江尻かな県政ニュース 2025年7月号

江尻かな県政ニュース 2025年7月号表 江尻かな県政ニュース 2025年7月号裏

県議会最終日の6月17日、提案された議案と意見書15件のうち、2件について反対理由を討論しました。(以下討論要旨。討論全文はこちらから

軍拡増税の一環であるたばこ税値上げに反対

県税条例等の一部改正のうち、県の加熱式たばこ税額の引き上げに反対です。
政府は税制大綱で、「加熱式たばこと紙巻きたばことの税負担の差を解消し、課税の適正化による増収を防衛財源に活用する」と明記。27年度までの防衛費を43兆円と定め、法人税、所得税、たばこ税で1兆円強まかなう方針です。加熱式は26度から、27年度以降は紙巻たばこも合わせて値上げし、2千億円以上の増収を見込んでいます。

文教費の2倍、農林水産費の4倍

日本の防衛費は8兆7千億円に膨れ上がり、今後も増額の方針。加えて、トランプ政権の「日本の軍事費は少なくともGDP比3%必要」との要求に従えば18兆円です。

今でも防衛費は文教予算の2倍、農林水産予算の4倍という異常な予算構造になっており、大軍拡を続ければ暮らしも経済も平和も壊されます。よって、防衛増税の一環であるたばこ税値上げに同意できません。

新産業廃棄物処分場建設に伴う搬入道路トンネル工事に反対

新産業廃棄物最終処分場の建設(日立市)に伴い、搬入道路となる(仮称)大久保町第一トンネルの工事請負契約を締結することに反対です。契約の相手方は、株木・オカベ・秋山特定建設工事共同企業体で、契約額13億1780万円、落札率は98%。道路1mあたり400万円になります。

特定企業に事業費の6割発注

株木・オカベ・秋山共同体は、処分場本体工事も218億円余で請け負い、道路を合わせた231億円は総事業費(389億円)の6割に達します。特定企業への利益誘導になっているのではないか。資材高騰を理由に、事業者からスライド条項の申請があればさらに増額です。

処分場については、建設場所の選定過程が不透明、かつ大型車両の通行に適した道路がない場所を選んだために道路を新設することになりました。さらに、広大な唐津沢に降る雨による自然災害の危険も指摘されます。地元住民が訴えた裁判も継続中です。処分場建設の見直しを強く求め、トンネル工事請負契約の議案に反対します。

トンネル工事は共産党とつくば市民ネットが反対、税条例は共産党が反対しましたが、自民・公明・国民民主・立憲・無所属などの賛成多数で議案は可決されました。

とめよう!東海第二原発首都圏連絡会が主催
院内ヒアリング集会で規制庁に質問

国会最終盤の6月16日、東海第二原発問題で院内集会が開かれました。江尻県議のほか原発運転差止訴訟の原告らも参加。原子力規制庁や経産省に対して、事前に提出した質問事項の回答を求め、国の責任を質しました。

「施工不良の責任は原電にある」

江尻県議が「防潮堤欠陥工事の責任は、施工したゼネコンか日本原電か、それとも検査する規制庁にあるのか」と質したのに対し、規制庁担当者は「第一義的には事業者の日本原電にある」と回答。そのうえで、規制庁の役割は、「現地検査官が日本原電が作成する不具合やトラブルの報告書を点検したり、原電の対策会議を傍聴したり、工事個所を確認している」との説明をくり返し、なぜ事前に施工不良をチェックできなかったのか曖昧な回答でした。

「原発運転能力が有るとの判断をくつがえすものはない」

江尻県議は、「茨城県知事が、火災を頻発する日本原電について、原発運転を的確に遂行する技術的能力が有るのか説明すべきと規制委員長に求めたが、見解はどうか」と質問。担当者が「技術的能力が有るとの判断をくつがえすものは確認されていない」と答えると、参加者から「それはおかしい」と批判が相次ぎました。

集会を主催した首都圏連絡会は、今後も東海第二原発の再稼働を止めるために運動を広げていきたいとしています。

6/16 最高裁包囲ヒューマンチェーン

江尻県議は最高裁に抗議するヒューマンチェーンにも参加。
国に原発事故の責任はないとした最高裁判決から3年。判決のあと、国は原発回帰への大転換をすすめています。

【東海第二原発運転差止訴訟は、8月22日に東京高裁で第7回口頭弁論が行われます。】

県がPFAS調査継続 国に対策推進を要望

●6月11日の防災環境産業委員会で、江尻県議はPFAS問題について質問しました。県が2日に提出した国への要望の中に、「有機フッ素化合物(PFAS)対策の推進について」が盛り込まれています。県では、河川や地下水の調査は環境対策課が、水道水は企業局が行い、結果をそれぞれのホームページに掲載しています。

3河川と3市で暫定指針値を超過

●河川は2021年度からの4年間で76河川を調査。3河川で指針値の超過を確認し、毎年調査を実施しています。

※指針値とは・・・PFOS・PFOAの合計値が50ng/L

●地下水は2021年度から毎年3自治体を選んで調査を実施し、神栖市と水戸市で超過を確認。周辺井戸の調査や住民への周知、水道への切り替えを指導しています。2025年度も調査を実施します。

2021年度/日立市・土浦市(超過なし)、神栖市(210ng/L)
2022年度/北茨城市・龍ケ崎市・下妻市(超過なし)
2023年度/守谷市・桜川市・鉾田市(超過なし)
2024年度/つくば市・常陸大宮市(超過なし)、水戸市(58ng/L)

国への要望書はこちら(茨城県公式Web・PDF)

●鉾田川で指針値を超えるPFASが検出されたことを受け、県と鉾田市は流域部の飲用井戸水を2024年12月から調査。これまでに行った5回の調査で、超過する井戸が複数判明(最大1,300ng/L)したことから、さらに範囲を広げて調査を継続中です。汚染の理由は特定できていません。

百里基地内にPFOA含有泡消火剤 今も残置

●自衛隊百里基地では、PFASを含む泡消火剤を使った訓練が実施されていました。PFASのうち、PFOS含有泡消火剤は2025年2月末までに全量処分が完了。一方、PFOAを含む消火剤は今も基地内に保管されていることが委員会質疑で明らかになりました。国は現在でも訓練に使うことを禁止していません。

半導体製造工場周辺の調査を要求

●半導体の製造過程で大量のPFASが使用されます。1万種類以上あるPFASのうち、日本はPFOSやPFOAなど3種類しか規制対象にしていないからです。共産党国会議員団の調査で、茨城県内で半導体関連工場があるのは6市町(常陸大宮、高萩、那珂、ひたちなか、笠間、阿見)。環境省は、半導体工場等が立地する地域で特に調査を充実するよう自治体に要請していますが、県は「PFOSとPFOAは“暫定指針値”であり、水質汚濁防止の“基準値”に定められていないことから事業所に検査は求めていない」と答弁。やはり国の規制強化と法整備が必要です。

パワハラ、過重労働の再調査 県「行う考えはない」と回答

●日本共産党が6月3日に知事に提出した、茨城県庁秘書課職員の自死について、パワハラはなかったとした調査の「再調査」を求める要望書について、知事から回答がありました。

調査は適切に実施されていると説明

●回答では、「調査委員会による調査は適切に実施されており、再調査を行う考えはありません」としています。主な理由として、▽パワハラについて厚労省の基準により「なかった」と判定▽過重労働について、時間外勤務や休暇取得の状況などを調査し、厚労省の基準により「なかった」と判定▽調査委員会は、遺族の要望を受けて非公開とすることを決定した等と列挙。

●一方で、調査報告書は全てのご遺族と面会のうえ渡して説明したが、結果に対するご遺族の意向について「県で回答する立場にない」と書いています。情報開示で「黒塗り」した内容についても、これ以上公表すべきでないと判断したとのこと。また、県が2月に示した「ハラスメント防止を徹底するための定期的な職員向け調査」は未だに実施されていません。

スクラップヤード 適正化対策の強化を

「茨城県再生資源物の屋外保管の適正化に関する条例」が2024年4月に施行されて1年。騒音や飛散・流出、火災対策が急務です。これまで騒音防止法では規制できなかった「特定施設」のないヤードに対し、県条例では住民からの苦情等に基づき自治体が測定を行った結果、基準値を超える騒音が判明した場合、事業者は必要な措置を講じて基準を遵守しなければならない」と定めています。

東海村長 「再稼働は必要」と表明

山田修村長が東海第二原発の「再稼働は必要」と表明した翌日、県議会防災環境産業委員会で自民党県議が「重い決断だ」と評価し、避難計画の早期策定を求めました。防災・危機管理部長は、来年12月が工事完了時期とされており、機を逸しないよう取り組むと答弁。これに対し、江尻県議は「スケジュールありきで計画策定するという誤った姿勢、印象を与える答弁は問題だ」と指摘。部長は再度答弁に立ち、他県と避難所の確保・調整を進めている県として延び延びにならないよう取り組むという趣旨だと答えました。

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