日本共産党茨城県議団ニュース 2017年12月号

 

項目

1984年国保法改悪以降 国庫負担は半減し、国保税は3倍に
江尻かな議員が予算特別委で質問

江尻県議は19日の予算特別委員会で、国民健康保険税の引き下げを求めて質問。

県内市町村の国保会計に対する国庫支出金の割合が46.05%→20.93%に半減され、その結果、国保税は3万→9万円台に負担が増えていることをパネルに示し、国・県の財政負担を求めました。

知事は「国保財政の健全運営のため、公費拡充が求められる。全国知事会と連携し、引き続き国に働き掛けたい」と国庫支出金増額の必要性に言及しましたが、県独自の負担軽減策は行わない考えです。

県の仮算定では、来年度さらに33市町村で国保税が引き上げになるとされています。国保税の引き下げこそ県民の願いです。

東海第2原発 使用済核燃料 あと5年で満杯 20年の運転延長を申請

江尻県議は、東海第2原発の廃炉を求めて質問。使用済核燃料について、仮に再稼働すれば燃料プールや乾式キャスクに貯蔵できる容量はあと何年かとただしました。知事は「現在の貯蔵量は容量の8割で、再稼働されれば約5年で容量に達する」と示しました。

96万人避難計画 実効性ない「2m²」の想定

さらに、江尻県議は原発事故時の避難計画に実効性がないことを指摘。例えば、水戸市民27万人のうち4万人を受け入れる計画のつくば市では、「1万5千人しか受け入れられない」としています。
県計画は、避難所面積を1人2m²で計算。これに対し、つくば市は通路や荷物置き場、共有スペースを考慮して床面積の7割を有効とし、それを1人3m²で計算しています。県計画は机上の空論です。
「住民避難ひとつ見ても廃炉にすべき」との質問に、知事は「県独自の検証をすすめ、県民の意見を反映して判断する」と答えました。

上野たかし議員 高次脳機能障害の患者と家族支援を

脳卒中や交通事故などで脳を損傷し、高次脳機能障害に苦しむ患者と家族をささえてきたのが、県立リハビリテーションセンター(笠間市)です。
ところが県は、来年3月末でセンターを廃止し、阿見町の県立医療大学敷地内に相談窓口を移すとしています。
日本共産党県議団は、家族会(脳損傷友の会)の皆さんと懇談。その際出された意見をもとに、上野たかし県議が保健福祉委員会で、江尻かな県議が予算特別委員会で、支援の継続と医療・福祉の連携を県に求めました。

安心・安全なまちづくりを県警に要望

上野県議は決算特別委員会で、県民要望の多い信号機の新設や、交番・駐在所の増設を求めました。

県内信号機の整備状況の推移(県警交通部資料より)

要望数新設数新設費用
2007年度484基101基不明
2012年度304基64基2億7,244万円
2016年度286基25基1億2,158万円

県内交番・駐在所数の推移(県警本部資料より)

交番駐在所
2008年度78ヵ所243ヵ所
2012年度90ヵ所150ヵ所
2017年度91ヵ所123ヵ所

☆交番と駐在所の合計で107ヵ所減少。交番は7~20人体制で24時間対応。

森林湖沼環境税 年間17億 継続の一方で農林水産費3割減
12月県議会 山中たい子議員が最終日討論

【定例県議会 12月1~21日・最終日討論の要旨】

日本共産党の山中たい子です。採決にあたって、議案などに対する討論をおこないます。

1. 市の合併特例債を活用させ県道トンネル工事

上曽トンネル・真弓トンネルの整備に係る環境調査が予算化されました。
上曽トンネルは桜川市と石岡市、真弓トンネルは常陸太田市と日立市において、市の借金となる合併特例債の活用を前提として道路整備をすすめようとしていますが、本来なら、県が必要な予算を確保して整備すべきであり、同意できません。

2. 森林湖沼環境税を今後4年間継続

年間約17億円の県民負担を求めてきた「森林湖沼環境税」を、さらに4年間延長することに反対です。県民負担の総額は2期10年で164億円にのぼります。
一方で、農林水産予算と林業予算は、約3割も削減されており、税金の使い方が問われます。

3. 県立リハビリテーションセンター廃止に反対

県立リハビリテーションセンターの廃止に反対です。
「県立」の大きな役割は、生活訓練や機能訓練について、患者や家族の総合的な相談支援を行うなど中核的な役割を果たすことです。
今後、県立医療大学(阿見町)の敷地内に高次脳機能障害の相談窓口を移しますが、県内に1カ所だけでは様々な要望に応えることはできません。

4. 一般職の退職手当引き下げは影響大

知事・県議会議員等、特別職の期末手当の引き上げと、一般職の退職手当支給水準の引き下げには同意できません。
退職手当は、生涯設計に大きな影響を及ぼすものです。
人事院は、「退職後の生活設計を支える勤務条件的な性格を有している」と述べて、退職手当の労働条件性を認めています。

5. 水道事業37億円の純利益─料金引き下げを

水道事業会計決算は、平成28年度の純利益を37億円とし、「企業局経営戦略」においては、平成36年度までの純利益の合計を166億円余と見通しています。水道料金の引き下げは十分可能でした。

6. 民生費1%増やせば110億円─くらし応援へ

一般会計決算は、茨城港常陸那珂港区や八ッ場ダム、霞ヶ浦導水事業などに250億円を超える多額の税金を投入しました。
一方で、民生費を見ると、本県決算総額に占める割合は平成27年度の場合、14.2%です。群馬県の15.3%、千葉県の15.4%並みに1%増やせば110億円。高校卒業までの医療費の完全無料化や国民健康保険税の県独自の軽減など、県民の声に応えることができます。

7. 教育費の負担軽減へ19,833筆の署名

私学助成の拡充を求める請願を、不採択とすることに反対です。
1筆1筆集められた約2万筆の署名には教育費負担軽減の願いが込められています。
私立高校は就学支援金制度のもとでも、公立に比べ、なお学費負担が重く、公私間格差の是正は切実となっています。

8. 制裁一辺倒でない北朝鮮への働きかけを

「北朝鮮による拉致被害者全員の即時帰国の実現に向けた国の行動を促す意見書」(いばらき自民党等が提出)に賛成します。
「制裁一辺倒では拉致問題は動かない」と横田めぐみさんの父、滋さんが話すように、日本政府は国際社会と連携を取り北朝鮮に働きかけるべきです。

9. 障害者通所施設の食費負担軽減の継続を

障害者福祉サービス等の報酬改定にあたって、通所施設を利用する低所得者への食費軽減廃止案の撤回を求める意見書です。
軽減措置が廃止されれば、食費は3倍に急増します。通所施設利用者の多くは、年金と工賃が主な収入源です。そうした実態を踏まえ、食費軽減措置の制度化が必要であり、可決を求めます。

10. 国保税引き下げのために国庫負担の増額を

国民健康保険制度における国庫負担の抜本的増額を国に求める意見書です。
政府が1984年に国庫負担を引き下げたため、国保会計に占める国庫負担割合は本県で46%から21%にまで下がり、逆に、1人当たりの国保税は3万円台から9万円台へと跳ね上がりました。

来年度の国保の都道府県化で、本県の7割を超える市町村において、国保税の引き上げが予想されます。国保加入世帯の4割は年金生活者など「無職」であり、非正規労働者などが3割です。
国庫負担の抜本的増額が必要であり、可決を求めます。

以上

採決の結果

今議会には大井川知事から議案等32件、議員から意見書等8件、県民から請願5件が提出され、計45件について賛否が問われました。
日本共産党は25件に賛成、20件に反対しました。

採決の結果、議案はすべて可決。障害者食費軽減や国保への国庫負担増額を求める意見書は共産党以外の反対で否決。
私学助成の拡充を求める請願は否決されましたが、同主旨の意見書が可決されました。

2018年の所属委員会が決まりました

  • 山中たい子議員
    総務企画委員会、予算特別委員会
  • 江尻かな議員
    防災環境商工委員会、議会運営委員会、決算特別委員会
  • 上野たかし議員
    保健福祉委員会、情報委員会(議会だより)

県議団ニュース2017年12月号(PDF)