日本共産党茨城県議団ニュース 2020年6月号(2)

県議団ニュース表 県議団ニュース裏

大井川知事が意見書をつけて条例案を上程
「声をきく」としながら県民投票は「慎重に検討」?

県議会が8日開会し、東海第2原発の再稼働の賛否を問う「県民投票条例案」が上程されました。
新型コロナ対策が講じられた本会議場には、入場制限いっぱいの傍聴者が集まり、入れなかった人は別室でモニター視聴しました。

徳田代表が本会議で意見陳述

いばらき原発県民投票の会」の徳田太郎代表は意見陳述で、問われているのは「原発の再稼働そのものではない。民意をはかる政策決定のプロセスだ」と説明。「多くの県民が茨城の未来を考え、話し合い、選びたいと待っている」と前向きな審議を求めました。

知事は、県民の意見を聴く方法について「県民投票を含め様々な方法があることから、慎重に検討していく必要がある」とし、自らの賛否は明らかにしませんでした。また、条例案について「開票事務の主体が不明確」と不備を指摘。
これを正すには、 6名以上の議員(議員定数12分の1)で一部修正を提案する必要があります。

18日連合審査会・20日予算特別委員会・23日本会議採決

条例案は18日の防災環境産業委員会(江尻議員)と総務企画委員会による「連合審査会」、20日の予算特別委員会(山中議員)を経て、23日の本会議で採決される予定です。

議会傍聴記

▼徳田代表がすべての県議を前にして意見を言えたのは良かった。陳述後に多くの議員から拍手があがったね。
▼意見陳述は、署名を1筆1筆集めた人たちの実感がこもっていました。
▼知事はなぜ本会議場で意見書を読み上げなかったの? 議員席に文書で 配るだけでは傍聴者に伝わらない!
▼徳田さんが「地方自治は民主主義の学校」と言ったのが印象に残った。
▼共産党は一般質問できない議会なんですね。他の議員の質問にも注目しています。議論を深めてほしいです。

中高生が議員に手紙

東海第2原発の再稼働をめぐり、県内中高生でつくるグループ「U(アンダー)18花かんむり」から県議全員に手紙が届きました。
メンバーの了解を得ましたのでご紹介します。

こんにちは。U18花かんむりです。突然のお手紙で失礼します。
U18花かんむりは、中高生を中心に活動しているグループです。

わたしたちは、原子力発電について、18歳未満の選挙権のない子どもたちの思いも伝えたいと考え、活動しています。原子力発電の問題は、未来を生きる私たちにとっても重要な問題であり、みんなで考えなくてはいけないことだと思います。

県民投票を実施するためには、みなさんの過半数の賛成が必要だと知りました。同封した別紙は、54名の署名とともに県知事にも提出します。

私たち子どもたちは、まだ有権者ではありませんが、将来の有権者として思いを集め、多くの方々に伝えるために署名を集めることにしました。
これだけの子どもたちが県民投票に賛成しているということを理解していただければと思います。

原子力発電は、そこに住むすべての人の命や生活に関わる大きな問題なので、より多くの人がこの問題について向き合い、考え、決定に参加することが必要だと思います。

1人でも多くの県議会議員のみなさんに共感していただければと思います。

私たちにはこの先長い未来があります。今回の決断で私たちの未来を切り拓くことができるよう、県民投票の推進を願っています。よろしくお願いします。

令和2年5月26日

県内各地で集められた署名は、自分や子どもたち、孫世代の将来にも関わる原発再稼働という重要な問題について考え、意思表示する機会をつくってほしいという県民の率直な願いを表しています。その願いが実るよう最善を尽くします。

徳田太郎さんの意見陳述要旨

今回ご審議いただくのは、東海第二発電所の再稼働そのものに関する議案ではなく、「いかにして民意をはかるのか」の方法に関する条例案です。 この観点から、代表的な3つの論点に関し、意見を申し上げます。

  1. 県民投票と二元的代表制との関係について
    県民投票は、代議制を否定するものでも、代替するものでもありません。 むしろ、県民投票によって補完されることを通じ、議会の存在が輝きを増します。
  2. 投票前の情報提供と冷静な議論の実現について
    投票に至るまでのプロセスの総体を県民投票として捉え、各方面から十分かつ正確な情報が提供されること、一人ひとりが熟慮し、また様々な人と討議する場と機会が確保されることが、きわめて重要と考えています。
    アンケート調査ではなく、県民投票プロセスこそが、「練られた民意」の把握を可能とします。
  3. 県民投票の実現に要する費用について
    費用は、今後予定されている選挙と同日に実施するなど、時期や方法によって削減が可能です。また、コストとしてではなく、自治の担い手として県民が成長するための「投資」として捉えていただきたく存じます。

「自分たちが意思表示できる機会としての県民投票の実施」という一点において賛同した86,703名余りの県民が、いばらきの未来をもっと考えたい、ともに話し合いたい、私も選びたいと、待っています。
県民投票の実現に向けて、「偏党ある無く、衆思を集め、群力を宣べ (『弘道館記』)るような、前向きなご審議をお願いします。

大井川知事の意見書

大井川知事の意見書日本共産党茨城県議団ニュース 2020年6月号(PDF)