の向上に反して11月から保健所を統廃合することに伴い、常総市と坂東市に事務権限を移譲・委託するために66万8千円が予算化されました。
    保健所職員を10年間で44人も減らして、機能強化と言えません。
    全国42位と少ない保健師の増員こそ必要です。
  • 偕楽園を11月から有料化するため、自動発券機を8,500万円かけて設置するとしています。
    270年間にわたり民とともに楽しむという歴史を、知事は就任後たった2年間で覆してしまうものであり、同意できません。

その他、茨城県商工団体連合会婦人部協議会が出した「所得税法第56条廃止を求める意見書採択に関する請願」は、日本共産党と立憲民主党の賛成少数で不採択となりました。

日本共産党県議団が提出した「全世代型社会保障検討会議」による社会保障の改悪に反対する意見書案と、差別や分断をなくし個人の尊厳を守る社会の実現を求める意見書案は、自民、公明などの反対で否決されました。

各会派の賛否態度

各会派の賛否態度※知事提出議案33件のうち日本共産党は賛成18件・反対15件

冷却塔の倒壊を調査

日本原子力研究開発機構大洗研究所にある材料試験炉「JMTR」(運転停止中)の冷却塔(木造)が9月9日、台風15号の影響で倒壊したことを受け、12日に被害状況を調査しました。
山中たい子県議、江尻かな県議と大内くみ子党県副委員長、菊地昇悦大洗町議、花島進那珂市議、川澄敬子茨城町議らが参加しました。

倒壊した二次冷却塔付近では30.9メートルの最大瞬間風速を記録したとされています。
機構によると、放射線による環境への影響は今のところないとしていますが、倒壊した冷却塔からおよそ100メートルの場所にある施設には約500体にのぼる使用済核燃料が水中保管されています。

研究所長は「廃止する施設とはいえ、原子力施設が倒壊したことは社会的な影響が大きい。原因究明を図る」と述べました。

施設や核燃料の適切な保守管理を

機構が全国に所有する89施設のうち、76施設が茨城県にあり、半数の施設が老朽化や機能終了で廃止することに決まっています。

県議団は「施設や核燃料の適切な保守・管理が重要だ」として、27日に機構を監督する文部科学省や原子力規制委員会に改善を申し入れました。

「JMTR」は2006年に運転を停止し、今回の倒壊事故のあと9月18日に廃止措置を申請。順調に進んだとしても、2027年まで核燃料が施設内に残ることになります。

台風による農業被害 44億円

台風15号による農作物への被害が広がり、9月15日に山中たい子県議と高野衛鉾田市議、福島ヤヨヒ小美玉市議が調査しました。

県全体で農業被害総額は44億円にまで増え、そのうち約32億円がハウスなどの農業用施設の被害です。

鉾田市のイチゴやメロンの栽培農家は、ハウスが強風で倒れてビニールが破れるなどの被害が出ました。クリスマス・年末に向けてイチゴ苗の植え付けを前に「営農の気力がなくなる」と肩を落とします。
「壊れたハウスを廃棄するのにもお金がかかって大変。今はとにかく撤去のための人手が欲しい」と話します。

小美玉市では露地栽培のニラの葉が折れて出荷できなくなるなどの被害が出ました。農家は「せめて今年度いっぱいは、肥料購入などの補助が欲しい」と要望を寄せました。

そのほか、ピーマンやネギ、梨、栗などにも被害が出ています。

調査を受け、県議会予算委員会で江尻かな議員が、農家の経済的負担なしで営農再開できるよう国と県の支援策の拡充を求めました。
27日には、農林水産省に拡充策の実現を申し入れました。

豚コレラ本県でもワクチン接種を

日本共産党茨城県議団と県委員会は25日、豚コレラの感染が隣県の埼玉県まで拡大したことを受け、県西農民センター(結城市)を訪ね、養豚農家と懇談を行いました。
山中たい子県議、江尻かな県議と大内くみ子党県副委員長、上野高志党県副委員長が参加しました。

農家からは「豚コレラが茨城県内に入ってくるのは時間の問題ではないか」、「野生イノシシの死骸を食べたカラスなどが豚舎にきて、ウィルスを媒介する可能性もある。防鳥ネットの対策も必要だ」などの不安の声があがりました。

また、アジア諸国に拡大するアフリカ豚コレラについても、「茨城空港などからの侵入も心配。検査官や検疫探知犬を拡充するなど体制を強化してほしい」などの訴えがありました。

県内では30年ほど前までは豚コレラワクチンが使用されていました。
農家からは「茨城でもワクチン接種を急いでほしい」、「感染した場合、営農再開できる十分な補償をお願いしたい」など強い要望が寄せられました。

茨城県は養豚約46万頭、養豚場403ヶ所を有し、全国6位の産出額がある養豚県です。万が一、1頭でも感染が確認されれば、同じ豚舎の飼育豚は全頭処分となり、廃業を迫られる死活問題です。

日本共産党として27日に、塩川てつや衆院議員、梅村さえこ前衆院議員とともに、農林水産省と交渉しました。

要請書全文はこちらから

日本共産党茨城県議団ニュース 2019年9月号(PDF)