台風19号の豪雨災害に対し救援、復旧、自治体支援に関する緊急申し入れ

日本共産党茨城県委員会は10月18日、茨城県に対し、「台風19号の豪雨災害に対し救援、復旧、自治体支援に関する緊急申し入れ」を行いました。

県担当者(左)に申し入れる山中たい子県議、江尻かな県議、上野高志県副委員長(左2人目から)=10月18日、茨城県庁

台風19号の豪雨災害に対し救援、復旧、自治体支援に関する緊急申し入れ

2019年10月18日

茨城県知事
大井川 和彦様

日本共産党茨城県委員会
委員長 田谷 武夫
県議会議員 山中たい子
県議会議員 江尻 加那

台風19号の記録的な大雨により、国管理の那珂川・久慈川の堤防が決壊し、水戸市、常陸大宮市、常陸太田市、大子町を中心に甚大な被害を受け、2人が死亡し1人が未だ行方不明です。住宅被害は床上・床下浸水など2,300棟を超え、調査中の水戸市が加われば、さらに増える見込みです。
日本共産党茨城県委員会と国会・地方議員団は現地対策本部とも協力して、被害状況の調査とともに、被災者の救援、復旧活動にとりくんでいます。県として緊急に対策を講じる必要がある項目をまとめました。早急な対応を求めます。

  1. 水戸市・常陸太田市・常陸大宮市・大子町をはじめ各地で甚大な被害に見舞われた。被害の実態を掌握し、激甚災害の指定を急ぐよう国に求めること。被災者に、災害救助法や住宅再建支援法などの制度をわかりやすく説明する資料を配布すること。
  2. 避難所運営改善と避難所に行けない人への支援
    被災者の要望を聞き取り、温かい食事の提供やプライバシーを確保するなど改善にとりくむこと。避難所に布団や厚手のマットの設置を行うこと。携帯電話の充電器や電源を確保すること。避難所へのテレビ設置、市町と避難所の連絡について情報伝達の強化を図ること。
    避難所に行けない人への水、食料、携帯電話電源等の支援を強化すること。
    床上浸水に至った場合、長期にわたる避難が予想される。旅館・ホテルも避難所とみなす「みなし避難所」を認めること。公営住宅やURの空き室、空き家を仮設住宅として認めること。
    床上浸水した避難者は、泥まみれで着替えもない状況がある。下着・衣服やタオルなど必要な物資を届けるとともに、入浴機会の確保をすること。
    「マットレスが他の避難所より薄かった。毛布が圧縮袋で密閉されており開けるのが大変であった」「避難所には約300人が避難したが、100人分の食料しかなく配れないでいた。当初から避難受入れ最大数を見越した食料の備蓄をして欲しかった」等、避難所運営に対する要望は強い。県として避難所の運営をサポートすること。
    「毎日1万歩ほど歩く仕事をしているが、避難所の体育館では座っているしかなく体調がすぐれない」という声を聞いた。避難所に医師や保健師を派遣し健康管理に万全の対応を図ること。
    「水が上がっていないか心配だったが何の情報もなかった」「国道沿いの築50年の家なので屋根が飛ばないか心配で避難した」という声が聞かれた。避難所では随時、災害の情報を伝えること。
    避難所の空調設備への支援を図ること。
    利根町には避難所用テントは10張しかない。プライバシーを守るパーテーションテントを避難世帯数分、早急に用意すること。同町の備蓄品は人口16,000人のうち1,000人が3日間過ごせるだけの量しか用意されていない。
  3. 災害ゴミ、ガレキ対策
    災害ゴミやガレキの対策として、水戸市は家の前に出しておけば市が収集している。他の自治体でも同様に実施すること。集積場や仮置き場があふれており、県としても受け入れ体制をとること。ガレキや家電製品等の撤去は、被災者の個人負担にならないよう県と市町が責任をもつこと。
  4. 農業被害への救済、補助等
    農業・林業・漁業が引き続き続けられるよう、被災した農林水産施設・機械への補助を拡充すること。
    農業施設の被害は、今後の農業の存亡にかかわる事態である。農業施設・作物被害への支援は補助や給付でおこなうこと。
    食用として販売できない収穫後のコメ等農作物については、前年並みに保障すること。大量の土砂が田に運ばれ埋まってしまった。土砂撤去の支援を行うこと。来年の作付に支障がないよう公的援助を行うこと。
    那珂川の氾濫で畑が2メートルまで水に漬かり、農業用倉庫・軽トラック・保冷庫・農業用機械が使えなくなった。農業用ハウスの全壊・倒壊の被害報告があった。充分な支援をおこなうこと。
    いちご栽培が盛んな常陸大宮では、膨らみ始めたイチゴが全滅し農業収入がゼロとなる見込みである。再建できるよう十分な支援を行なうこと。
    まだ稲の刈取りが済んでいない所も多数あった。
  5. 中小企業の再建支援
    中小企業の被害実態を早急に把握し、設備・備品の更新修繕に対する補助を行うこと。中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業の実施を国に求めること。佐賀県・千葉県で実施された小規模事業者持続化補助金の実施と制度の拡充を国に求めること。
  6. 被災住宅への再建支援強化
    住宅被害認定は、り災証明書の交付につながり、被災者支援の内容を大きく左右する。被害の実態に見合った被害認定を行なうこと。り災証明が出ていない場合は、写真をとる等を指示すること。
    被災者生活再建支援法の改定を国に求め、支援対象を半壊や一部損壊まで拡大するとともに、限度額を当面500万円に引き上げることを国に求めること。県としても独自の支援策を拡充すること。浸水被害を受け、家が壊れていなくても家を壊す必要がある場合など国制度が適用されない住宅には県制度を柔軟に適用すること。
    床下浸水した場合でも、床下にヘドロが堆積し、床をはずし、ヘドロをとり除き、床をはり替える等、再建に多大な費用を要する。住宅再建支援法や県制度を柔軟に適用すること。
  7. 障害物の除去
    住宅や周辺の泥、障害物の撤去には相当な費用がかかる。木製の電柱が庭に流れ着いた家もあった(常陸大宮市)。自力で除去できない場合、災害関連法を柔軟に適用し支援すること。
  8. 医療機関の再開
    大子町では町内の半数の医療機関が被災を受けた。一刻も早い病院再開へ、財政支援を含め対策を講じること。
  9. 河川改修、危険個所の改善
    那珂川やその支流の氾濫により水戸市国田町付近は長期間にわたり水が引かずに浸水した。早急な復旧を行なうとともに、那珂川をはじめ一級河川の堤防整備率の早期100%を政府に要求すること。
    (1) 治水を目的とするダムが、緊急放流を行なうことで下流地域洪水につながっている。こうした河川行政を見直し、森林の整備、決壊しない河川堤防のかさ上げ・強化を図ること。
    (2) 常陸大宮市富岡・塩原の堤防決壊は、古くからの土提が原因とも考えられる。越水、堤防掘削、決壊に至る今回の事態を教訓にして、堤防内側、外側を防水し堤防頂点に杭を打つアーマレビー工法による、より強固な堤防建設をすすめること。国に要求すること。
    (3) 県ダムの放流の経過を示すこと。雨が降ってからでは被害が拡大する。台風が予測された時点で計画的に放流するよう改善すべき。
    (4) 水戸市渋井、吉沼町、上大野地区などの浸水の実態や原因(那珂川堤防、新川等)を調べ、再発防止策を明確にすること。
    (5) 国田大橋の水位を測ること。水位計測点「野口」「水府」とは違い国田大橋地点は河川が蛇行している。計測が重要ではないか。
    (6) 久慈川、押川等の堤防かさ上げ等対策強化を図ること。
    (7) 利根川下流の波崎地区で無堤防地帯から利根川の水があふれ出し、床下浸水をはじめ、通行止めなど大きな被害がでた。その原因は10数年前から要求し始まった堤防工事が、いまだに完成していないことにある。異常気象が続く中、実態をつぶさに調査し、一刻も早く堤防の工事、水害対策を行なうこと。
    (8) 常陸大宮市久慈川左岸の富岡地区と小倉・塩原地区の築堤計画を早期に着工すること。
    (9) 那珂川・御前山地域の堤防の機能強化を図ること。
    (10) 水沼ダムの緊急放流について、事前放流や水位調節などを実施したのか。実施しなかったとしたらなぜか。運用マニュアルはどのようなものだったのか。
  10. 電柱、立木など危険物対策
    利根町で傾いた電柱が台風によりより危険となっている。住民は東京電力にお願いをしているが反応が鈍く治らない。住民の不安を取り除くためにも電柱、立木などの点検を常に行うこと。
  11. JR水郡線の早期復旧
    JR水郡線の早期復旧を図ること。大子町から福島県浅川町にかけ久慈川に架かる3つの橋が流され、傾斜する被害が確認されています。JR水郡線は大子町から町外の高校に通う180名の生徒をはじめ、県北の「背骨」、欠かすことが出来ない交通手段です。早期復興をJRに働きかけること。

以上

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