日本共産党茨城県議団ニュース 2018年10月号

項目

東海第2原発 再稼働反対は県民の7割以上

9月県議会

9月議会で日本共産党は、上野たかし県議が一般質問、山中たい子県議が予算特別委員会で質問にたち、11月末に40年を迎える東海第2原発について、大井川知事に再稼働中止の決断を強く迫りました。
原子力規制委員会は9月26日、再稼働に「適合」の判断を下しました。日本共産党県議団は抗議声明を発表し、再稼働せず廃炉にすることを求め、原発ゼロの実現に力をつくす決意を表明しました。

意見書可決 29市町村に広がる

上野県議は、「福島第1原発事故で大きな被害を受けた本県が原発やめるとなぜ決断できないのか」と切り出し、過酷事故が起きた場合の専門家の試算(別項)を示して知事の姿勢をただしました。
知事は「東海第2発電所の安全性には県民の関心は高い。県民の声を広く聞き、適切に判断していく」と、これまでの答弁を繰り返しました。

山中県議は「県原子力安全委員会は国の規制委員会の追認機関ではない」と強調し、独自検証は一人の犠牲者も被爆者も出さない決意で臨むよう求めました。
再稼働反対は県民の76%(17年8月の知事選NHK出口調査)と多数を占め、県内44市町村の6割を超える29議会で、運転延長や再稼働を認めない意見書が可決されています。

もし過酷事故が起きたら 専門家が試算

「東海第2原発30キロ圏内に限定しても、消費活動と産業活動で約6兆5220億円、県内GDPの半分が失われ、雇用の喪失は67万人。一方、再稼働によるGDPへの貢献は660億円、雇用の創出は3,700人程度であり、再稼働は考慮に値しない愚策だ」

(『世界』10月号での上岡直見・環境経済研究所代表の論文より)

日本原電 再稼働に向けベント装置の工事

日本原電は格納容器にベント装置の設置や防潮堤の工事をすすめています。
ベント装置は炉心溶融を伴う重大事故の際、高温高圧から原子炉格納容器が壊れるのを防ぐため、放射性物質を環境に放出するものです。再稼働せず廃炉にすればまったく不要な装置です。

事前了解が必要な工事

上野県議は、安全協定第5条にもとづく事前了解が必要な工事にあたると指摘。
「なぜ県は黙認しているのか。再稼働前提、放射能容認の工事を進めさせていいのか」と追及しました。

知事は「新規制基準の施行前から事業者が自主的取り組みとして実施してきた。反対する理由はない。新増設の事前了解は、再稼働問題を検討するなかで判断していく」と答えました。

教室にエアコン設置 維持費の保護者負担は県予算で

補正予算案に県立高校25校368教室へのエアコン設置(10億8000万円)が計上されました。
同時に、新たに設置されるエアコンの使用料年2,400円を徴収する条例案が提出され、上野県議は「保護者負担は1億3千万円、県予算でまかなうべき」と要求しました。
さらに音楽室など特別教室への設置を要望。小中学校への設置では市町村間で格差が生まれており、県の財政支援を求めました。

統廃合予定の3校にも設置

上野県議は、エアコン設置で統廃合が決まっている3校(来年度も在校生がいる)が除外されたことを批判し、設置を求めました。
柴原教育長は「3校とも来年夏に向けて整備する」と答えました。

精神障害者の医療費助成 手帳2級まで適用拡大を 2万人以上の請願署名

今議会に県精神保健福祉連合会から、精神障害者の医療福祉費支給制度(マル福)の拡充を求める請願が2万名以上の署名を添えて提出されました。
精神障害者のマル福適用は現在、障害年金1級の受給が条件で手帳取得者は対象外です。
署名はマル福の適用を障害者手帳に変更し、手帳1級、2級への適用拡大を求めています。

上野県議は、県障害者基本条例の立場に立ち、手帳2級まで医療費助成を拡充するよう求めました。
今議会、知事は手帳1級まで対象を拡大する方針を明らかにしています。

適用拡大のための対象者数と予算額

  • 精神保健福祉手帳1級に拡大…約900人(1億円)
  • 精神保健福祉手帳2級に拡大…約10,000人(10億3千万円)
    (予算額は県負担分)

最低賃金引き上げ 県がはじめて国に要望 日本共産党の提起実る

10月1日から茨城県の最低賃金は時給822円となりました。全国平均より低く、東京都との差は163円となります。
上野県議は本県の最低賃金の引き上げ、地域間格差の縮小へのとりくみを求めました。知事は答弁のなかで、日本共産党がこれまで求めてきた国機関への最低賃金引き上げの要望について、今年7月、県としてはじめて茨城労働局など関係機関に申し入れたことを明らかにしました。

保育士給与に上乗せ補助を

上野県議は、本県の保育士の年間給与額が全国平均より176万円も低く、東京都との差は262万円もある実態を示し、県独自の給与上乗せ補助を提起しました。

上がりつづける介護保険料 家計を圧迫

65歳以上の高齢者の介護保険料は4月から23市町村で引き上げられ、県平均5,339円となりました。2000年の制度発足時の2倍以上です。家計に占める割合も06年から17年の間に1.85倍になり、いまや高齢者の生活を脅かすほどになっています。

増える差し押さえ 15市町村で447人

65歳以上の高齢者の介護保険料は、年金が月額1万5千円(年18万円)以上の場合、年金から天引きされますが、それ以外の月額1万5千円以下の場合は、自分で納めなくてなりません。

予算特別委員会で山中県議は、介護保険料の滞納による差し押さえが県内で年々増えている実態を明らかにしました。そのほとんどが年金月額1万5千円以下の高齢者です。

13年度調査で11市町176人でしたが、17年度は15市町村447人に急増しています。高すぎて払えない高齢者が多くなっています。

減免制度の実現を

山中県議は「差し押さえはやめるよう、市町村に助言・援助すべきではないか」と提起。
「低所得者の保険料は全額免除し、減免制度を実現すること」「国に公費負担の大幅な引き上げを求めること」を求めました。
木庭保健福祉部長は「介護給付費が増加しており、国にたいし十分な財政措置を要望している」と答えました。

本会議で討論 精神障害者への医療費助成拡大など請願の採択を主張

採決前の討論に日本共産党を代表して江尻県議がたちました。
補正予算案には、県有施設のブロック塀の改修や県立高校へのエアコン設置など必要な予算措置もされましたが、茨城空港アクセス道路にさらに税金投入する増額補正が含まれており、反対を表明しました。

県動物愛護条例の改定案は、野犬駆除に使用される薬物を移動・損傷させた市民への罰則強化です。
江尻県議は「野犬排除に薬物を使用することに動物愛護団体などから削除を求める声が強く出されている」とのべ、「罰則強化の方向でなく、野犬を減らす取り組みや捕獲する努力が必要」と強調し反対しました。

精神障害者の医療費助成拡大、家族の働き分を認めていない所得税法の見直しを求める請願の採択を主張しました。日本共産党は「最低賃金1,000円以上に引き上げ」など意見書3件を提出しましたが、他会派の反対で否決となりました。

水道料金をさらに高くする過大な水開発

霞ヶ浦導水、八ッ場ダムから撤退を

茨城県の家庭用の水道料金は全国7位と、関東1都6県では群を抜いて高額です。
その原因が過大な人口予測による水源開発です。
広域水道事業から供給を受けている市町村は繰り返し県に高すぎる水道料金の値下げを要望しています。
一般質問で上野県議は、黒字分を県民に還元し、過大な水源開発からの撤退で高い水道料金の引き下げを求めました。
知事は「八ッ場ダム・霞ヶ浦導水事業は重要な水源。完成を前提に暫定水利権を取得しているから撤退はできない」と答えました。

この答弁を受け予算特別委員会で山中県議は、県南、県西、鹿行の広域水道は、1日最大給水量が安定水利権の中に納まっており、新たな水源開発は必要ないと強調しました。

工業用水の使用量は半分弱

さらに工業用水は開発した日量120万m³の半分弱しか使われておらず、60万m³が余っている実態を示し、「万が一、上水道が足りなくなっても工業用水から転用すれば暫定水利権は必要ない」と指摘しました。
暫定水利権の負担は水道料金に上乗せされます。
八ッ場ダムの県負担は、昨年度10億7200万円、これまで145億6900万円にのぼります。

広域水道事業は30億円の黒字

  • 県南 20億5,449万円
  • 鹿行 3億3,032万円
  • 県西 4億1,688万円
  • 県中央 2億6,264万円
    (2017年度決算)

水道事業の民営化世界の流れは“再公営化”

水道事業の運営に民間企業の参入を促す水道法改定案は、衆議院を通過し、参議院に送付されています。
一般質問で上野県議は、知事に水道事業の民営化への見解をただしました。
日本共産党は民間事業者の参入は、利益が優先され、安全性、安定性の後退、料金値上がりなど住民負担増につながる水道事業の民営化世界の流れは“再公営化”と指摘しています。

海外では水道料金が高騰し、設備投資がまともに行われないなどの問題が噴出し、民営から再び公営化に向かっています。

知事は「国会で審議中で答える立場にない」といいながら、民営化推進のレポートを引用し、フランスでは民営化は定着しているなどとのべました。

日本共産党茨城県議団ニュース 2018年10月号(江尻版、PDF)