「茨城県自治体問題研究所」への寄稿文(2015年5月20日号)

江尻県議が茨城県自治体問題研究所の機関紙、月刊「いばらきの地域と自治」第77号(2015年5月20日発行)へ寄稿しました。


県議会議員になって「いばらきの地域と自治」を考える

日本共産党茨城県議会議員 江尻 加那

2015年統一地方選挙を終えて、茨城県内の日本共産党地方議員数は62人になった。

県議3人、市町村議59人であり、県内44市町村のうち38市町村に少なくとも1人の共産党議員がいる。残るは行方市、潮来市、五霞町、境町、河内町、利根町の6市町。また、女性議員は29人で全体の46.8%を占める。

県内の市町村議会全体では、改選前のデータしか集計されていないが(平成26年6月1日現在)、44市町村議会に現に在職する議員数874人(定数は893人)のうち女性議員は103人で11.8%と全国平均と同じ。県議にいたっては、63人のうち女性議員はわずか5名で7.9%にとどまっている。

茨城県が全国8位の財政力にふさわしく医療・福祉・教育を充実し、くらし優先の県政に転換するために、日本共産党の役割と女性の力を大いに発揮していきたい。

たとえば、人口10万人当たりの医師数が茨城県は全国46位と言われるが、県内の医師総数は5,172人(平成24年)。
内訳は男性4,155人、女性1,017人。男性医師の年齢層は50代が一番多いのに対し、女性医師は30代が一番多くなっており、女性医師が働き続けられるかどうか重要な課題である。

茨城県は9つの医療圏に分けられているが、人口当たりの医師数が全国平均の半数にも満たない地域は3つあり、(1)常陸太田・ひたちなか医療圏、(2)鹿行医療圏、(3)筑西・下妻医療圏である。
「地方創生」というなら、医療・福祉・教育の充実こそ要であり、その現場で働く人々の人材育成と処遇改善に本気で取り組まなければならない。

介護保険料は今年4月から44市町村すべてで値上げされた。月額保険料は県平均で4,528円が5,204円に、引き上げ率15%。高い方から順に(1)大洗町5,980円、(2)水戸市5,900円、(3)つくば市5,892円。一番安いのが城里町と美浦村で4,500円。年金支給額も減らされ、高齢者の不安は増すばかりである。

子育て支援の要である保育所整備もニーズに追いついていない。県内で待機児童が一番多い水戸市では、今年4月の待機児童は158人。民間保育園が4カ所新規開設されてもなお保育所不足が解消されない。この現実を解決しない限り、いくら「少子化だ、人口減少だ、自治体消滅だ」と行政がさわいでも、説得力がない。

「住民が納めた税金は、住民の暮らしのために」という原点にしっかりと向き合い、あまりにもひどい県政のムダ使いを正さなければならない。

ムダ使いの象徴である常陸那珂港開発は、総事業費6,800億円。事業費の負担内訳は、国1,422億、県4,425億、市村203億、東京電力750億。東電が負担するのは北埠頭にある火力発電で燃やした石炭灰を港湾用地に埋め立てるため。今年5月11日に県が入札公告した石炭灰埋立用地の護岸工事は、300mの護岸をつくる工事の予定価格が46億5480万円。1mつくるのに何と1,552万円かかる!46億円あれば、特別養護老人ホームなら5ヵ所、保育園なら16ヵ所つくることができる。何としても、県民目線で議会のチェック機能を果たさなければならない。

その他にも、霞ヶ浦導水事業や茨城空港就航対策、開発用地の破たん処理など間違った税金の使い方を変えるには、住民世論が大きな力である。住民運動によって、つくば市による305億円の総合運動公園事業の賛否を問う住民投票が実施されることに決まった。水戸市でも、約300億円かけて市民会館を県内最大規模のコンベンションホールにつくりかえることに批判の声が高まっている。

税金の使い方だけではない。東海第2原発の廃炉を求める県民世論や、憲法を踏みにじる戦争法案への反対世論など、党派や立場の違いを超えて政治を変えようという流れは、沖縄での「米軍新基地建設反対」や大阪での「大阪都構想否決」に象徴されている。
茨城でも共同を広げていきたい。