霞ケ浦導水事業変更へ 共産党茨城県議団、撤退求める
国土交通省が進める、茨城県の霞ケ浦と那珂川、利根川を地下トンネルで結ぶ「霞ケ浦導水事業」(総事業費約1,900億円)をめぐり、工期の7年延長と事業費を約495億円増額する事業計画の変更に、県が11月20日までに同意したことが分かりました。
霞ケ浦導水事業は、新たな水源確保などを目的に1985年に着工。その後、計画変更を繰り返し、23年度に完成予定としていました。
日本共産党県議団は、生態系への影響、事業費の増大、漁業権侵害などの問題から、一貫して事業からの早期撤退を求めてきました。
今回の変更は、総事業費を約1,900億円から約2,395億円に増額し、完成時期も23年度から30年度に7年延長するもの。
県の負担額は851億円から1,038億円に187億円増額となります。
今回の事業計画の変更で、埼玉県と九十九里地域水道企業団(千葉県)は撤退を表明しました。
日本共産党の山中たい子県議は、「人口が減り続け水需要も減っている。これ以上の県民負担増は道理に合わない」とコメント。
丸山幸司弁護士は、「そもそも漁業権を侵害せず事業を推進することは困難。コロナ禍の今、無駄な事業を止めて、苦しむ国民にこそ血税を使うべきだ」と話しています。
(「しんぶん赤旗」2020年11月22日付より転載)
霞ヶ浦導水事業から撤退することを求める申し入れ
2020年11月20日
茨城県知事 大井川 和彦 様
日本共産党茨城県議団
県議会議員 山中たい子
県議会議員 江尻 加那
知事は今月、国が公表した霞ヶ浦導水事業(2023年完成予定・総事業費1,900億円)の事業計画変更について「同意」を示しました。今回の変更は、工期を7年延長し、事業費を約495億円増額するものです。これにより、完成時期は2030年とされ、本県負担額は851億円から1,038億円に引き上げられることになります。
日本共産党県議団はこれまで、▼水需要が低下する中で100万人分の水が余っており、新たな水源開発は必要ない ▼霞ヶ浦浄化につながらないばかりか、水の移動は生物多様性条約や基本法に反し、那珂川や利根川の生態系に悪影響をもたらす ▼莫大な税金投入による県民負担を招くなどの問題点をあげ、一貫して事業からの撤退を求めてきました。
今回の事業計画変更にあたり、埼玉県と九十九里地域水道企業団(千葉県)は撤退を表明し、千葉県(工水)と印旛郡市広域市町村圏事務組合(千葉県)は取水量の減量を決めました。まったく見直しを行っていないのは本県と東京都だけです。
導水事業は、着工から35年経ても事業は4割しか進んでいません。過大な水需要計画を実態に合わせて大幅に下方修正するとともに、水利権の見直しを国に求めることです。霞ヶ浦や千波湖など河川湖沼の水質浄化については、専門家や市民団体の知見を踏まえて対策を講じるべきです。
以上を踏まえ、霞ヶ浦導水事業から撤退することを強く要請いたします。
※本県負担額に誤りがありました。訂正します。