茨城県議団ニュース 2023年6月号
6月県議会(6/7~6/22) 補正予算79億2400万円
物価高騰対策 まだまだ不十分
政府が予備費から支出する2.2兆円の物価高騰対策費のうち、茨城県への交付限度額は82億6500万円。この財源をもとに、大井川知事は6月7日開会の県議会に、総額79億2400万円の補正予算を提案しました。
物価高騰の影響からみれば、あまりに不十分な内容であり、賃上げ支援や年金・社会保障の拡充、消費税減税など根本的な対策が求められています。
県補正予算の主な内容は以下の通りです。
1. 事業者、生活者物価高騰対策支援…48億8700万円
- 病院、診療所、薬局、福祉施設、私立学校・幼保等の光熱費補助
補助額→2022年光熱費(年間総額)×17%×1/2(6ヶ月)×1/2
※17%の根拠は、水戸市の消費者物価指数によるもの - 特別高圧契約の中小企業、大規模商業施設の電気代補助
補助額→今年4月~9月分として1kwhあたり3.5円を支援
※7月末頃から申請受付を開始予定 - 酪農家への輸入飼料高騰補助
国産飼料の利用拡大補助
補助額→基本額 乳用牛17,500円/1頭、肉用牛5,500円/1頭を補助
※国産飼料の利用割合を15%アップする生産者に上乗せあり - 県立学校給食の材料高騰分補助
補助額→中学・中等教育、特別支援、夜間定時制の給食に1食20円補助
2. 事業構造の転換促進支援…29億1200万円
- 自家消費用太陽光パネル・蓄電池整備費補助(全業種が対象)
→太陽光発電設備 12万円/kwh、蓄電池設備 9万円/kwh - 訪日客インバウンド向け観光活性化補助
→宿泊まちなみ整備・古民家改修、観光DXなど 1件5千万円
情報発信コンテンツの造成、高付加価値化など 1件2千万円 - 海門橋エリアの交通渋滞緩和策(ひたちなか大洗リゾート構想)
GPS搭載車等からの情報にもとづき、目的地までの所要時間をリアルタイムで表示する看板設置などによる迂回路利用促進 - 食品残さの飼料化や自給飼料の生産拡大補助
→飼料化や生産拡大に必要な機械導入補助、飼料化検討費補助
飼料生産の耕作面積拡大に補助(1万円/10a)
3. わくわく茨城生活実現事業…1億2500万円
- 東京圏からの移住者に補助
→1世帯100万円(子育て加算最大100万円)、単身60万円
よせられた声
- 補助がないよりはましですが、前回の補助金は1か月分で消えました。物価高騰は一時的なものではないので、恒常的・恒久的な対策が必要と思います。
介護施設は負担転嫁できずに、物件費の節約や人件費などが圧迫されていきます。電気代は120~130%増ですが、本当の負担増はこれからと聞いています。
ぜひ県としてできる最大限の対応で利用者たる県民を守ってください。(社会福祉法人事務局) - 県が牛1頭17,500円補助、水戸市がエサ代1トンあたり8千円補助と聞き、ありがたい。今後もぜひ継続を。(水戸市の酪農家)
- 「乳を搾るな」と国内で生乳を減産しているのに…政府が義務でもない乳製品を大量輸入する必要はない。(農民団体)
- 市町村はがんばって小・中学校や保育園の給食費を無料にしているのに、県は1食あたり20円の補助なんて…県でも無償化に予算を充てて欲しい。(子育てママ)
県議会の日程予定
- 6/7(水) 本会議(開会、知事提案理由説明)
- 6/12(月)~14(水)本会議一般質問 ※共産党の質問はありません
- 6/16(金) 常任委員会 ※江尻県議は防災環境産業委員会
- 6/17(土) 土曜議会・・・議会活動に理解・参加を広げる目的とのこと
13:00~ オープニング(議事堂ホール)県警察音楽隊によるコンサートなど
13:45~ 6つの常任委員会で県民との意見交換(各常任委員会室)
15:00~ 議事堂バックヤードツアー - 6/20(火) 予算特別委員会 ※江尻県議の質問は後日お知らせします
- 6/21(水) 誰もが輝く持続可能な茨城を担う人づくり調査特別委員会
- 6/22(木) 本会議(閉会、討論、採決)
茨城租税債権管理機構とは?
「市役所と納税相談している最中に、租税債権機構に回された」「差押え予告が突然送られてきた」「機構に相談に行っても“一括で払え”の一点張りで、払えない事情が考慮されない」といった相談が増えています。
市町村は、滞納が高額、長期、悪質などを理由に、租税債権管理機構に滞納整理を委託していますが、強権的な取り立てに自殺者まで生まれています。
市町村での丁寧な納税相談が基本 払えない場合は「納付の猶予制度」の活用を
納付期限までに払えない場合は、役所に払えない理由を伝えて「猶予制度」の活用について相談しましょう。
学校給食 無料を広げよう
日本共産党県議団の調べで、県内44市町村のうち7自治体が恒常的な学校給食費無償化(水戸市は中学生のみ)を行い、16自治体が期限や条件付で上乗せ補助を実施。 江尻かな県議は、県として無償化のための補助創設を求めています。
給食費保護者負担金は下記のとおりです。 相違や変更がありましたらお知らせください。(県議団 電話029-301-1387)
在留資格ない高校生の授業料 県教委が免除 初めて認める
共産党議員と母の要請実る
在留資格がない「仮放免」の状態で古河市に住む母子家庭の母親が、県立高校に通う自身の子どもへの教育費負担の軽減を求めていた問題で、県は5月22日までに授業料を免除することを決めました。
県によると、在留資格がない生徒への適用は、把握できる範囲で初めてのケース。 日本共産党の秋庭しげる古河市議と江尻かな県議が母親からの相談を受け、県教育庁に対し、 授業料免除などを含む教育の保障を求めていました。
20年ほど前にフィリピンから来日した母親のアルシアさん(45)=仮名=は現在、長男ナサニエルさん(15)=仮名=と 2人暮らしです。
在留資格がない場合、働くことや生活保護の申請が禁じられており、アルシアさんは食材や日用品の確保などを地域に住む友人や民間支援団体などに頼らざるをえなくなっています。
難民認定を求めた3回の裁判はいずれも認められず、自身と長男2人分の「仮放免」申請を3か月ごとに更新しています。
ナサニエルさんは今春から県内の県立高校に進学したものの、家計は困窮を強いられ、秋庭市議に相談。アルシアさんは今月、両議員とともに県教育事務所を訪れ、毎月の授業料など教育費負担の軽減を求めました。
県は交渉を受け、月額9,900円(年11万8800円)の県立高校授業料の免除を決定。 県教育庁の担当者は、「聞いた話をふまえ、生活が困難な状況にあると判断した」としています。
江尻県議は、「直接声を届けたことで県が認めてくれ、事態を動かすことができた。 県としては初めてのケースで大事な前例になった」と強調。
秋庭市議は、当時小学生だったナサニエルさんの実情をふまえ、古河市の就学援助制度要綱を改正して適用を認めた市の対応に続く県の決定を評価。「実情をしっかり聞いてもらい、知恵を出していただいた。今後も見守っていきたい」と話しています。
入国管理法改定は問題だらけ
江尻県議は、「アルシアさんからの相談を受け、入国管理法がグッと身近になった。いまの日本社会では、『在留資格がない人は日本に税金を納めていない。だから社会保障や教育支援が受けられないのは当然だ』『なぜ母国に帰らないのか』といった声があるのは確かです」と語った上で、「しかし、なぜその人が日本に来ることになったのか。なぜ、在留資格がなくなったのか。そこには、政治の矛盾や差別があるのではないでしょうか」と話しています。
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