デルタ株による事態急変を踏まえた学校の夏休み明けにあたっての緊急申し入れ(コロナ対策第13次要請)
学校休み明け 共産党茨城県委員会が県知事に緊急申し入れ
日本共産党茨城県委員会(上野高志委員長)と党県議団(山中たい子議員、江尻加那議員)、地方議員団は8月27日、学校の夏休み明けにあたっての緊急申し入れを大井川和彦知事、小泉元伸教育長宛てに行いました。
緊急申し入れは、26日に教育長が小・中・高校の授業をリモートで行うと発表したことを受けたもの。
県内で7月半ばからの10代以下の新規陽性者が4週間で約4倍となる中、▽登校見合わせの選択・分散登校・オンライン授業・プリント授業などを柔軟に組み合わせて対応する▽一人ひとりの子どもと家庭環境に対応出来るよう、市町村支援を行う▽学童保育の感染防止対策▽広範な子どもと教職員に頻回(週2回程度)、無料で抗原検査などを実施する─など10項目です。
教育庁総務課の担当者は、「9月10日まではリモート授業を行い、在宅が困難な児童には学校、学童保育が対応する。緊急事態宣言下では分散登校は要請していない」と回答しました。
(「しんぶん赤旗」2021年9月3日付より転載)
2021年8月27日
茨城県知事 大井川 和彦 様
茨城県教育庁 小泉 元伸 様
日本共産党茨城県委員会
日本共産党茨城県議団
日本共産党茨城県市町村議団
デルタ株による事態急変を踏まえた学校の夏休み明けにあたっての緊急申し入れ(コロナ対策第13次要請)
これまでの新型コロナウイルスとレベルの違うデルタ株は、子どもの感染状況も大きく変えました。
第一に、子どもへの感染が顕著に増え、本県において10代以下の新規陽性者が7月半ばから4週間で約4倍になり、高校生のほか小中学生の学習塾や保育園、学童保育でのクラスターも増えています。
第二に、感染は大人から子どもに伝播するとされてきましたが、子どもから大人に伝播するという新たな感染経路が増えていることです。
第三に、全国各地が災害レベルの感染状況において、子どもだけでなく保護者世代のワクチン接種が間に合っていないという問題を抱えています。
学校の夏休みが終わる今、「このまま学校を開けて大丈夫か」「子どもが感染し親が感染することも心配」などの不安が広がっていることは当然です。緊急事態宣言地域である本県において、学校の感染対策について緊急に以下の項目を要請します。
記
- 登校見合わせの選択・分散登校・オンライン授業・プリント授業などを柔軟に組み合わせて対応すること。文部科学省は高校にかぎって分散登校等を通知しましたが、小中学校などでも分散登校がありえることを明確にすると同時に、分散登校は保護者の減収や失職、出勤困難などのデメリットがあります。そうしたしわ寄せが起きないよう、必要な子どもが朝から学校で学べる対応を徹底すること。
- 感染不安などの理由から登校を見合わせる児童生徒について、国の通知では「同居家族に高齢者や基礎疾患がある者がいる」場合には欠席扱いしないなど対象を狭くしていますが、本県ではこれまでと同様に広く登校扱いと認め、登校を見合わせる子どもたちの学びや成長への支援を位置付けること。
- オンライン授業における不安や弊害を軽視せず、一人ひとりの子どもと家庭環境に対応できるよう、市町村や学校を支援すること。タブレットやインターネット環境がない生徒に考慮した支援を行うこと。県立高校でタブレットの貸与を行う場合にも、生徒の人権に配慮した対応に改善すること。
- 教室等でのエアロゾル感染(空気感染)防止へ、短時間での全換気と不織布マスクを重視すること。デルタ株は従来株の半分の時間で感染すると言われています(富岳のシュミレーション)。短時間で空気を入れ替える常時換気と、教室で教職員も生徒も不織布のマスクをつけることが重視されます(つけることが困難な子どもは除く)。必要な子どもには学校で不織布マスクを支給すること。
- 学童保育での感染を防止するため、現場の実態を把握して必要な対策を講じるとともに、三密とならないよう公設・民設ともに広い場所を保障するなど支援すること。
- 広範な子どもと教職員に頻回(週2回程度)に無料で抗原定量検査などを実施すること。コロナ感染は半数が無症状感染者からであり、無症状感染者の発見と保護が感染対策に欠かせません。国が高校のほか幼少中に配布するとした抗原簡易キットは発熱など症状のある人への検査であり、不十分です。
- 学校でのクラスター対策と広範な検査のために、陽性者が出た場合は、濃厚接触者をせばめず、実態に応じて学級・学年・全体など広くPCR検査を行政検査として行うこと。
- 「災害時」にふさわしい柔軟な教育を保障すること。影響が長引く場合、例年通りの授業時間の確保を基本とすれば、詰込みとなり子どもたちがストレスをためることになります。限られた時間の中で、核となる学習内容を精選してじっくり学び、子どもの成長に必要な学校行事も行えるようにすること。入学試験が妨げとならないよう、必要に応じて出題範囲を実際の学習に合わせること。
- コロナについての学びとコミュニケーションを重視すること。子どもたちは長い間我慢をしいられ、さまざまな不満を募らせています。ウイルスと感染のしくみを学び、自分が納得して行動変容し、部活動や学校行事など学校生活について前向きな話し合いを行うことも欠かせない学びです。
- 教職員や支援員等の配置や予算を拡充し、様々な対応が求められる学校現場を支援すること。
以上
デルタ株による事態急変を踏まえた学校の夏休み明けにあたっての緊急申し入れ(コロナ対策第13次要請、PDF)
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【県の対応・回答(教育庁企画監、義務教育課、高校教育課、特別支援教育課)】
- 県の非常事態宣言(8月31日まで)は国の緊急事態宣言に合わせて9月12日まで延長されることから、この期間は原則リモート授業での対応を市町村に要請した。一部、リモート授業準備のために学校登校を必要とする場合もある。小学生について、家庭で対応できない子どもは学校や学童クラブで受け入れ、リモート授業を実施する。高校生で就職や進学など進路指導が必要な生徒については、学校で個別に対応する。特別支援学校も原則リモート授業とするが、家庭で対応できない子どもについては保護者の送迎を前提に学校で受け入る。部活動は原則禁止を継続し、試合や大会についても延期・中止を要請している。学校行事(体育祭、遠足、修学旅行など)についても、9月12日までの実施は中止・延期。
- 9月13日以降について、感染状況によって宣言が延長されることも考えられるが、その場合は分散登校の実施や、部活動の一部再開も検討する。
- ワクチンの接種状況は、小中学校教職員で2回接種済は県全体で平均50%程度。県立学校は35%程度。(1回目が終わっている教職員は7割)
- リモート授業に役立てるために、県教委の学習動画3,600本「いばらきオンラインスタディ」の活用をすすめている。県教委ホームページから視聴可能。
https://www.edu.pref.ibaraki.jp/board/gakkou/shochu/ibasuta/index.html - マスクの配布や検査の実施は考えていない。
- 県教育委義務教育課から市町村教委に対して指針などは出されておらず、知事が27日夕方5時に会見を行い、県立学校での対応を発表することとしている。市町村はこれを参考に、すでに各自治体で対応を検討実施している。