日本共産党茨城県議団ニュース 2018年7月号

項目

県内6割超える28議会で意見書可決 「再稼働・運転延長は認めない」

6月県議会で日本共産党は、山中たい子議員が一般質問に立ち、大井川和彦知事にたいし東海第2原発の再稼働は認めず、廃炉を決断するよう迫りました。大井川知事は廃炉への明言は避け、再稼働の判断については「県民の意見にしっかりと耳を傾けていく」と繰り返しました。

山中議員は「前知事に提出された31万筆を超える再稼働反対の署名や、現知事への運転延長反対署名などをどう受け止めているのか」と質問。
知事は「私が知事に就任して以降、署名や要望書、はがき等を多数頂戴しており、県民のご意見として重く受け止めている」と答えました。

水戸市議会が「再稼働に反対」

原子力規制委員会は7月4日、基準に適合するとして審査書案を了承しましたが、県民世論の多数は再稼働反対です。これまで県内44市町村の6割を超える28議会で、運転延長や再稼働を認めず、もしくは廃炉を求める意見書が可決されています。

6月19日の水戸市議会は、東海第2原発の「住民理解のない再稼働は認めない」とする意見書を賛成多数で可決しました。
水戸市は、新安全協定により再稼働の事前了解権を得ており、市民の声や議会の判断を尊重されることが重要となっています。

山中議員の質問と答弁(要旨)

――原発推進の3大スローガン、「安全・安い・クリーン」は崩壊している。「安全」でないことは福島原発事故で証明された。さらに莫大な廃炉費用、原発事故による環境汚染、行き場のない大量の核のゴミの実態をみれば明らか。知事は原発が「安全・安い・クリーン」であることを信じているのか。

〈知事〉国の総合資源エネルギー調査会の試算では、原発コストは火力発電や再生エネルギーと比べて低コスト。運転時にCO²を排出しないクリーンエネルギーとされている。

――(再質問)国の立場を述べているだけで、質問に答えていない。
――新たな「県総合計画」には原発のない、新しい茨城にチャレンジすると明記すべきではないか。東海第2原発の再稼働を認めず、原発ゼロをめざす決断を求める。

〈知事〉安全の確保や、万一に備えた実効性のある防災体制の構築を大前提として、県民の声にしっかりと耳を傾け、安心、安全の観点から慎重に対応してまいりたい。

――日本原電は1,740億円の安全対策工事費すら、自力で調達できず、東電の資金援助をあおぐ。
――(再質問)東電は、飯館村や浪江町の住民の慰謝料増額の和解協議を打ち切り、自治体に対する損害賠償支払いもないがしろにしている。
請求額に対する支払いは、水戸市で45%、つくば市は12%、阿見町はわずかに5%。その東電から支援を受けなければならない日本原電に、原発を再稼働させる資格や経理的能力があるのか。

〈知事〉日本原電の経営体質については、コメントできる立場にない。

東海第2原発をめぐる意見書の可決状況(2018年6月現在)

破たん明らかな「核燃料サイクル」 「必要性」求める意見書 日本共産党以外の賛成で可決

6月議会には、「核燃料サイクルの必要性の明確化」を求める意見書が、自民党、自民県政クラブ、県民フォーラム(国民民主党)の3会派から提出されました。
核燃料サイクルの中核施設の「もんじゅ」は事故続きで廃炉が正式決定しています。

江尻かな議員は討論で、「核燃料サイクル政策の破たんはすでに明らか。高速炉『常陽』(大洗町)も『もんじゅ』と同様、廃炉にすべき」とのべ、反対を表明しました。
意見書は日本共産党以外の賛成多数で可決されました。

日本共産党は、原発推進の「第5次エネルギー基本計画案」の見直しを求める意見書を提出。
「脱原発の世論と世界の流れに逆行する」と可決を主張しましたが、反対多数で否決となりました。

防災環境産業委員会で質疑
売れ残り土地大幅値引き さらなる県民負担認められない

大井川知事は今年2月、県が保有する売れ残り工業団地のうち8団地を大幅値下げしました。
江尻かな県議は委員会で、値下げの影響について次のような質疑で県の姿勢をただしました。

江尻県議
値下げ面積と、影響額は?

産業基盤課長
面積は319ヘクタール。今後、どの程度地価が下がるかによって収入減少額も変わるが、値下げ前約700億円だったものが660~680億円になると見込んでいる。

江尻
その減額分を、さらなる県民負担で補てんすることは認められない。どう対応するのか。

産業基盤課長
新たな県民負担や借り入れを必要とすることはしない。値下げして早く分譲できれば造成費などが回収できる。雇用や税収の増にもつながる。

江尻
県全体の売れ残り土地は?県は企業立地件数全国1位と言っているが、売れ残りも1位ではないのか。

立地推進局長
2017年度末で927.9ヘクタールを保有している。本県は、工業団地やつくばエクスプレス沿線開発、港湾開発などを幅広く行っているため、全国の中でも保有土地が多い方だとは認識している。

総額2,300億円 破たん処理に税金投入 保有土地対策関係予算の推移

学童保育・開放学級の拡充を もうすぐ夏休み 子どもの居場所は?

働く親にとって夏休みの学童保育は欠かせないものです。お弁当を作ったり、家にいたいと渋る子どもを学童に行かせたりと、何かと苦労もします▼しかし、定員や保育料の問題で、学童保育に入れない子どもも多く、とくに水戸市では大きな課題です。

私は水戸市議のときから、市運営の開放学級の増設や保育内容の改善、指導員確保と処遇アップを求めてきました。でも、まだまだ不十分▼「高学年になると入れない」「民間学童クラブの保育料が高い」「夏休みだけでも通わせたい」と、しばしば悩みがよせられます。そのつど、一緒に市に相談に行ったり、学童クラブを紹介したりしています▼学童保育の予算をもっと増やして、子どもたちが「毎日行きたい!」と思えるような豊かな居場所をつくるべきです。

保健所残して 県が統廃合計画(12カ所→9カ所)
関係自治体存続求める意見書

6月議会で大井川知事は、保健所の機能強化を図る必要があるといいながら、保健所数を「現在の12カ所から9カ所に再編し、来年4月から実施する」ことを明らかにしました。

山中たい子議員は一般質問で、「保健所が廃止され遠くなれば、高齢者や精神障害者などが身近にサービスが受けられなくなる」と指摘。
「過去にも18ヵ所あった保健所を14ヵ所、さらに現在の12ヵ所と削減してきた。『選択と集中』の名で住民サービスを削ることに他ならない」と批判しました。

関係自治体は、「感染症発生時等の迅速な対応が懸念」(鉾田市)、「行政の使命を忘れた策」(常総市)、「県北地域の過疎をさらに促進」(大子町)、「各種相談・申請手続きに係る懸念」(常陸大宮市)など、存続を求める意見書を可決しています。

保健所統廃合計画の主な内容

◆常陸大宮保健所→ひたちなかに統合
◆鉾田保健所→潮来に統合
◆常総保健所→常総市をつくば、下妻市と八千代町を筑西、坂東市を古河に管轄を再編

種子があぶない 種子法廃止で高騰は必至 問われる県の役割

種子の安定供給を都道府県に義務付けてきた種子法が3月末で廃止され、農家から不安や危惧の声が上がっています。
JA水戸の組合長は「廃止の影響は10年先ぐらいからジワジワでてくる」と話しています。

一般質問で山中たい子議員は、「種子は基礎的な生産資材。種子法のもとで公的種子の価格は抑えられてきた。民間種子が広がれば、コストの高騰は必至」と指摘し、引き続き県が稲・麦・大豆種子の生産に取り組むことを明確化した種子条例の制定を求めました。

大井川知事は「県JAや関係団体から、法廃止後も種子の安定確保のために県の役割を担ってほしいと要請を受けている。要綱を策定し、引き続き種子生産に取り組む」と答弁しました。
日本共産党は「種子法の復活を求める意見書」を提出しましたが、反対多数で否決となりました。

  • 種子条例を制定
    埼玉県、新潟県、兵庫県
  • 条例制定を検討
    長野県、北海道

中高生の部活動
県教委「運営方針」を発表 適切な休養日の設定

県教育委員会は5月、中高生の運動部活動の休養日や活動時間の目安などを示した方針を発表しました。
「教育としての豊かな部活とは?」と原点を問い直すきっかけになるものとして、日本共産党県議団は県の取り組みを歓迎します。

朝練習を原則禁止

方針は、休養日を中学校は週2日以上設けることや外部指導員の活用などを掲げ、県独自の方針として始業前の朝練習を原則禁止としています。
今後、市町村教委や各学校で検討されますが、それぞれの部活動や生徒の自主性を尊重されることが望まれます。

県議団は、教員の長時間勤務の改善にもつながるとして部活動の見直しを求めてきました。中学校教員の平均勤務時間が1日12時間15分(県教委2017年調査)と極端に長くなっています。

県議団ニュース2018年7月号(PDF)