江尻かな県政NEWS 2024年10月号

江尻かな県政NEWS2024年10月号表 江尻かな県政NEWS2024年10月号裏

緊急性のない救急車利用 選定療養費というが…緊急性を判断できる?
12月から徴収はあまりに一方的 医療体制の拡充こそ必要

日本共産党の江尻かな県議は9月25日、県議会予算特別委員会で、救急搬送の有料化につながる「選定療養費」の徴収について、全国で前例のない県レベルでの導入を12月から開始することは撤回するよう求めました。

大井川知事は7月26日の会見で、救急車で運ばれた患者でも、緊急搬送の必要性がなかったと医師が判断した場合、病院がおおよそ7,700円の選定療養費を患者に請求できると突如発表。対象となる大病院(病床200床以上)の25病院に呼びかけましたが、3病院は実施を見送る意向です。

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江尻県議は、「7月の発表で12月開始はあまりに一方的。何よりもの懸念は、県民が救急車を呼ぶことをためらうことになるのではないか」と指摘し、「県のぜい弱な医療体制こそ拡充が必要。料金を徴収して救急搬送を減らすことは間違っている」と批判しました。

「合意を得た」?

知事は、体制の改善には言及せず、「大病院がひっ迫し、医師の働き方改革で現場が大変な状況」と、江尻県議の主張を真っ向から否定。「厚労省はじめ、県医師会や対象病院、消防などの合意を得ており、方針撤回は考えない。混乱や問題が生じないよう、検証しながら見直しを行っていく」と答えました。

江尻県議は、「高齢者や障害者、子どもやひとり親家庭、難病患者まで徴収の可能性があるのは問題だ」と指摘しましたが、知事は答弁せず。江尻県議は、医療へのアクセスを制限するような、選定療養費徴収はやめるべきだと重ねて求めました。

●県は、どんな場合に徴収されるのか―その目安として「緊急性が認められない症状の事例」などを記載した広報紙を、10月27日の新聞に折り込む予定です。また、県のホームページやSNSで県民に公報するとしていますが、実施までわずか1か月の周知期間でいいのでしょうか?

知事は、「救急搬送が増えて大変」「搬送の6割が大病院に集中して問題」と言いますが、搬送件数は全国平均を下回り、病床の6割が大病院にあることをみれば、全国初で実施する理由はありません。

●【県の問い合わせ先】
保健医療部 医療政策課 電話 029(301)2689(月~金・昼休み時間除く)

米不足をくり返さず安定供給できる農政に
有機農業拡大と担い手育成に県の役割発揮を

私は、米が店頭で買えない最中の9月4日、県に緊急の申入れを行うとともに、JA水戸をたずねて新米の概算金などをうかがい懇談しました。
長く農家に赤字と減産を押し付け、米不足を招いた結果の価格高騰は、とりわけ貧困世帯や子ども食堂などを追い詰めています。

私は議会で、国と県の米政策を反省し、安定供給に責任を持つよう求めました。また、5月に笠間の有機農家さんからお話を伺ったことをきっかけに、7月に県立農業大学校へ、9月に日本農業実践学園をたずねて、有機農業の担い手づくりにむけた取組をお聞きしました。

議会では、県立大学校に有機専科コースを開設したり、実践的技術を指導できる農家への支援や人材育成が重要だと、農林水産部長に質問しました。食と農と環境を守り、学校給食に有機農産物を活用する取組をすすめていきましょう。

原発はクリーンエネルギーとは言えません

福島の原発事故被災地を見てきました。

十月はじめの雨降る日。誰も住まなくなった、住めなくなった帰還困難区域です。すぐ近くには新しい家やアパートが建ち並んでいます。しかし、そこにかつての福島の人たちの暮らしはありません。今後三十年、四十年…と続く原発廃炉作業にたずさわる人たちの住宅です。溶け落ちた燃料デブリをすべて取り出せるとはとても思えません。

楢葉町の由緒ある宝鏡寺の境内に三年前に建てられた「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」も見てきました。住職の早川篤雄さんの遺志をつぎ、原発事故のあり様やその後の分断、住民のたたかいを語りつぐ丹治杉江さんのお話を聞きました。

丹治さんは、「どうすれば原発をなくせるでしょう」と問いかけました。そして、「原発をなくすことと原爆をなくすことはつながっている。原発の最後に残るプルトニウムは核兵器の原料となる。原発も原爆も、そして戦争もない平和な社会をつくりましょう」とよびかけました。

【原発痛恨・伝言の碑】に、「電力会社と国家の傲岸に立ち向かって40年力及ばず。原発は本性を剥き出し、ふるさとの過去・現在・未来を奪った」と刻まれています。

行き場のない「核のゴミ」放射性廃棄物 無責任な核燃料サイクル

江尻県議は9月議会で、「東海第2原発の使用済燃料は東海村に残さないというが、事業者の日本原電と確約書はあるのか」と質問。知事は「確約書はない」と答弁。事業者まかせの姿勢です。
国がすすめる核燃料サイクルは、原発再稼働の口実にすぎず、破たんは明らか。日本共産党は、原発も高速実験炉も反対です。

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政府は“電力供給のため”として、原子力発電を最大限活用するとしています。しかし、地震が多発する日本で再び過酷事故が起こらない保障はどこにもありません。

たとえ事故がなくても、稼働すれば大量の使用済燃料が発生します。東海第2原発の核燃料プールは満杯状態。入りきらない燃料は、ステンレス容器に入れて敷地内に置かれています。事業者の日本原電は、いずれすべての使用済燃料を青森県の中間貯蔵施設(むつ市)や建設中の再処理施設(六ケ所村)に運び、ウランとプルトニウムを取り出してMOX燃料として再利用する計画です。

その核燃料サイクルの開発のために、高速実験炉「常陽」(大洗町)の再稼働工事を約207億円かけてスタート。核燃料サイクルの総事業費は17兆5300億円にふくらみ、すべて国民の税金や電気料金で負担されます。しかし、MOX燃料は1回使えば再利用できず、結局は核のゴミとなり、処分方法は決まっていません。

あらたな施工不良の告発

「東海第2原発防潮堤の別の部分にも施工不良がある」との告発がありました。昨年明らかにした「南基礎」「北基礎」に加え、すぐ脇の「B基礎」もコンクリート未充填や鉄筋変形があると言います。

告発を寄せた工事関係者は、「現場では工事不備の声が各所であがっていた」、「上司は慌てふためき、どう隠すかに心血を注いでいた」、「請負会社が集めた人材は技術者とは言えない素人集団」で「取り返しがつかない状況になって専門の職人が入ってきたがお手上げ状態だった」と言います。

日本原電は、南・北基礎の設計変更を原子力規制委員会で審査中ですが、B・C基礎に施工不良はないと県に説明しています。

産廃搬入道路 入札まるで官製談合

県が日立市(日立セメント採石跡地)に建設をはじめた新産業廃棄物最終処分場。そのための新規搬入道路(仮称)大久保町第2トンネル工事を、代表者安藤ハザマの企業共同体に53億7190万円(税込)で請け負わせる契約議案が、知事から県議会に出されました。

私が委員会質疑で明らかにしたのは、入札に参加した4者はすべて同額。評価点も3者同点で、それよりわずか0.6点上まわった安藤ハザマは、東海第2原発の防潮堤で重大な欠陥工事をおこしたゼネコンです。

私は、「なぜ技術力で評価が高いのか不明瞭。官製談合の疑念はぬぐえない」と追及しました。
処分場の本体工事入札も、1者のみの応札で落札率は99.97%でした。処分場の土地選定もふくめ、不明瞭なことだらけです。

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