日本共産党茨城県議団ニュース 2018年4・5月号

 

項目

2018年3月議会 税金は県民生活や福祉の予算に

「空振りすればひっくり返るが、当たればホームラン」― 大井川知事は、2018年度県予算案にふれ、自民党県連大会でこのように来賓あいさつしました。
一般会計の予算総額は1兆1117億円。県債(借金)総額は、その約2倍にあたる2兆1506億円です。

県税をゲームや賭け事に使うかのような姿勢に対し、日本共産党は県民生活と福祉の増進をかかげて、江尻加那県議が一般質問に、山中たい子県議が予算特別委員会質疑に、上野高志県議が討論に立ちました。

さらに開発優先予算 企業・ホテル誘致に大型補助金

知事が提案した予算案で目立つのは、企業誘致に50億円、豪華ホテル誘致に10億円の新規補助です。そして、県庁内に「営業戦略部」を新設し、県外・海外に茨城を売り込む方針です。

これまでも陸・海・空のインフラ整備や工業団地、つくばエクスプレス沿線開発に莫大な予算を費やし、誘致企業には法人税や不動産取得税を免除。
その優遇策に加え、今度は補助金まで上乗せするものです。

一方、売れても赤字となる土地開発の損失穴埋めのために、新年度も90億円を投入。これまで補てんした額は2,300億円を超えます。本来は住民サービスに使うべき県民の税金です。

日本共産党県議団は「こうした県政から脱却し、県民要望の強い子育て支援や高齢者福祉、医療体制の充実が最優先課題」と求めました。ところが、あいかわらずの呼び込み型開発であり、共産党は予算案に反対しました。

各会派の賛否態度

知事に問う 水戸市新市民会館建設計画 再開発で巨大・巨額ホール「このまま県が認可するのか」

水戸市新市民会館建設計画について、江尻議員が本会議で大井川知事に質問しました。

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【江尻議員】総事業費320億円、3,700人収容の水戸市民会館建設計画がすすめられ、昨年、市から県に事業計画書が提出された。市民から130件超の「反対」や「見直しを求める」意見書が知事に出されたが、県の認可審査にどう反映するのか。

【大井川知事】都市再開発法に認可基準が定められているので、違法性や都市計画との適合、事業の遂行能力などについて審査し、適切に判断していく。

【江尻議員】この事業は異例づくめ。事業計画も認可されていない、権利変換計画もできていない段階で、地区内の土地所有権を再開発組合に移転している。再開発をかくれみのにして税金投入する事業に県が加担してはならない。市に計画の見直しを求めるべき。

【知事】市民会館の位置や規模、事業費などについては、その策定プロセスを含め、水戸市が市民の理解を得るべきものであり、県が関与すべき問題ではないと考える。

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水戸市は、駅前や中心市街地で多くの再開発を遂行し、そのたびに県は計画を認可、補助を行ってきました。しかし、テナントビルは埋まらず、まちの活性化につながっていません。その検証や反省もないままです。
県都・水戸市のまちづくりに、県が果たす役割が問われるのではないでしょうか。

茨城県も大丈夫?

公文書の改ざん、ねつ造、隠ぺいが日常茶飯事の異常事態。国民主権の基本である「情報公開」がこわされています。ところが、茨城県でも黄信号の事態が●大井川知事が、「傍聴者がいると率直な意見交換がされない」との理由で、総合計画審議会や有識者懇談会を次々と非公開にしたのです

●私は本会議質問で「傍聴者がいたら話せないような審議会で、公平・公正な県政が保障できるか」と改善を求め、他県と同様に『会議公開指針』をつくるべきではと提案●知事は「あらためて明文化する必要はない」と述べ、今後も知事の独断で非公開にされかねない事態です。「ガラス張りの県政」という選挙公約はどこへ?と、新聞紙上でも批判の声があがりました

●このまま重要な県防災会議も非公開にされては大変だと考え委員会で質問。知事は「3月28日に開催する県防災会議については、公開で開催します」と答弁で約束し、当日、県民の傍聴とマスコミが取材するなか、会議が行われました。 江尻かな

これでいいのでしょうか?

予算額

  • 土地開発の破たん処理、売残り土地の借金返済・・・・90億円
  • 常陸那珂港など港湾建設・・62億円
  • 茨城県に本社を移転した企業などに補助・・・・・・・・・・50億円
  • 国直轄の八ッ場ダム、霞ヶ浦導水事業の負担金・・27億円
  • 豪華ホテル建設に補助・・・・10億円

国保税・介護保険料・後期高齢者医療保険料 県民の負担は限界!
国の社会保障改悪から医療・介護をまもる県の役割発揮を求める

今年4月は国保税と介護保険料、後期高齢者医療保険料の改定時期が重なり、3つ同時に引き上げのおそれがありました。日本共産党は「今でも重い負担が生活を追い詰めている。引き下げこそ必要」と求めてきました。

県議団は、各制度の内容や財政状況について学習と調査を重ね、県と市町村および後期高齢者医療広域連合に、引き上げを行わないよう申し入れてきました。
3月議会では、山中たい子議員が国保税の課題について質疑しました。

弱者切り捨ての滞納対策やめよ

【山中議員】国保加入世帯の半分は、年所得100万円以下で暮らし、平均13%もの国保税負担を払えない世帯が2割にのぼる。県は弱者をどう守っていくのかが問われており、滞納者から保険証を取り上げ、有効期限が短い保険証に切り替えたり、強引な差し押えはやめるよう求める。

【大井川知事】国保は加入者が支え合う仕組みを基本としており、負担能力に応じた保険料を負担していただくことが必要。短期保険証などの交付は、滞納世帯と接触する機会を確保し、納付相談を行うための必要な取組みである。

▼県内市町村の改定状況

  • 国保税 ・・・・・・・ 17市町村が引き上げ
  • 介護保険料 ・・・ 23市町村が引き上げ
  • 後期高齢者医療保険料 ・・・・ 据え置き

水戸市は引き上げなし

江尻県議と日本共産党水戸市議団は、市の国保と介護の黒字会計や基金状況を明らかにし、引き上げの必要がないことを提示。その結果、当面の保険料据え置きを実現することができました。

子育て応援 子ども医療費助成 マル福拡大■待機児童解消■学校給食無償化 「日本一子どもを産み育てやすい県」をめざすなら思い切った予算を

毎年約1万人も人口が減っている茨城県で、県民要望が一番高い子育て支援について、江尻加那議員が質問しました。

【江尻議員】子どもの医療費補助を、入院のみ高校3年生まで拡大するとのことだが、約25億円で外来も含めて所得制限や一部自己負担もなく高校3年生まで完全無料化できるが、その実現はどうか。

【大井川知事】家計負担が多くなりがちな入院費について今年10月から拡大することにした。さらなる拡充は引き続き検討したい。

0~2歳児定員も保育士も足りない

【江尻議員】保育所待機児童の9割を占める0~2歳児の定員が足りない。保育士も足りず、必要な基本給の底上げが進んでいない。

【知事】0~2歳児の保育需要を約1,700名上方修正し、保育体制を整備していく。
民間保育園の保育士を対象とする処遇改善は、職員間の給与バランスが崩れることや、必要な研修受講が困難であることなどから6割強の(園からの)申請にとどまっている。
新たに保育人材バンクを設置し、保育士確保と処遇改善制度の活用を促進していく。

知事の公約「無償化」実現を

【江尻議員】知事の選挙公約である小中学校の給食費無償化にどう取り組むのか。

【知事】教育費負担軽減の具体策として公約に掲げた。県内でも33市町村が補助を行っており、大子町は全額無償化している。
全国的に見て都道府県が支援の上乗せを行っている例はなく、本県で無償化に必要な経費は年間約100億円にのぼることから、慎重に検討していく。

住民意思を反映し原発廃炉に
日本原電に資金支援 ―東京電力に他社を助ける資格があるのか

東海第2原発の再稼働をめざす日本原電に対し、東京電力が資金支援を行うと表明しました。
原電は、必要な対策工事(防潮堤・格納容器圧力逃がし装置など)の費用約1,740億円を自力調達できず、株主である東電に助けを求めていました。しかし、福島第1原発事故を起こし、損害賠償や廃炉作業の巨額費用を国民負担でまかなっている東電に、他社を助ける資格があるのでしょうか。

再稼働すれば世界に前例なし

東海第2原発は現在、原子力規制委員会の審査中ですが、再稼働すれば沸騰水型原発では世界で前例のない長期運転です。

【江尻議員】「住民説明会でも、原子炉のひび割れや燃え易いケーブル、使用済核燃料や避難計画の実効性など、安全性を心配する住民の声があふれた。茨城を実験場にしてはならない」と知事に迫りました。
30キロ圏内に96万人が住み、たとえ避難したとしても、元のくらしに戻れないのが原発事故の深刻な放射能被害です。
原電は3月末、再稼働の事前了解について、県と東海村の他に周辺5市(水戸市、日立市、常陸太田市、ひたちなか市、那珂市)の了解を得るという新たな協定を結びました。

県民の声聞く予算1円もない

知事は再稼働について「県民の声に耳を傾けていく」と繰り返しますが…
【上野高志議員】「県民の声を聞くと言いながら、そのための予算は1円も計上していない。これで原発立地県の知事といえるのか」と批判し、廃炉の決断を求めました。

県議団ニュース2018年4・5月号(PDF)