「保育行政の拡充に関する要望書」を茨城県に提出しました

日本共産党茨城県議団は5月、県内44市町村に対し「保育に関する実態調査」を実施し、36市町村より回答が寄せられました。(回答率81.8%、回答はページ下PDF

また、5月20日に県議団主催の「保育問題学習会」を開き、日本共産党女性委員会の中川葵さんを講師に迎え、子ども・子育て支援新制度の課題や、国・県への要望などについて意見交換。県内の保育関係者や保護者、地方議員など40名が参加しました。

共産党県議団主催の保育問題学習会=5月20日、茨城県議会中会議室

共産党県議団主催の保育問題学習会=5月20日、茨城県議会中会議室

こうした取り組みを県政に反映させるため、6月16日に茨城県保健福祉部こども家庭課に申し入れ、懇談を行い、橋本知事あての要望書を提出しました。

申し入れには、つくば市にある島名杉の子保育園の斉藤新一理事が同席し、保育園経営者として意見を述べました。

茨城県の担当者(右)に要望書を提出し、懇談する日本共産党茨城県議団と島名杉の子保育園の斉藤新一理事(左から2人目)=6月16日、茨城県庁

茨城県の担当者(右)に要望書を提出し、懇談する日本共産党茨城県議団と島名杉の子保育園の斉藤新一理事(左から2人目)=6月16日、茨城県庁

また、6月20日に県政記者クラブで会見を行い、本県の保育実態と課題解決に向けた取り組み等を報告しました。
たび重なる複雑な制度改定や、財源不足・補助金カットなど、国の施策に振り回されない安定した保育行政が望まれています。

記者会見する山中県議、江尻県議、上野県議(左から)=6月20日、茨城県庁

記者会見する山中県議、江尻県議、上野県議(左から)=6月20日、茨城県庁

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日本共産党は、5月4日に発表した「保育緊急提言」を柱にして、待機児童の早期解消と、保育士の処遇改善をめざして力を尽くします。
「保育園に落ちたの私だ!」と悲鳴をあげるママと子どもを生まない社会をつくりましょう。

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2016年6月16日

茨城県知事 橋本 昌 様

日本共産党茨城県議団
山中たい子
江尻加那
上野高志

保育行政の拡充に関する要望書

日本共産党茨城県議団は5月、県内44市町村に対し、保育行政に関するアンケート調査を実施し、36市町村から回答をいただきました。
また、5月20日には、保育関係者や保護者、地方議員が参加する保育問題学習会を開催し、子ども・子育て支援制度の課題や、国・県への要望などについて意見交換を行いました。
つきましては、だれもが安心して子育てできる環境をめざし、保育行政のさらなる拡充を求めて、下記事項を要望いたします。

(1)新制度の丁寧な周知と、手続きや事務報告等の簡素化を図る

保護者や施設経営者から、「保育の制度が大きく変わり複雑でわからない」、「給付に係る事務量が増大しているので負担軽減を図ってほしい」等の意見がありました。
市町村における窓口対応や職員研修、情報提供(配布資料やホームページ等を含め)や申請・報告のあり方を改善できるよう、県の取り組みを図ること。

(2)認可保育園の増設で待機児童解消を図る

国が示している「緊急対策」は、様々な規制を緩和して保育の受け皿を拡大するもので、保育の質の低下が懸念されています。
小規模保育施設についても、設置場所がコンビニやガソリンスタンドの跡地であったり、園庭や遊具が不十分であったり、保育士の資格を有しない者が認められるなど、乳幼児の健全な成長と安全を保障できない施設も見受けられます。
待機児童解消は、認可保育園の増設による定員増を基本としながら、既存の小規模保育施設や認可外保育施設の環境改善に向けた実態把握と支援策を進めること。

(3)公立保育所、幼稚園の拙速な民営化、統廃合は行わない

取手市保育所の民営化に係る法人の不適正な運営や、かすみがうら市や石岡市などにおける公立保育園の廃止、土浦市の公立幼稚園の廃止などが進められる傾向にあります。
行財政改革による経費削減が優先されることなく、保育や幼児教育における公的な役割と責任を果たせるよう市町村を支援するとともに、一般財源化された公的保育予算を拡充するよう国に求めること。

(4)障がい児保育事業の拡充

障がい児を受け入れる保育施設に対する補助金(障がい児一人当たり月額:つくば市9万円、ひたちなか市8万円)を実施する一方、水戸市など一部自治体が補助を廃止しており、市町村間の格差が広がっています。
県全体で障害児保育を拡充できるよう、県の補助制度を実施すること。

(5)保育士の処遇改善と、保育士配置基準の早急な是正を図る

全職種と比べて月10万円以上も低い保育士の処遇改善は、待ったなしの課題です。
本県の市町村で働く保育士に占める臨時・嘱託職員の割合は、約6割に増えています。
市町村は臨時・嘱託職員の賃金を見直し、引き上げの努力を行っていますが、抜本的な改善には至っていません。

さらに、公立と民間の保育士賃金の格差は、いまだ是正されていません。
人手不足の中、少なくない保育士が「休憩が取れない」「自分の家庭生活や子育てが成り立たない」と悲鳴をあげています。
保育士の配置基準(0歳児3人、1・2歳児6人、3歳児20人、4・5歳児30人に保育士1人)を早急に是正するよう国に求めること。
保育士が働き続けられる保育現場をめざし、週休2日制や保育以外の仕事時間を保障できるよう、保育士加配の県補助を実施すること。

(6)保育予算の十分な確保

消費税増税分を財源にすることなく、国と県における予算を確保すること。

以上

保育行政の拡充に関する要望書(PDF)
茨城県内市町村保育アンケート結果(PDF)