暮らし守る役割を 茨城県に242項目予算要望 共産党県議団

日本共産党茨城県委員会(田谷武夫県委員長)と党茨城県議団は11月28日、2020年度の県予算編成と施策に対する242項目の重点要望を大井川和彦知事あてに行いました。
大内久美子県副委員長、上野高志県副委員長、山中たい子県議、江尻加那県議が出席し、宇野善昌副知事が対応しました。

宇野善昌副知事に要望書を提出する山中県議、江尻県議、大内副委員長、上野副委員長

宇野善昌副知事に要望書を提出する山中県議、江尻県議、大内副委員長、上野副委員長(左から)=11月28日、茨城県庁

政府が公共施設の統廃合・縮小などを進め、10月からの消費税増税による負担増や国民健康保険税・介護保険料の値上げ、社会保障制度の改悪を進めようとする中で、国の悪政から県民の暮らしを守る県としての役割の発揮を求めました。

山中県議は、「暮らしを支える医療・福祉・介護の充実は県民の強い要望だ」として、県の取り組みを拡充するよう要望。
江尻県議は、首都圏唯一の東海第2原発の廃炉を求め、福井県庁幹部職員などの多額の金銭授受が明らかになる下で、「茨城県が原発マネーに癒着することのないよう法令順守を徹底すべきだ」と述べました。

台風19号をめぐり、「自治体によって生活支援や災害廃棄物の回収方法などがまちまちだった」とし、県の対応強化を求めました。
宇野副知事は、「台風19号では市町村の混乱を予想し『プッシュ型』で支援を開始した。要望を担当各部に伝え、来年度予算に反映したい」と答えました。

(「しんぶん赤旗」2019年12月4日付より転載)

2020年度の県予算編成並びに施策にたいする重点要望書

2019年11月28日

茨城県知事 大井川 和彦 様

日本共産党茨城県委員会
委員長 田谷 武夫
日本共産党茨城県議団
県議会議員 山中たい子
県議会議員 江尻 加那

政府は「国際競争力の強化」をかかげ、地方自治体に大型開発やカジノ誘致を誘導するとともに、「広域連携」「集約化」と称して公共施設の統廃合・縮小などをすすめています。

10月から消費税を10%に増税する一方、国民健康保険税の連続値上げと介護保険料引き上げ・サービス縮小、「全世代型社会保障検討会議」において75歳以上の窓口原則2割への引き上げをはじめ、社会保障制度のさらなる改悪と予算削減をすすめようとしています。さらに、病床削減のために全国の公立・公的病院で統廃合すべき424カ所を名指しました。

また、原発を維持・推進する国策のもと、東海第二原発において再稼働工事が進められていますが、原発のない安全な社会の実現が求められています。

相次ぐ自然災害の大規模化への防災対策と被災者支援の拡充は待ったなしの課題です。台風15号・19号による強風と豪雨、河川氾濫等により、住家被害が約6000棟、農業被害が約144億円、中小企業被害が100億円超にのぼるなど甚大な被害が広がり、被災者を取り残さない再建支援策と早期復旧が急務です。

こうしたもとで、住民や市町村、関係団体と力を合わせて県民の命と暮らしを守る県政の役割がますます重要になっています。
2020度予算編成にあたっては、全国第9位の財政力にふさわしい福祉・医療・教育の充実など県民生活支援を最重点にすることを求めます。公共事業は生活密着型に転換し、防災・老朽化対策を抜本的に推進すること求めます。

憲法にもとづく立憲主義、民主主義、平和主義を推進し、個人の尊厳と多様性を尊重する県政を築くことを求め、以下の242項目の重点要望を申し入れます。

〔目次〕

  • 〔1〕台風・豪雨災害の被災や再建支援と復旧
  • 〔2〕原発ゼロの茨城を実現し、原子力災害から県民の命と暮らしを守る
  • 〔3〕くらしを支える医療・介護・福祉の充実
  • 〔4〕中小企業支援を強め、本物の働き方改革を進める
  • 〔5〕地域農業を再生し、食料自給率を向上させる
  • 〔6〕環境を守り、安心して暮らせるまちづくり
    1. 住宅・空き家対策
    2. 道路整備・交通安全
    3. 鉄道・コミュニティ交通
    4. 環境対策
    5. 河川整備・治水対策
    6. 住民主体のまちづくり
  • 〔7〕すべての子どもの尊厳を大切にし、お金の心配なく学べる教育の実現
  • 〔8〕公共事業を生活密着型へ、防災・老朽化対策を
  • 〔9〕地方自治を守り、県民本位の財政を確立する
  • 〔10〕憲法を生かし、平和行政・基地問題に取り組む

〔1〕台風・豪雨災害の被災者再建支援と復旧

近年、豪雨災害が頻発するなか、災害から住民の安全を守ることが行政の大きな使命となっている。2019年に茨城県を襲った台風15号、19号、その後の大雨豪雨災害からの復旧、復興に向けて引き続き全力を上げ取り組むよう求める。被災者支援の実施主体は市町村であるが、深刻な職員不足により困難を極めた自治体も多い。県として、専門家や他自治体からの応援職員の派遣に万全を期すことを求める。

(1) 避難指示、災害情報伝達の改善

  1. 「台風19号上陸後、13日深夜3時頃に避難指示が出され、真っ暗いなかで避難しました。前日の明るい時間に判断してほしかった」との声が多く聞かれた。県として市町村と協力し、高齢者や子ども、障害者などの安全第一を図った避難指示に改善を図る。
  2. 防災無線が聞こえなかった地域が多く、緊急時に対する不安が抱かれている。防災ラジオを全世帯に設置するための支援を求める。
  3. 「風雨が強く防災放送では聞き取れなかった」「防災メールの登録をと言われてもSNS、インターネットには不慣れである」という声が多く聞かれた。個人住宅に設置する防災ラジオ、地域FM・防災放送への支援を行なう。

(2) 避難所の運営、避難者の生活環境の改善

  1. 「マットレスが薄かった」「毛布が圧縮袋で密閉されており開けるのが大変だった」「避難所には約300人が避難したが、100人分の食料しかなく配れないでいた」等、改善すべき点は数多くあった。市町村が行う避難所の運営に対し、事前の打ち合わせ、訓練等を十分に行う。台風15号時、千葉県内の大規模合併後の市で分庁舎との連絡が取れず困難を期した例がある。県と市町村との連携をいっそう密にするよう改善する。
  2. 避難所でプライバシーを守るパーテーションテントを準備できるよう市町村に対し補助する。
  3. 避難者数分の携帯食を数日間は準備する。暖かく栄養を考えた食事も考える。
  4. 自宅の2階や親戚の家に避難している住民は避難人数に数えられていない。行政がこうした避難者を把握するとともに、情報、物資等の支援を行う。
  5. 県内には避難所がハザードマップ浸水想定区域内となっている箇所が多くある。県防災危機管理課で安全な避難場所の確保を図るよう市町村とともに改善を図る。水戸市にあるJAグループ茨城教育センターについても避難所の機能が果たせるよう改善を図る。
  6. 避難所に空調設備の設置をすすめる。

(3)住宅再建への支援強化

被災者への聞き取りで「水が引いてから自宅に戻ると床上浸水になっており掃除がたいへんだった」「屋根の瓦が飛ばされた」「電線に竹が引っ掛かった」「電柱が傾いた」「倒木が多数」「庭に瓦礫が散乱」「冷蔵庫、テレビなどほとんどの家電が水につかった。購入支援を」などたくさんの声を聞いた。

  1. 被災者の立場に立った相談窓口を開設する。
  2. 住宅の応急修理、リフォーム費用など、被災者の負担が生じないよう国の支援と合わせ県独自補助を増額する。建築工法によっては床下の場合も壁をすべてはがさなければならない等のケースもあった。実情に合った生活再建支援金へ見直しを行う。
  3. 浸水が床上を超えた場合は大規模半壊とし、床下浸水についても被災者が納得できる判定を行う。生活再建支援金は補助額を引き上げると同時に、修繕・支払いをした後でも写真などで支援を行う。このことを周知すること。
  4. 災害救助法は「被服、寝具、その他生活必需品の給与、貸与」を保証している。これを被災者に徹底するとともに、床上浸水した場合、家電製品を買い替えなければならず冷蔵庫、洗濯機、暖房器具、テレビ等の購入に見合った金額に拡充する。現行の支援制度は、市町村を通じて被災者に徹底を図るため、県としても市町村を支援する。

(4)災害廃棄物

  1. 水戸市は災害廃棄物の仮置き場の設置とともに、被災家屋の戸別回収を行った。一方、市内数カ所に仮置き場を設置した市町では、「すぐに満杯になった」「順番待ちで時間がかかった」などの苦情も寄せられている。早期の復旧を望む被災者の立場に立ち、災害廃棄物処理について仮置き場を増やすなど、市町村と連携して取り組む。
  2. 解体や補修によって出される建築廃材も災害廃棄物として認めること。民地に流された大量の稲藁の処理について、ゴミ袋に入れて回収する措置をとった市があると聞いているが、あまりに大量のためにはかどらなかった例がある。行政として処理すること。

(5)農業支援

  1. 農業を諦める農家が生まれないよう、県として一戸一戸の農家の声を聞き万全の対策を講じる。
  2. 台風15号の際、ニラ農家から「露地栽培中のニラが風により被害を受けた」との話を聞き、イチゴ農家からは年内の出荷と年明けの出荷では価格が大幅に変わると聞いた。台風被害が出荷時期・栽培時期と重なる作物が多く営農再開へ、所得保障を含めた十分な対応を図る。
  3. 強い農業担い手づくり総合支援交付金(被災農業者支援型)の補助率が最大9割まで引き上げられた。また、営農を再開する農家に対し保管米について10アール当たり7万円を補助する制度も適応された。こうした制度は恒久制度とするよう国に求める。
  4. 早期営農再開を条件に軽トラックの年度内レンタル補助(2分の1)が設けられたが、県独自に他の農業機械と同様、9割補助とする制度を創設する。

(6)中小企業支援

大子町の中小企業被害額は42億円余と報告されている。これは大子町の財政規模の2分の1近くとなり町の復興にとっても支援は欠かせない。中小企業に対し国の支援制度(自治体連携型補助金)や県が設置した対策室などは被災を受けた中小企業や開業医から期待の声が寄せられている。同時に4分の1の自己負担が重く営業を再開できないという声も聞いている。対策室では、企業に寄り添った相談を行うよう務める。

(7) 医療機関の復旧

大子町では多くの医療機関が被災し、診療が滞る事態となった。住民の命に関わり、重要な政策医療を行う機関が多いことから、高額な医療機器をはじめ、医療機関への補助対象と内容、補助金額を国と県で拡充する。

(8) 治水対策

  1. 国、県の河川整備計画を見直し、早急に河川整備を行う。
  2. 那珂川、久慈川で氾濫発生情報を出せなかった問題について、充分な検証を県としても行う。国に対し河川整備職員、専門家の増員を強力に働きかける。
  3. 国管理河川と県管理河川の合流点で河川氾濫が多発した。関東地方整備局と水門の開閉についての体制づくり、ダムの操作規則の見直し等を行う。
  4. 県管理河川についても、危機管理型の水位計の増設、監視カメラ設置、管理体制と市町村への情報提供の促進に努める。
  5. 那珂川左岸のうち河口から約20㎞~21.8㎞の無堤地区(水戸市国田地区)に堤防を整備し氾濫の危険防止を行うこと。
  6. 国管理の久慈川堤防のうち、常陸大宮市富岡地先堤防について共有地の相続を早急に完了するため、関東地方整備局に働きかけるとともに、県としてもその役割を果たす。同塩原地先堤防についても即時着工を国に求める。
  7. 県管理の久慈川堤防のうち、常陸大宮市岩崎地先堤防(中断している築堤工事8計画)について、国直轄権限代行工事で即時着工ができるよう国に求める。
  8. 堤防内・河川敷の竹林・防備林の効用を再検証し整備する。

(9)鉄道復旧と災害対策

JR水郡線の早期全線復旧及び県内すべての鉄道の災害対策強化を国と鉄道会社に求める。

〔2〕原発ゼロの茨城を実現し、原子力災害から県民の命と暮らしを守る

  1. 東海第二原発は運転開始から40年を経過した沸騰水型としては日本で最 も古く、トラブルが多発している原発である。原子力規制委員会は新規制基準に基づく審査を通したが、県民や首都圏住民にとって、危険きわまりない原発を再稼働しなければならない理由は全くない。東海第二原発は8年以上稼働しておらず、電気は十分足りている。かつ、県が自ら極めて不十分と認めた広域避難計画は、実効性が低く、対処できないことは明らかである。日本原電に対し、東海第二原発を再稼働しないまま廃炉とするよう求める。
  2. 東海第二原発を再稼働させた場合と廃炉にした場合について、県民生活や地方経済、市町村財政への影響などを明らかにして県民に情報提供し、速やかに県民の意見を聞く機会を設ける。
  3. 東海第二原発を再稼働させるために、電力5社は日本原電に3500億円の支援を決定した。国費を投入されている東京電力が、そのうち2200億円も支援することは社会的道義に反するものであり認められない。再稼働のための工事を中止するよう日本原電に要請する。
  4. 関西電力幹部や福井県庁幹部職員などへの多額の金品授受が明らかになっている。原発マネーの還流であり、その原資を電気料金に上乗させて利用者に負担させるからくりは許されない。あらゆる原発マネーや利権に対し、茨城県が癒着することのないよう法令順守を徹底する。
  5. 原子力事故のリスクを低減するために、原子炉建屋プールにあるすべての核燃料を、とりあえず乾式キャスク保管に早急に移すよう日本原電に求める。
  6. 廃炉にしない場合に求められる100万人規模の広域避難計画策定について、実効性ある計画は不可能であることを内閣府に伝える。常陸太田市、常陸大宮市、笠間市についても、計画を作ったとはとても言えない状況にあることは明らかであり、県民の立場で厳しく実効性を検証する。
  7. 東海原発の放射性廃棄物L3の素掘り埋設計画の見直しや、指定廃棄物の保管対策強化及び最終処分について、市町村や住民の意見を反映させる。
  8. 日本原子力研究開発機構で作業員被曝や放射性物質漏えい、冷却塔倒壊、盗難など事故やトラブルが頻発している。厳重な管理が行われるべき原子力施設において確実な再発防止を求める。東海再処理施設廃止措置の安全で迅速な作業進行と、高速炉「常陽」の廃止を国に求める。
  9. 福島第一原発事故による茨城県への避難者は、いまだに約3千人にのぼる。先の見えない長期の避難生活に対する賠償・支援打ち切りや強制帰還に抗議し、東京電力や国・福島県の賠償・支援継続を求める。県として、避難者の生活状況を把握するとともに、必要な住宅支援や教育支援、保養支援などに取り組む。
  10. 2030年度の電力需要の20~22%(2200~2300億kw時)を原発で賄うとした政府の「エネルギー基本計画」を見直し、原発に依存しないエネルギー戦略を求めること。「原発ゼロ」と一体に立地自治体の住民のくらし、地域経済再建の支援をすすめること。

〔3〕くらしを支える医療・福祉・介護の充実

(1)低年金者の底上げを図るため最低保障年金制度をつくる。「マクロ経済スライド」の廃止を国に求める。

(2)国民健康保険税の抜本的な引き下げ

  1. 年金生活者や非正規労働者が多く加入する国保の「構造問題」解決に向け、国庫補助金の増額を図るとともに、全国知事会等が一致して要求する1兆円の公費投入で国保税を引き下げるよう国に求める。目標年度を定めた国保税の県内統一は行わない。
  2. 国保加入世帯の人数にかかる「均等割」と各世帯に定額でかかる「平等割」が所得に関係なく賦課される仕組みによって重い負担を強いており、これを廃止する。特に18歳までの子どもの均等割を軽減免除する措置を国に求める。
  3. 国保税の所得に占める負担割合は本県で12%を超える。国保税が高すぎて払いたくても払えず、2割が滞納せざるを得ない深刻な事態である。県として低所得者の減免制度や子どもの均等割を免除するなどの方策をとる。
  4. 保険者努力支援制度は、国が評価指標で採点し、県・市町村に交付金を補助する仕組みである。20年度は市町村の法定外繰入の削減・解消を推進するため、国は市町村作成の赤字解消計画が進まなければ交付金を削減するとしている。法定外繰入は市町村の政策判断で行っているのであり、県は解消・削減を押しつけるべきでない。
  5. 国保税滞納者への制裁といえる短期保険証・資格証明書は交付しない。一方的な差し押さえをやめ、丁寧で親身な相談業務をおこなう。
  6. 国保事業納付算定に含まれていない、市町村が実施する特定健診事業や出産育児一時金等の費用への県補助を新設する。

(3)後期高齢者医療の保険料と窓口負担の引き上げ

  1. 短期保険証は発行しない。
  2. 年金収入が年80万円以下の低所得者にたいして実施していた保険料9割軽減の特例措置が廃止された。このため、本則の7割軽減に引き下げられ負担増となっている。高齢者を年齢で区切り、別枠の医療保険に強制的に囲い込み負担増と差別医療を押しつける後期高齢者医療制度は廃止し、元の老人保険制度に戻すよう国に求める。

(4)医師確保対策と地域医療をまもる

  1. 茨城は医師数が不足しており、医師数の抜本増員を国に求める。2020年度から新たな「医師確保策」が始まるが、その内容は国の数式により県が偏在指標を出し医師確保計画を策定実行するが、医師数の絶対的不足を解決しないままでは地域間の医師の取り合いになるだけである。
  2. 医師確保のために修学資金貸与制度の拡充を図るとともに、地域枠を拡大する。医師数を全国平均にするため医科大学新設を認めるよう国に求める。
  3. 公立・公的病院の統合再編の検討が必要として、霞ヶ浦医療センター等の実名リストが公表され地域住民から不安の声があがっている。地域医療を懸命に守っている病院であり、病床削減ありきで統合再編することは県民の願いに逆行する。リスト撤回を国に求める。
  4. なめがた地域医療センターの今後のあり方について検討しているが、縮小再編にあたって地域住民から2万余の署名が寄せられている。その地域要求に応えた医療体制の拡充、人員確保を県厚生連に求める。
  5. 鹿島労災病院施設と跡地の利活用について、敷地が県有地のため更地にして戻すとのことだが、同規模の波崎高校敷地は神栖市の所有でもあり、土地の交換で市一任する方向で相談すること。
  6. 公立病院への財政支援を図る。常陸大宮済生会病院への常陸大宮市の支出は3億3千万円に対し県は800万円。県の財政支援を強め、所在自治体の財政負担を少なくする。
  7. 「医療費適正化計画」は都道府県に病床再編、後発医薬品の使用促進、給付費の効率化などを義務づけた。「適正化計画」が定める医療給付費の「目標」と、「地域医療構想」による病床削減、「国保運営方針」による国保の財政運営をリンクさせており、撤廃を国に求める。県は地域医療構想で「機械的な病床削減を求めない」としており、必要な医療体制の維持・拡充をはかる。
  8. 看護師の増員をはかる。看護専門学校の定員増とともに、看護学生への修学資金貸与制度を拡充する。看護師の労働条件改善のための診療報酬改革を国に求める。
  9. 診療報酬の適正な引き上げ国に求める。
  10. がん治療を強める。死亡原因第1位のがんの予防・治療は、所得や地域にかかわらず早期発見・治療が受けられる態勢を整備する。特に遅れている健康診断の受診率を上げるための対策をおこなう。
  11. 全県のドクターヘリ体制を拡充する。
  12. 保健師数が全国42位と少なく増員と育成を図る。

(5)子どもの医療費助成の拡充

  1. 子どもの医療費助成制度は、外来も高校卒業まで拡大し、所得制限も窓口負担もない完全無料化をはかる。国に制度化を求める。
  2. 小学生以上や妊産婦、重度障害者、ひとり親家庭の医療費助成市町村にたいする国庫負担減額のペナルティ全廃を引き続き国に求める。

(6)児童手当・児童扶養手当などの社会的支援を強める

  1. 児童手当支給を18歳まで拡大する。
  2. 児童手当から学校給食費や保育料を徴収可能とした法改定の見直しを国に求める。
  3. ひとり親家庭の命綱である児童扶養手当の支給額を抜本的な増額を国に求める。
  4. 公的年金と児童扶養手当の併用支給を認めるなど改善を国に求める。
  5. 児童扶養手当の第2子以降への加算額を一律1万円に引き上げる。年3回の分割支給が11月から年6回に変更されたが、毎月支給に改善するとともに20才未満までの支給延長を国に求める。
  6. 子ども食堂や学習支援事業への財政支援を実施する。

(7)児童相談所、児童養護施設の拡充

  1. 増え続ける児童虐待の防止対策のため、保育所や学校、病院、児童相談所、保健所、子育て支援センター、児童養護施設など子どもにかかわる専門機関の連携を強化する。
  2. 中核的役割を担う児童相談所の相談支援体制の強化に向け、日立・鹿行の児童分室は児童相談所として格上げする。県南地域は人口増を考慮し児童同断所を増設し、一時保護所を併設する。児童福祉司と児童心理士の抜本的な増員と専門性向上に向けた研修を充実する。
  3. 児童相談所や児童福祉施設、小児病院や保健所、子育て支援センターなどが連携して、親への支援を強める。乳児院、児童養護施設などの職員配置の改善・増員と負担軽減、施設の改善、小規模化、家庭的養護をすすめる。
  4. 児童養護施設(18施設)の大幅定員削減計画は見直す。
  5. 児童養護施設や里親とともに暮らす子どもたちの教育、進学への支援を強めるとともに、18歳以上の継続措置を柔軟にすすめながら、進学や就職への安定的な自立援助を保障する。
  6. 里親制度をより使いやすい制度に改善し、相談、里親同士の相互交流、児童相談所や学校などとの連携強化など里親への支援を強める。

(8)認可保育所を増設し待機児童を解消する

  1. 幼児教育・保育の無償化は、消費税増税分を財源とせず行う。0~2歳児を含め、保育料を完全無償化する。その際、給食費の主食・副食も無料とすることを国に求める。
  2. 市町村の独自上乗せや負担軽減について、県として支援する。
  3. 保育料無償化の対象となる小規模保育園や企業主導型保育所、認可外保育施設は、国が示す指導監督基準によって「保育の質」の担保が義務づけられており、早急な達成を指導する。
  4. 県独自の多子世帯の保育料負担軽減事業をさらに拡充する。
  5. 認可保育所を増設し、潜在的待機児童を含めてゼロにする。地域の保育ニーズや潜在的待機児童の実態を市町村と協力して正確に把握し、保育所整備計画に反映させる。とくに待機児童が多い0~2歳児の定員をふやす。
  6. 市町村が公立保育所の建替等をすすめられるよう国に対し運営費国庫負担分の復活を求めるとともに、県独自の支援制度を創設する。
  7. 保育士の配置基準について最低基準の引き上げ、4・5歳児の配置改善加算の早急な実施を国に求める。
  8. 保育士の賃金引き上げ等の処遇改善をすすめる。保育士の専門性に見合った賃金引き上げをおこない、保育士確保のための県独自の給与上乗せ補助を実施する。保育士以外の職員に対する処遇改善もおこなう。保育士の研修や仕事の準備、事務の時間確保ができる運営費に改善するよう国に求める。
  9. 障害児や発達障害児の保育に対する県補助を創設し、市町村補助との格差を是正する。

(9)学童保育の増設と保育内容の拡充

  1. 共働き世帯やひとり親家庭が増えており、子どもたちが放課後を安全に安心して過ごせる学童保育を必要な数だけ増設し、待機児童を解消する。入所要件を満たすすべての子どもが利用でき、毎日の生活の場にふさわしい安全で楽しい施設・設備に改善する。
  2. 学童保育の増設、施設の改善・拡充、高学年児童や障害児の受け入れ等、市町村まかせで施設・運営面での自治体間格差が広がっている。法改定で対象が小学6年生まで拡大されたが、施設や指導員の不足を理由に利用が制限されている。
  3. 指導員を複数配置し、有資格者の配置を『従うべき』基準に戻すなど処遇改善へ支援策を強める。国の処遇改善事業や給与改善事業の積極的活用を市町村に働きかける。放課後児童支援員認定資格研修を受講しやすいよう、研修回数と場所の増加、参加枠の拡大をはかる。
  4. 障害児の受け入れについて、国の交付金に加え、県の補助制度を創設する。
  5. 国基準は1施設が概ね40人以下であり、71人以上の大規模施設の分割を早期にすすめる。
  6. 利用料の軽減にたいする県補助を実施し、低所得世帯やひとり親家庭、多子世帯の学童保育料の負担を軽減する。
  7. すべての子どもを対象とした「放課後子ども教室」と「学童保育」は一体化ではなく、それぞれ充実させ連携強化をはかる。

(10)安心して利用できる介護保険への改善

  1. 介護保険料の値上げは行わない。介護保険料滞納者への差し押さえ処分は行わない。国庫負担割合の引き上げを求める。県独自の保険料・利用料の減免制度を設ける。
  2. 要支援1・2の訪問・通所介護を保険給付に戻す。要介護1・2の訪問・通所介護や福祉用具の利用制限など介護のとりあげを行わないよう国に求める。
  3. 特別養護老人ホームを増設し、待機者を解消する。要介護1・2も養護老人ホームに入所できるよう独自制度を設ける。
  4. 介護職員の処遇改善について、現行加算と特定加算の実施状況を調査・公表するとともに、利用者や市町村の負担増につながらないよう財政措置する。
  5. ケアプラン有料化は行わない。ケアプランの報酬体系を見直し、ケアマネージャーの独立性を保障するケアマネジメント報酬へ引き上げるよう国に求める。
  6. 介護事業所の経営が困難となる理由に収入減とともに人材確保の困難があげられる。介護職員の処遇改善へ報酬改定を国に求めるとともに、県独自の補助制度を創設する。
  7. 主任介護支援専門員を管理者要件とする経過措置を延長する。
  8. 特養ホームや老健施設の職員配置基準を見直し実態に合うよう増やす。
  9. 介護初任者研修資格取得の支援体制を強化する。
  10. 介護職をめざす若者に給付制の奨学金制度を確立する。介護資格取得貸付制度は、給付制にする。

(11)必要な人すべてが受けられる生活保護制度の確立

  1. 福祉施策全般を後退させる生活保護基準の引き下げは行わない。政府は生活保護制度を改悪し、母子加算や0~2歳時の児童養育費の加算を削減している。子育て支援に逆行する施策の中止を国に求める。老齢加算は復活する。
  2. 2018年4月以前の生活保護受給者についても、エアコン設置補助を支給するとともに、電気代として夏季加算を創設する。
  3. 扶養義務調査は、親族と生活保護利用者の関係を悪化させ、生活保護の受給を抑制している。親族の関係を悪化させる扶養義務調査を中止するよう国に求める。
  4. 生活保護のケースワーカー職員を増員する。
  5. 実態に即して車の保有を認める。特に母子家庭の保育所送迎や障害者の通院などに配慮する。
  6. 生活保護制度の周知徹底をはかる。広報紙などで制度の内容や手続きを知らせる。窓口にきた人に申請書を速やかに渡し受け付ける。そのうえで生活状況を調査する。
  7. つくば市の級地指定引き上げを国に求める。

(12)障害児・者の施策充実、医療的ケア児と家族への支援

  1. 「あすなろの郷」は、障害者の権利と尊厳を保障する立場に立ち、定員の削減計画は中止する。民間移管は行わない。
  2. 重度身体障害者入所施設の不足が深刻であり、施設を増設する。
  3. 重度心身障害児や医療的ケア児とその家族への支援を強める。重症心身障害児を受け入れる医療機関、通所施設への人的、財政的な支援策として、看護師や機能訓練士の確保を支援する。医療的ケア児に対応するショートステイやレスパイト事業を提供する医療型児童発達支援センターを設置する。地域毎の偏在解消、特に県南地域への新設をすすめる。
  4. 障害者施設で働く職員の処遇改善を国に求める。
  5. 停電時に在宅で人工呼吸器等を稼働する発電機の購入費補助を実施すること
  6. 障害者が地域で自立した生活ができるよう、身近な所にケアホーム・ショートステイ、グループ入所施設の増設をはかる。
  7. 障害者手帳1、2級所持者の自宅改造のためのリフォーム補助制度を創設する。住宅備品は下肢障害、養育手帳Aなどに限られている。
  8. 24時間365日対応できる精神科一般救急医療体制を早急に整備する。
  9. 精神障害者も医療費助成をさらに拡充する。福祉手帳の1級にととまらず、2級所持者まで医療費助成を拡大する。
  10. 難病患者の医療費助成は無料に戻し、特定疾患の指定拡充を国に求める。県の独自補助を創設する。
  11. 加齢性難聴者への補聴器購入助成制度の創設、さらに保険適用化を国に求める。
  12. 総合福祉会館の第2駐車場を近くに確保する。

(13)動物愛護の推進

  1. 「茨城県犬猫殺処分ゼロをめざす条例」の実現に向けて取組を促進する。動物愛護団体や県獣医師会とも協力し、里親探しや県営の一時保護所(シェルター)を設置する。負傷動物の受入れは県動物指導センターと県内約100ヶ所の指定病院以外の動物病院でも受け入れるようにする。
  2. 「茨城県動物の愛護及び管理に関する条例」の野犬掃討に薬物を使用することができる条項は削除する。

(14)被爆者援護の適用対象が被爆者本人に限られている。被爆2世等の健康被害が深刻に表れており、被爆者と同等の援護を実現する法改正とともに全国の実態把握をおこなうよう国に求める。

〔4〕中小企業支援を強め、本物の働き方改革を進める

  1. 全国一律の最低賃金制度の創設を国に求めるとともに、本県の最低賃金をただちに時給1000円に引き上げ、1500円をめざすよう県内企業や雇用者に働きかける。その際、中小企業の賃上げ支援予算の増額と、社会保険料の事業主負担分の減免等を国に求める。
  2. すべての労働者を対象に「残業は週15時間、月45時間、年360時間 まで」と上限を労働基準法で規制し、長時間労働を是正するよう国に求めるとともに、県内事業所に長時間労働是正の取り組みを促進する。
  3. あらゆる職場で非正規労働者の正社員化をすすめ、特に県補助金で誘致した企業の正社員雇用を促進するとともに実績を公表する。
  4. 保育・介護・障害福祉労働者の賃金を月5万円引き上げ、一般労働者との格差をなくす施策を国と県で行う。
  5. 職場においてジェンダー平等の促進と、同一労働同一賃金を実現するとともに、あらゆるハラスメントを防止する取り組みを強化する。
  6. 所得税法56条を改正し、家族従業者の働き分を正当が評価されるよう税制改正を国に求める。
  7. 県や市町村、民間企業の障害者法定雇用率の厳守を徹底し、さらに法定雇用率を引き上げる。定着支援を適切におこなうためにジョブコーチ(職場適応援助者)を増員する。
  8. 中小企業の事業承継や人材雇用・育成支援を強化する。石川県、京都府、兵庫県、大分県のように、就職した若者の奨学金返還を助けている中小企業に対して県補助制度を創設する。
  9. 茨城県産業活性化推進条例が単なる「飾り」ではなく、実際に役立つものとなるよう、商工団体・金融機関・自治体の連携で「全事業所調査」等を行い、地域の中小企業の実態を把握して得られた情報を施策に生かす。
  10. 外国人労働者に人間らしい生活を保障するため、外国人材支援センターでの生活全般に係るワンストップ相談を推進するとともに、外国人児童の学校教育支援や多文化共生社会の実現を図る。技能実習とは名ばかりの安価な労働力とされ、強制労働、低賃金、高額の保証金や違約金、強制帰国、セクハラなどの人権侵害を防止する取り組みを強化する。

〔5〕地域農業を再生し、食料自給率を向上させる

  1. 小規模家族農業者の保護と農政への転換をはかる国連は今年から10年間を「家族農業の10年」と定め、持続可能な農業の発展に適した担い手である小規模家族農業支援と食糧主権をすすめる。国は大規模で企業経営優先の農政を転換し、小規模家族経営の支援を重視し財政支援を拡充する。
  2. 農業経営の持続的な再生産を保障するため、農産物価格を一定の水準で支える価格保障と、農業後継者を新たにつくる所得補償を抜本的に充実させる。農業者戸別所得補償の復活を国に求める。
  3. 県産農産物の消費拡大を図る。県産品の米や農水産物を学校や病院・福祉施設などで積極的に活用する「地産地消」の取り組みを強める。米飯給食を増やし、地元産を活用したパンや加工品の普及・拡大を支援する。朝市や直売所、地域の農産物による加工事業に対する支援を拡充する。
  4. 中山間地等直接支払制度の恒久化と要件緩和を国に求め、県として中山間地など条件不利地への支援を充実する。
  5. 農地中間管理機構は、条件のよい優良農地に営利目的の企業が参入しやすい仕組みであり、耕作放棄地の増大や農地の荒廃を食い止めるものではない。貸付先は地域の農業者を優先し、農民代表を機構役員に選任するなど、制度改善を国に求める。
  6. 新規就農者を増やす特別の努力をおこなう。就農希望者の研修、農地や住宅の確保、資金、技術の提供、販路確保など総合的な支援体制を確立する。農業次世代人材投資事業の予算が減額されたため、申請希望者の多くが窓口で拒否され、給付額の半減などの事態が広がっている。予算規模を元に戻すよう国に求め、希望するすべてを対象にする。60歳以上の定年退職者などにも農業技術の研修や農地斡旋など就農できるよう支援する。
  7. 優良な種子生産と農家への安定供給を保障するため、「主要農産物種子法」の復活を国に求める。また付帯決議採択にもとづき、従来通りの国の予算措置を求める。県が稲・麦・そば・大豆種子の生産に取り組むことを明確化した種子条例を制定する。
  8. 豚コレラの感染拡大を防止するための措置に万全を期すよう国に求める。本県も隣接県として地域限定の緊急ワクチン接種を行うよう国に求める。患畜が発生した場合には、経営を再建できるよう長期間の経済支援を行う。畜産経営を維持・再建し、生活に支障がないよう十分な措置を講じることを国に求める。移動制限、出荷自粛地域に対する支援、農家が豚コレラ対策で支出する衛生対策費に対する助成を国に求める。
  9. 農産物・畜産物・水産物の放射能汚染検査を継続し、検査体制を強化する。生産者への迅速な補償を国と東電に求める。
  10. 鳥獣害対策を抜本的に強める。防護柵・わなの設置など農家や自治体の取り組み、駆除に参加する猟友会員を支援する。イノシシの抜本的・総合的な駆除対策をすすめる。稲戸井調節地内に生息するイノシシを調査し、捕獲する。
  11. 県産材利用促進のため学校や公営住宅など、公共事業への利用を積極的に進める。県産材を使用した住宅建築を支援する。間伐材の利用や木くずの燃料化、バイオマス発電の推進など、新たな事業の促進をはかる。県産材利用補助制度の対象人数の拡大と申込基準を見直し、申請条件を拡げる。
  12. 漁業者の所得補償や販路の確保、地産地消の推進、水産加工の振興に取り組む。

〔6〕環境を守り、安心して暮らせるまちづくり

(1) 住宅・空き家対策

  1. 若い世代の県内定住には、雇用の確保、交通網の発達とともに、安価な住宅が必要である。「住まいは福祉」という立場から、特に市町村営住宅が少ない自治体に対し建設を促すとともに、県営住宅を確保する。
  2. 県営住宅では、入居の際の連帯保証人制度を廃止する、家賃減免制度は非課税世帯に加え、病気、失業者も免除する、入居条件のうち「県内居住、または勤務先があること」を削除する、税金を滞納分割した場合は入居を認めるなど改善を図る。県営住宅の老朽化が目立つが、定期的な点検、補修を行う。
  3. UR賃貸住宅(取手・戸頭団地)を災害時の「避難住宅」「みなし仮設住宅」として活用できるようにすること。URは8棟を壊す計画だが、耐震性に問題はなく使用できるものである。
  4. 雇用促進住宅の民間売却後も入居者の居住権を保障し、家賃の値上げもおこなわないよう求めること。
  5. 空き家が増えるなか、市町村が行う「空き家条例」「空き家バンク」に対し支援を図る。また、持ち主不明や管理されてない土地建物も増えている。周辺住民の安全や景観維持の障害ともなっており、取り壊し等にかかる費用を担保する制度をつくる。

(2) 道路整備・交通安全

  1. 道路維持予算を抜本的に引き上げる。県道の改修、信号機の設置など、安全な道路づくりをすすめる。誘導線(センターライン、停止線等)、横断歩道等が薄く、消えている部分もあり道路の劣化防止に予算を取り対応する。
  2. 都市計画道路3・3・2号線(酒門工区)の早期完成をめざす。
  3. 県道長沢・水戸線の下国井・上国井部分の歩道未整備地区は通学路にもなっており、道路の拡幅と歩道の整備を急ぎ行う。
  4. 常陽銀行(水戸市)見和支店前の県道岩間街道の白線が消え、夜間の運転は右左折時等大変危険である。夜間でも白線が見えるよう整備する。
  5. 県道水戸神栖線の水戸駅北口「細谷ビル前」の横断歩道前の路面凸凹がひどく白線も消えていて危険である。早急に整備する。
  6. 水戸市河和田町133番地18の信号機の待ち時間が長く、桜川団地より幹線市道18号線になかなかでられない。時間調整を図る。
  7. 視覚障害者が安全に交差点を渡れるよう、水戸市梅が丘小学校入り口、水戸市見和1丁目バス停脇の交差点、カスミストア見川店脇の交差点に音響信号機を設置する。
  8. JR赤塚駅南中央通り線と梅が丘通り線との交差点に信号機と点字ブロックを設置する。
  9. つくば市中根金田台開発地域内の道路と土浦学園線の早期接続を図る。
  10. 取手市寺田・とげぬき地蔵尊付近は「大規模盛土造成地」となっており、国道294号線にかかることから目視だけでなく空洞化調査を行う。
  11. かすみがうら市戸崎地内の国道354号交差点は道路が曲線上となっているため対向車が見えにくく事故が多発している。道路の拡幅など大幅な改良を行う。
  12. 神栖市内を走る国道124号線について、片側2車線の交差点での中央分離帯乗り上げ事故が相次いで起こっており、事故防止策を講じる。また中央分離帯に緑を植え、歩道にも街路樹を整備する。
  13. (神栖市内)シーサイド道路の一部通行止めが解除されていない。県の指導で早期に解除する。
  14. 若草大橋有料道路を無料とする。栄橋(利根町)は片側1車線で右折信号もなく、JR常磐線布佐駅(千葉県我孫子市)を利用し通勤する住民は50年近く渋滞に苦しんできた。以前、若草大橋有料道路の無料化実験で栄橋渋滞緩和に「効果があった」との声も聞いた。無料化に向け県道路公社と話し合うこと。

(3) 鉄道・コミュニティ交通

  1. 市町村が独自に運行しているコミュニティーバスやデマンド型乗り合いタクシー等への助成を拡充する。高齢者や学生等の移動手段として充実を求める要望は強く、行政区を越えて相互に乗り入れ運行ができるよう、市町村支援と協議会立ち上げ等の役割を果たすこと。
  2. 高齢化率が42%を超える利根町において、高齢者の移動手段の確保は喫緊の問題である。町内を走るバスは無料の福祉バスとなっており、龍ケ崎市などが活用する地域公共交通確保維持改善事業の補助金対象から外れている。無料福祉バスも補助金の対象とするよう国に求めるとともに、県として対策を講じること。
  3. 鉄道の安全対策、バリアフリー化を各鉄道各社に求める。ホームドアの設置、点字ブロックや音声案内装置の設置等、安全対策を義務付けるよう国に求める。
  4. JR岩間駅の自由通路、及び駅構内へ音声案内装置を設置する際に、国補助を求めるとともに県補助を行う。
  5. JR取手駅東口のバリアフリー化について、取手市外からの乗降客も多い駅であることから、県も応分の負担を図る。
  6. 精神障害者2級者にもJRなど鉄道会社の交通運賃割引制度の適用を図るよう求める。
  7. JR千代田線の朝夕の増便、昼間の時間帯の運行をはかるようJRに求める。
  8. 取手駅東口も改札に駅員を配置するようJRに求める。
  9. 関東鉄道西取手駅にエレベーターを設置するよう働きかける。
  10. 鹿島スタジアムへの乗降客が多いJR鹿島神宮駅にエレベータを設置するよう求める。
  11. つくばエクスプレスは毎年黒字となっており、特に通学定期券をJR並みに引き下げるよう要請する。
  12. 取手市桜ヶ丘のバス便の拡充、バス停に屋根とベンチを設置する。

(4)環境対策

  1. 蓄電池導入への補助も含めて、住宅用太陽光発電への補助を復活する。
  2. 一定規模以上の再生可能エネルギー施設設置は、県や地元住民の同意などを必要とする制度とするよう求めること。その際は情報公開と、地域住民や専門家も交えた協議の場を設ける。事業者に処分費用積み立てを義務付けることを国に求める。
  3. 利根町でも太陽光発電施設が急速に普及しましたが、台風や大雨での浸水や破損状況、有害物質による環境汚染について、調査状況を明らかにすること。
  4. エコフロンティアかさまの安全運用をはかる。「エコフロンティアかさま」の堰堤が、豪雨などによって崩壊することがないよう安全対策をしっかりおこない、住民にも納得がいく説明をおこなう。
  5. 温室効果ガス削減に逆行する石炭火力発電所の新増設計画は中止する。
  6. 県許可の林地開発により山林が掘削・盛り土され、太陽光発電施設等が建設され、建設後、あるいは建設途上に近隣住民に被害をもたらした場合、市町村に権限を委譲した後でも、県として住民救済の対応を図ること。
  7. 1ha未満の林地開発は樹木伐採の届け出を市町村に行うことになっているが、市町村には許可権限がない。環境を守り保全し、住民の住環境と安全を守ることができるよう、林地開発の基準を定める県条例をつくる。さらに国の立法措置ができるよう提言をまとめ、有効な対応ができるよう働きかける。
  8. 「茨城県土砂等による土地の埋め立て等の規制に関する条例」は、周辺住民の意見を充分反映できるものに改定する。特に県の許可面積を他県並みに引き下げると同時に、他県からの搬入はおこなわないようにすること。
  9. 取手競輪場敷地の近隣への雨水排水・土砂崩れ等、問題対策をはかること。雨水排水は競輪場施設内で処理すること。

(5)河川整備・治水対策

  1. 県内河川の堤防整備をすすめ、治水対策を早急におこなう。無堤部の築堤計画を明らかにし堤防整備を促進する。
  2. 利根川下流の堤防整備を急ぐよう国に要望するとともに、排水路、支流の逆流防止についても早期に解決を図る。
  3. 沢渡川および堀川の護岸整備をすすめること。流下を阻害する堆積物の除去と、川底の掘削など状況に応じて速やかに行う。
  4. 石川川の河川改修をすすめること。当面、石川橋下流の護岸対策をおこなう。
  5. 水戸市見川5丁目の第二桜川団地の脇を流れる桜川は堤防がなく、台風19号、10月25日の大雨で道路すれすれまで水があふれた。堤防をつくること。
  6. 相野谷川・北浦川・西浦川の早期改修をおこなう。
  7. 小貝川の河川改修を早期におこなう。とくに危険・重要度Aランクの早期改修を図る。流域内の樹木伐採や稼働掘削等をおこなう。小貝川藤代大橋の塗装を行う。

(6)住民主体のまちづくり

  1. 水戸市新市民会館建設を進める再開発事業については、住民や商店主の声を聞き、まちの疲弊につながる無謀な開発や強制立ち退きを認めないこと。文化施設のすみ分けで、県との文化の醸成、市民活動の活性化を支援すること。
  2. つくば市の国家公務員宿舎跡地は、地域住民の意向にそって、公共用地として確保できるよう県の役割を発揮し、国に財政支援を求める。
  3. 大洗港区にあった“釣り公園”の再開と、「釣り禁止」の看板を撤去し家族連れが楽しめる港とすること。
  4. 取手競輪場は、設置されている地元住民の声はもとより、広く県民の意見を聞きギャンブル施設から文化、スポーツ施設などへの転用を図ること。競輪場内駐車場道路の街灯を増設すること。

〔7〕すべての子どもの尊厳を大切にし、お金の心配なく学べる教育の実現

  1. 「いじめ・体罰・不適切指導」から子どもの命と人権を守る。学校での対応として、1)いじめへの対応を後回しにしない命最優先の原則の確立、2)教職員・保護者の情報共有を重視、3)子どもの自主性を高めていじめをとめる人間関係をつくる、4)被害者の安全を確保し、加害者への厳正で適切な対応、5)被害者家族の真相を知る権利を尊重して情報を隠さない。
  2. 不登校を本人や家庭の責任とする風潮をあらため、学校強制でない教育の権利、安心して休む権利、自分らしく生きられる権利などを保障する立場から、1)安心して相談できる窓口の拡充、2)学校復帰を前提としない公的な施設の拡充、3)フリースクール、親の会の活動を認めて公的支援を行う。
  3. 公立学校の教員への1年単位の変形労働時間制の導入に反対する。1年単位の変形労働時間制は、「繁忙期」に1日10時間労働まで可能とし、「閑散期」とあわせて平均で1日当たり8時間におさめる制度で、教員の異常な長時間労働を加速しかねない。
  4. 教職員の働くルール確立のため、1)教員の残業代不支給規定の削除と残業時間の規制を国に求める、2)労働時間把握と健康管理を行う、3)専門職としての尊重、自律性や自主的研修などを重視し、保障する、4)非正規教職員について、低い給与を引き上げるとともに、フルタイム教員は基本的に正規雇用をすすめる。
  5. 小中学校の全学年で「茨城方式」による35人学級をさらに拡充し、すべてのクラスで35人以下学級をすすめること。
  6. 学校の統廃合は、子どもの教育環境や地域コミュニティに大きな影響を与え、地域の教育力の衰退、子どもの長時間通学、いざという時の安全面の不安などでもデメリットがある。一方的な統廃合ではなく、小規模校を地域に残して充実さる教育実践を進めること。
  7. 学校施設整備の予算を増額し、校舎や施設の老朽化対策を抜本的に強化する。普通教室だけでなく特別教室や体育館へのエアコン設置、トイレの洋式化等の改善を早急にすすめる。学校の非構造部材(天井材、内外装材、照明器具等)の耐震化を実施するとともに、避難所として必要な水や燃料、毛布などの整備を進めること。
  8. 公立図書館を充実させるとともに、学校図書館への1校1名の選任司書を配置し、子どもたちに豊かな読書や知る喜びを保障し、教師には豊かな授業展開のための情報や資料の提供を可能とする。
  9. 学校給食の無償化をはじめ、義務教育で残されている制服や副教材、部活動日など保護者負担を軽減する。スクールバスの無料化が実施・継続できるよう、県や国の補助制度を恒久化する。
  10. 給食パン、米飯、めんなど主食の安定供給を図るための取組を推進する。パン小麦にグリホサートなどの有害な農薬が使用されないこと。
  11. 就学援助の国庫負担制度をもとに戻すよう求めるとともに、市町村の実施状況を毎年把握する。援助対象を生活保護基準×1.5倍まで広げ、支給額の増額や援助内容を拡充してするとともに、利用しやすい制度に改善する。
  12. 高校教育の無償化を進めるために、私立高校の施設設備費をふくむ学費無償化や就学支援金の所得制限の撤廃をはかる。私学助成について「建学の精神」を尊重し、学校評価を助成の交付要件にしている県の方針を見直す。
  13. 県立中高一貫校の開設は受験競争を早期化・激化させ、家庭の経済格差がさらに学力格差に反映されることになる。 県立高校の40人学級を是正して少人数教育に踏み出す。中高一貫校の「校長選考試験」は見直す。つくば市に県立高校を新設する。
  14. 特別支援教育において、1)教室・教員不足の解消、2)過密化、老朽化を解消するための学校増設、3)学級定数の改善、4)通級指導教室の潜在的ニーズを明らかにして教室を増やす、5)高校での特別支援教育の体制を確立する。インクルーシブ教育の合意形成をはかり、小規模分散の地域密着型の学校とする。
  15. 外国人の子どもへの教育条件として、公立学校への受け入れ体制の整備、外国人学校への支援、日本語教室設置、公立高校への入学資格の改善など在日外国人の子どもの教育を保障すること。
  16. 公立夜間中学の開設をさらに推進するため、教員配置と研修保障、日本語指導教員等の配置、バリアフリー化をはか。
  17. 性的マイノリティ(LGBTQ)の子どもへの配慮をすすめ、「児童生徒が自認する性別の制服・体操着・髪型などを認める」、「着替えの別室利用を認める」、「修学旅行での宿泊部屋や入浴に配慮する」等の具体的取り組みを行うとともに、研修や授業で教職員や子どもたちの理解をすすめる。
  18. すべての学生を対象に、大学・短大・専門学校の授業料をすみやかに半分に値下げし、段階的に無償化をはるよう国に求める。低所得者を対象にした給付型奨学金制度を拡充し、必要な学生が利用できるよう求めるとともに、県独自の給付型奨学金を拡充すること。

〔8〕公共事業を生活密着型へ、防災・老朽化対策を

  1. 工業団地整備やつくばエクスプレス沿線開発等の大型公共事業のために、県債発行や国直轄事業負担金の増大、保有土地対策への2300億円超の県税投入により、県民に大きな負担をしいている。開発優先の県政を反省し、社会経済情勢の変化等を踏まえて公共事業の抜本的な見直しを行う。
  2. 公共事業の効率化,重点化 透明化を図るとした「公共事業の再評価事業」の形骸化をあらため、道路以外にも茨城港常陸那珂港区建設や霞ケ浦導水事業等を含めた対象事業の拡大を行う。
  3. 東京電力火力発電所の石炭灰埋め立てによる常陸那珂港区建設は、総事業費6800億円にのぼる大企業専用港である。中央ふ頭、南ふ頭の建設は中止し、ひたちなか地区開発は土地利用の全面的な再検討を行う。
  4. 県総合計画で人口減少を予測しながら、水の使用量が増えるとする長期水需給計画と水源開発を見直す。霞ヶ浦導水事業は工期が2023年度まで延長され、事業費の大幅増額は必至である。水余りをいっそうすすめる水源開発から撤退し、市町村への過大な契約水量の押し付けを見直す。
  5. 広域水道事業の経営戦略にもとづく老朽施設の更新や防災対策を着実に進めるとともに、会計の黒字分を還元して水道料金の引き下げ要望にこたえる。
  6. 県民生活密着事業、防災・減災事業を重点化し、老朽化した学校施設や県有施設の改修、トイレの改善、バリアフリー等をすすめる。
  7. 全国最下位クラスの道路改良率を引き上げるため、生活道路や通学路である市町村の道路改良に補助を行う。道路や橋梁、トンネルの維持管理費を増やし、県道や県有地の除草回数と範囲を拡大して安全で快適な環境を整備する。
  8. 河川改修予算を増やし、河道掘削や堤防の早期整備・強化をすすめる。

〔9〕地方自治を守り、県民本位の財政を確立する

  1. 水道事業等の県民生活に密着した事業は民間委託等ではなく、公的責任で拡充を図る。県施設への指定管理者制度導入にあたっては、これまでの実績を重視し、運営への住民参加や情報公開、個人情報保護などを条例に盛り込む。
  2. 地方自治体が「住民福祉の増進を図る」ために必要な財源保障を強く国に求める。財源確保の手段としての消費税増税に反対し、減税を求める。
  3. 福祉・医療・教育・防災など住民サービス分野の職員を増員する。当面、条例定数どおりの県職員を配置し、退職者の再雇用については定数に含めない。
  4. 課税強化による税収確保はやめ、地域経済の振興、消費購買力の向上などによる税収増を基本とする。「茨城租税債権管理機構」による徴税強化は改める。政府答弁は「人命、人権を脅かす徴収はしてはならない」としており指導する。また、滞納に対する利息を見直すと同時に、納税者の立場に立った徴税業務に改善を図ること。きめ細かい納税相談に応じる。
  5. 障害者や高齢者の参政権を保障する。在宅投票制度の対象拡大や手続きの簡素化などいっそうの改善を図る。点字広報や点字記載の投票用紙を配付すること。投票所のバリアフリーをすすめ、政見放送に字幕をつけるよう国に求める。永住外国人の地方参政権を保障する。
  6. 警察行政は市民生活の安全を守る機関として民主的に改革する。自白強要やえん罪防止のために捜査全体の可視化をすすめる。県議会が警察予算と警察行政全般を監視、点検できるよう改める。
  7. 交番・派出所の廃止統合など県警察施設の再編は改め、交番を増設する。
  8. 茨城テレビ放送をつくり、より県民に県内情報を伝えるよう民間放送局を援助する。

〔10〕憲法を生かし、平和行政・基地問題に取り組む

  1. 日本国憲法は、憲法9条という世界で最もすすんだ恒久平和主義の条項をもち、30条にわたる豊かで先駆的な人権規定が盛り込まれている。日本国憲法の進歩的な諸条項を生かした社会の実現をめざす。
  2. 安倍政権がすすめる9条改悪に反対し、北東アジアの平和と安定の構築、憲法の全条項の厳格な実施を国に求める。
  3. 牛久市にある東日本入国管理センターでは、収容者が長期・無期限収容、劣悪な環境等に対し度々抗議行動が起き死者も生まれている。日弁連が「予防拘禁と共通する性質」と指摘する収容はやめて、必要性や相当性の要件化を検討するよう国に求める。
  4. 人類の存亡を危うくする核兵器の廃絶をめざし、国連の核兵器禁止条約への署名と被爆者への国家補償を国に働きかける。「非核平和茨城県宣言」の立場から、県民の核兵器廃絶の取組を支援する。広島・長崎の平和式典に県内小中高生を平和大使として派遣する事業を推進する。
  5. 沖縄への米軍辺野古新基地建設の強行に抗議し、沖縄県民投票で示された民意を尊重するよう国に働きかける。
  6. カネで政治をゆがめる企業・団体献金(企業・団体によるパーティー券購入を含む)を禁止し、政党助成金を廃止するよう国に求める。
  7. 航空自衛隊百里基地における日米共同訓練の中止を国に求める。オスプレイの配備に反対するとともに、オスプレイの飛行中止・飛行ルートの情報開示を国に求める。
  8. 米軍C130輸送機は、本県上空を含めた広範囲を有視界飛行訓練空域としている。地上から300メートル以下の低空飛行は認められておらず、危険な低空飛行の即時中止と飛行区域・飛行予定の情報提供を国に求める。
  9. 早朝・夜間訓練の中止を求める。基地周辺騒音被害の実態調査を行って国に被害補償を求める。
  10. 基地に入った苦情について県への報告を求める。住民が基地に苦情・問い合わせする際の無料電話の設置を求める。
  11. 茨城空港の就航対策や利用促進のための県税投入をやめる。自衛隊機の展示やエアパーク整備は行わないこと。周辺住民に多大な迷惑を及ぼしている観閲式及び航空祭は取りやめるよう国に求める。自衛隊の各種イベント参加や、試乗体験、武器の展示等は行わない。
  12. 県と市町村が行う「自衛隊募集事務」を行わない。自衛隊茨城地方協力本部が市町村に「適齢者名簿」の提出を求めていることに対し、県民の了解なしで個人情報を提供することはやめる。

以上

2020年度の県予算編成並びに施策にたいする重点要望書(PDF)