茨城県議団ニュース2023年2月号
県議会選挙後はじめての県議会(臨時会)がひらかれました
補正予算可決 江尻かな県議、医療拡充など要求
茨城県議会臨時会が1月20~23日に開かれ、総額366億7800万円の一般会計補正予算案等を日本共産党以外の賛成多数で可決し、閉会しました。
江尻かな県議は採決前の本会議で討論にたち、「国直轄の公共事業が予算の75%を占め、物価高騰対策や農業支援予算の規模は不十分」、「個人情報の管理や国への不信感を置き去りにして マイナンバーカード申請の窓口設置予算が計上されている」と指摘。
一方で、新型コロナ第8波で陽性者・死者数が過去最多になる中、 医療・介護への対策が水光熱費の支援にとどまっていると述べ、▽有症状高齢者の入院措置▽入所施設の感染対策▽救急搬送体制の拡充─など、医療体制の強化・支援を求めました。
また、全国旅行支援(宿泊割・クーポン)への予算(22億2700万円)を専決処分したことについて、「苦境から抜け出せない事業者や子どもへの直接支援にこそ財源を確保すべきだ」として反対しました。
議会運営の改善を議長に申し入れ
江尻かな県議は1月20日、議会運営の改善を求める申し入れ書を石井邦一議長に手渡し、一人会派や無所属の議員が増えていることを踏まえ、多様な民意が反映できるよう議員の発言権の保障を求めました。
要望事項は、▽会派活動と発言権の保障▽委員会運営の改善▽適切な公費支出▽政治倫理の確立▽県民に開かれた議会─の5点。
年間42人に制限している一般質問の見直しや、予算・決算委員会の定数増、費用弁償の廃止、常任委員会のインターネット中継などを要求。
さらに、議員が統一協会など反社会的団体・組織との関係をもたないことを求めました。
【議長選挙の結果】
投票総数62
石井邦一 59票、江尻かな 1票、白票 2票
【副議長選挙の結果】
投票総数62
村上典男 53票、齋藤英彰 4票
江尻かな 1票、白票 4票
補正予算で計上された支援事業
物価高騰対策支援の主な内容・・・・・・
- 病院・有床診療所稼働病床1ベッドあたり3万円、無償診療所10万円、助産所・薬局5万円・施術所2万円
- 高齢者入所施設定員1人当たり12,000円、通所事業所15万円、訪問事業所5万円(対象数4,122施設)
- 障害者入所施設1人当たり9千円、通所事業所6万円、児童 デイ3万円、訪問事業所3万円(対象2,940施設)
- 児童養護施設30万円(対象39施設)、里親1組あたり1万円、保護・救護施設30万円(対象5施設)
- 私立学校、幼稚園、保育所、認定こども園、認可外保育所、 医療機関職種養成所は令和3年度光熱水費×15%の半額
- 農業肥料費増加額の10%(国事業70%に上乗せ)
配合飼料価格安定生産者積立金にトン当たり600円補助 - 水産加工会社の電気代上昇額の10%補助
- 貸切りバス・タクシー1台1万円、代行運転1台5千円
一般貨物自動車1台2万円、貨物軽自動車1台8千円 - LPガス料金負担軽減各世帯1回のみ500円補助
出産・子育て支援の主な内容・・・・・・
- 妊娠届出時に妊婦1人あたり5万円、出生届出後にこども1人あたり5万円
- こども送迎用バスへの安全装置整備1台あたり10~18万円
予算の詳しい内容は、県議会ホームページにあるこちらの資料をご覧ください。
臨時会での議案等に対する各会派の採決態度
次回県議会の日程案
2月28日~3月24日
▼江尻かな一般質問予定
3月9日(水)午後3時半頃
江尻かな県議の討論要旨 1月23日県議会臨時会
補正予算ならびに専決処分の採決にあたり、討論します。
366億7800万円の一般会計補正予算について、物価高騰対策や農業支援予算が計上されましたが、その規模は不十分であり、全体額の75%(276億円)は公共事業の防災・減災・国土強靭化事業です。
一方、コロナ感染症に対する直接予算は1億4千万円の県立学校物品整備しかありません。第8波の最中、陽性者も死亡者もクラスター発生数も過去最多となり、7割の医療機関が人手不足などで現場のひっ迫を訴えています。高齢者施設からは、「職員に週2回分の抗原検査キット配布だけでは不十分。より精度の高いPCR検査を広く実施できる仕組みがないと職員から入所者への感染リスクを止められない」との指摘が上がっています。
また、老健施設で家族を亡くされたご遺族は、「同じ部屋で感染者が出たときに、入院もしくは隔離できる個室があれば助かったかもしれない」と痛恨の念を訴えておられました。
知事は、新型コロナの5類引き下げの政府方針を「歓迎したい」と述べていますが、国や県から医療機関や介護施設の実態などコロナに関する情報が伝わらない状況が続いています。
▽県民に対する情報発信の強化、 ▽入所施設の感染予防の強化・支援、▽症状のある 高齢者の入院措置、▽救急搬送体制の拡充など、現場の実態を的確に反映した予算措置を求めます。
また、「新しい資本主義の加速」として24億4900万円が計上されましたが、一番要の賃金引き上げ策がありません。 あるのは、マイナンバーカードの交付率引き上げであり、県として出張申請窓口の設置予算1千万円を計上。 しかし、運転免許センターや商業施設に窓口を設置して終わるのではないか。 そもそも、思惑通りに交付率が伸びないのは、個人情報を管理する国への根強い不信感や、「健康保険証廃止や預貯金口座との紐づけは納得できない」などといった国民の声が置き去りにされているからです。
こうした声に応えず、交付率の高い 自治体には地方交付税を加算しようとする政府の姿勢は問題であり、交付率を地方自治体の責任にすり替えることは認められません。
以上の理由により、一般会計補正予算に反対します。
次に、専決処分のうち1月10日から再開された全国旅行支援事業費22億2700万円に反対します。
そもそも、令和4年度に繰り越された旅行支援事業費86億4500万円は、多額の使い残しが見込まれ、上乗せする必要があるのでしょうか。 国は、都道府県に多額の旅行支援予算を配分していますが、不用額があっても宿泊施設や観光事業に対する自治体独自の支援策に当てることを認めていません。
よって、深刻な苦境から抜け出せないあらゆる業界や事業者への直接支援、医療、介護現場、子どもへの支援にこそ、財源を有効に確保すべきとの立場から、専決処分に賛同できません。
(以上)
東海第2原発
1月23日の県議会防災環境 産業委員会で、江尻県議は東海 第2原発で過酷事故が起きた場合の放射性物質拡散シミュレーションについて質問。 日本原電が昨年提出したシミュレーションの妥当性を検証するために、県は(株)ナイス(東海村村松)に検証作業を委託しましたが、県の入札で同社しか入札(落札価格527万円)がなかったことを明らかにしました。 県は、シミュレーションを広域避難計画に反映していくとしていますが、検証が必要として内容を公表していません。
県の委託業者は “第三者” と言えるのか
(株)ナイスのホームページをみると、小型原子炉や高速炉利用の研究・解析を行っていることがわかります。 江尻県議は「原発関連会社の一角であり、第三者と言えるのか」、「検証作業は中立性、透明性が求められる。県として専門委員会を公開し、報告書や議事録を積極的に公開すべき」と求めました。
県原子力安全対策課は、委託業者は原子力規制委員会の解析業務を複数受注した実績があり、第三者の立場から妥当性を検証できるとしています。 江尻県議は委員会後、「30km圏内94万人を避難対象にしなくても大丈夫という計画縮小のための予測になっているのではないか」 と懸念を示しました。
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