日本共産党茨城県議団ニュース 2020年7月号
6月県議会報告 コロナ禍でうきぼりになった 社会のゆがみをただそう
|保健・医療|学校|災害・原発
県議会は6月23日の本会議で、「東海第二発電所の再稼働の賛否を問う県民投票条例案」を否決(賛成5・反対53)したほか、新型コロナウイルス対策費96億5600万円の一般会計補正予算などを可決して、閉会しました。
大勢の傍聴者が採決を見守るなか、日本共産党県議団は県民投票条例と補正予算に賛成し、江尻かな議員が討論を行いました。
原発の再稼働賛否を問う県民投票条例
自民・公明・県民フォーラムが否決
県民投票条例に賛成したのは共産党(山中・江尻)のほか、立憲民主党・玉造順一議員と無所属の中村はやと議員・本澤徹議員の5人。
一方、反対は自民党、公明党、県民フォーラム(国民民主党)と無所属の53人でした。
PCR検査 15カ所設置へ検討
山中たい子県議は20日の予算特別委員会で、検査・医療体制のさらなる拡充を求めました。
今回の補正予算に、ようやくPCR検査センターの予算が計上され、県内15ヵ所の設置に向けて検討が進められています。
医療機関の大幅減収に財政支援を
山中県議は、保健所と常勤職員を減らし続けてきた県政のあり方をただすとともに(グラフ参照)、医療機関の大幅減収に対し県が財政補てんするよう強く要望しました。しかし、知事は減収補てんについて検討課題にさえしていません。
いまこそ教員増やして少人数学級へ
子どもの心のケアや学習支援、感染予防のために、山中議員は1クラス20人程度の少人数学級を提起。教育長は「平常時は1学級35人編成が適当と考えている」と答えました。
被ばく防護と感染症対策の両立困難
感染拡大下で原子力災害が起きた場合の対応について山中議員が質問。知事は「被ばく防護と感染症対策の両立は困難」と答弁しました。ならば、再稼働をストップさせるべきです。
地域外来・検査センター設置に向けた動き
- 設置済(3箇所)
▼鹿島医師会▼真壁医師会▼古河市医師会 - 設置検討中(12箇所)
▼多賀医師会▼日立市医師会▼那珂医師会▼水戸市医師会・笠間市医師会・県央医師会の合同▼結城市医師会▼猿島郡医師会▼土浦市医師会▼つくば市医師会▼牛久市医師会▼取手市医師会▼龍ケ崎市医師会▼稲敷医師会
県の保健所数と常勤職員の推移
追加補正によるコロナ対策
- ひとり親世帯への特別給付金(2億3349万円)
児童扶養手当受給世帯および家計収入が児童扶養手当の対象水準に下がった世帯に対し5~10万円、第2子以降1人につき3万円を支給する。
問い合わせ/市町村児童扶養手当担当窓口まで - 妊婦のPCR検査費用補助等(2億5986万円)
不安を抱える妊婦がPCR検査を希望する場合に、検査費用を補助するほか、コロナに感染した妊産婦への電話相談・訪問支援などを実施して、妊娠・出産をサポートする。 - 児童相談所の補助職員を5名増員(977万円)
- 生活福祉資金の貸付金積み増し(46億4900万円)
社会福祉協議会の緊急小口資金や総合支援資金の貸付が急増しており、原資を積み増して今後の増加に対応する。
▼6月21日時点での県全体の申請受付状況
緊急小口資金(10万円以内) 7,411件 約13億円
総合支援資金(月20万円以内)2,434件 約12.8億円 - 県立学校再開緊急対策(3億6700万円 ※1校300万円)
感染症対策の保健衛生用品・換気用品、空き教室活用備品、臨時の学校電話増設、夏季給食実施経費などの取り組み。 - 地域公共交通の運行継続支援(3億8532万円)
地域の鉄道事業者4社、乗合バス事業者9社、タクシー事業者約460社に協力金を支給して運行継続を支援する。
東海第二原発の再稼働の賛否 なぜ「県民投票」で声を聴かないのか
民意を恐れた知事と議会
東海第二原発再稼働の賛否を問う県民投票条例案が、6月23日の茨城県議会で否決されました。採決に臨んだ議員58人のうち、共産、立憲民主、無所属など5人が賛成。一方、自民、公明、国民民主(県民フォーラム)など53人が反対。残念ですが、賛成少数でした。
署名86,703名に託された思いは、県民の命や生活、茨城の未来に関わる問題について、「声を聴いてほしい」、「自分も意見を表明したい」というものです。
反対意見として「安全性検証や避難計画ができていない時に判断はできない」、「二者択一でいいのか」、「投票時期が不明」など、様々な意見が出されました。そうであるなら、条例を可決した上で、道理ある修正を重ねて県民投票の実施につなげることが議会の役割だと思います。
時期尚早というのであれば、18日の連合審査会で日本共産党が提案したように「継続審査」とすることも可能です。一番やってはならないのは、「否決」することです。
議会での論議が不十分だった自らの責任を棚に上げて、県民の声を聴く方法はまだ決められないなどというのは、あまりに無責任です。
知事も同じです。県民投票に賛否を示さなかったのは、議会での否決を黙認し、直接請求の重みを黙殺するものです。
判断が大きく分かれるテーマだからこそ、超党派での勉強会や論議を重ね、責任ある判断を下さなければなりません。
日本共産党は、福島第一原発事故を経験した県民こそ、専門家や政治家とは違う観点から、正しい判断を行うと信頼しています。
未来にどんな茨城を残していくのか。県民投票をめざす対話や署名のプロセスを通して、いばらきの民主主義が一歩前進したと確信します。
1人ひとりの力を県民世論へと広げて、県政をうごかしましょう。
(写真提供:しんぶん赤旗 高橋誠一郎)