江尻かな県政NEWS 2024年12月号(2)
県議会が12月16日まで開かれました。提案された補正予算は県職員等の給与と期末手当引上げに必要な予算で、物価高騰対策は先送りされました。知事は、「今後、国の経済対策補正予算の内容を見極めながら適切に対応していく」としており、くらしの実態や現場の声を届けていくことが重要です。
引き続き、ご意見・要望をお寄せください。
江尻かな県議は10日の防災環境委員会で質疑しました。
【公害苦情が全国最多】
茨城県が12年連続で、人口当たりの公害苦情件数が全国一多いことについて質問。 環境対策課長は、2023年度の苦情件数が県と市町村合わせて2,522件あり、全国と比べて「廃棄物の投棄や野焼きの苦情が多い」と説明。江尻議員は、県道の除草を含め、生活環境改善の強化を求めました。
【金属スクラップヤード】
金属類などの盗難防止や不適切な屋外保管・操業による騒音や火災等を防ぐために県条例ができたことを受け、県の立入検査について質問。 廃棄物規制課長は、届出のあった449事業場すべてを今年度中に立入検査する考えで、保管高さや囲い塀設置、騒音対策等が適正に進むよう取り組むと答弁しました。
茨城空港に新たな誘導路は必要ない
県がすすめる「茨城空港のあり方検討会」で、新たな誘導路を確保するイメージ図が示されました。 2010年の空港開設時、国交省と県の予算(県負担70億円)で建設した民航用滑走路はすぐさま防衛省に移管され、自衛隊訓練等の利用が優先されています。
江尻議員は「県の利用目標(国内線定期便で 1日24便・81万人)に程遠い状況で誘導路構想が出るのは、国が進める自衛隊基地強靭化が目的ではないか」と追及。 委員会前に空港対策課に聞き取りした際、職員は「民間需要により誘導路の必要性を検討するが、整備後は防衛省管轄になるだろう」と認めました。
「あり方検討会」の会合には、防衛省や百里基地司令部がオブザーバー参加していることもわかりました。
東海第二原発 工事現場で労災多発 共産党議員団が視察
江尻議員は市町村議員とともに東海第二原発を視察しました。
事業者の日本原電(株)は、施工不良で工事が中断中の防潮堤のほか、完了していない多くの工事現場をバスで案内。毎日約3,000人の作業員が再稼働のための工事に従事しており、労災もゼロではないと説明しました。原電が公表していない労災があるとの情報も寄せられています。
6年間で46件 感電死も
江尻議員はさっそく調査を実施。その結果、2018年の工事開始以降、約6年間で46件の労災が起きていることが分かりました。そのうち、休業災害が9件、不休災害が37件で、感電死で亡くなった40代の作業員も含まれます。
江尻議員が委員会で、原電から県への報告状況を質問しましたが、原子力安全対策課は労災件数さえ答えませんでした。
前日もやけど・火災発生
委員会前日の9日にも、取水口エリアで溶接作業をしていた50代の作業員が、耐火服に引火しやけどを負う火災事故が発生。江尻議員は、「再稼働ありきの現場で施工不良や火事、労災が多発しており、原電の管理能力は欠落している」と批判しました。
牛久、石岡、日立で原発学習会開催
「防潮堤欠陥工事や避難計画について、もっと詳しく知りたい」と声がかかり、各地でお話しています。
主催者や参加者の皆さんから様々な意見や感想が寄せられ、私も勉強になっています。(江尻)
救急搬送で選定療養費支払い 開始1週間で88件
県が12月2日から始めた“緊急性のない救急搬送”患者への選定療養費徴収。 対象の22カ所の大病院に搬送された1,527件のうち88件(5.8%)が徴収され、高齢者が41件、子どもが 13件でした。 県全体の搬送件数は前年同時期比で15%減。 県は今月から月1回のペースで検証を行うとしています。
【起きていること】
▼介護支援住宅に暮らす弟がてんかん発作を起こして救急搬送され、姉が県北の病院に駆け付けたところ、最初の書類で 救急車利用料を請求する場合があると「承諾」のサインを求められた。 結局、弟は入院することになり徴収はなかった。
▼学校で頭にケガをした児童を救急車で病院に連れて行ったところ、病院から選定療養費を請求されて親が支払った。
月刊雑誌『地平』茨城県政ルポ
12月5日に発売された『地平』(地平社)に掲載の「ルポ イバラキ」が話題です。書いたのは茨城県出身のジャーナリスト・小林美希さん。
ルポの出だしは、「兵庫県知事のパワハラ疑惑報道を見て、茨城県知事が職員に対して急に丁寧になったと聞いています」と、茨城県政に詳しい事情通が語る。
(中略) 県議会では共産党の江尻加那県議が『大井川知事就任から二年、県庁職員の長期病休者のうち、精神性疾患が初めて100人を超えていることは大変気がかりな事態です』と問題を指摘していたが、それ以降もメンタルヘルスを崩す県職員の数が一向に減らないからだ」と書かれている。
最後に、「チェック機能が弱まっているこうした地域で何が起こっているのか。政治に緊張感がないことによるワンマン政治が全国各地で散見されるが、その一例として茨城県を取材し、次号以降、分野ごとに検証して連載する」とある。
次号は、来年1月5日発売予定。
江尻議員が議案採決前に行った討論の要旨
日本共産党の江尻加那です。
本定例会に提案された議案及び請願・合わせて49件に対して35件に賛成、14件に反対し、そのうち6点について討論いたします。
はじめに、第157号議案 茨城県自然観察施設の設置及び管理に関する条例の一部改正条例です。県植物園のリニューアルには賛成であり、入園料が無料になることも歓迎です。
一方、30億円の改修事業の目玉であるコテージやグランピングは、宿泊料が1泊1人23,100円~37,400円と、県民が気軽に利用できる設定ではありません。
また、指定管理者も変更されます。「植物園」「きのこ博士館」「県民の森」「森のカルチャーセンター」の4施設を、現在の農林振興公社から(株)ボタラシアンリゾートに変更し、来年度以降20年間の長期指定です。
宿泊や温浴、アクティビティ施設などの利用料で年間8億7千万円の収益を見込み、県は6年目から指定管理料をゼロにします。県有地と施設を使って民間が儲かる仕組みの導入は、もはや植物園というよりレジャー施設への様変わりです。本来、住民福祉の増進を図る目的の公の施設を、次々と民間の儲けに供することに賛同できません。
次に、第182号議案 職員の給与に関する条例等の一部改正条例です。県の一般職員と会計年度職員の給与及び期末手当を引き上げることには賛成です。しかし、それに自動的に連動して、特別職の知事並びに副知事と公営企業管理者や病院事業管理及び県議会議員の期末手当まで引き上げることは適切でなく、据え置くべきと考えます。よって改正条例に反対です。
議第14号は、公共交通及び物流に関する対策の充実・強化を求める意見書です。県民の移動手段である鉄道やバス、デマンドタクシーなど公共交通の充実・強化や、トラック輸送などインフラの維持確保という意見書の主旨には大いに賛同いたします。
しかし、国に要望する「別記事項」24項目の中に、TX土浦延伸や港湾・高速道路網の整備のほか、茨城空港について将来の在り方検討における拡充構想が入っています。いずれも多額の税金投入が必至となる一方、必要性はありません。
TX延伸に関する調査結果(2023年3月公表)によると、直線距離で8.4km、概算事業費は1,400億円。1日平均利用はわずか7,800人で、採算性は年間3億円の赤字とあります。TXにおいては、現在の混雑緩和や定期代引き下げ、精神障害者運賃割引の実施が利用者の願いです。
また、茨城空港の在り方検討会で出された新たな平行誘導路の確保策は、民間需要を大きく描きながら過大予測をして、結局、自衛隊の基地強化で軍事利用に供されるものと考えます。よって、意見書に賛同できません。
最後に、教育に関わる請願3件について、いずれも切実な県民の願いであり、不採択とすることに反対です。
第5号・6号は、私学助成の拡充を求める請願です。私立高校の就学支援金等拡充などで授業料や入学金の負担を軽減し、子どもたちの進路選択の保障を求める教員関係者らが呼びかける茨城県連絡会議の請願について、私学協会や保護者会連合会提出の同趣旨の請願と同じように採択することを求めます。
第7号から10号の請願は、教育格差をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求めるもので、教員を増やして小中校で30人以下学級を実現すること、特別支援学校や定時制高校の充実すること、学校給食費の無償化といった請願項目は多くの県民の願いです。採択を求めます。
請願第11号から14号は、日本民主青年同盟茨城県委員会が提出した来年度から6つの県立学校の授業料値上げを撤回して欲しいという請願です。学校の電気代が上がったものを、受益者負担で生徒に求めるべきではありません。本県の医療、看護、農業、陶芸、産業及びIT短大は、これからの茨城を担う若者を、人材を育成する場であり、電気代を含む学校経費は県の予算で保障すべきです。
県が実施した「子ども計画」策定のための基礎調査でも、保護者は教育に係る金銭面が一番の負担と答えているのに、県や議会が簡単に授業料値上げを決めてしまっていいのでしょうか。10月の総選挙でも、全ての政党が学費無償化をめざすと公約に掲げたところです。本請願を不採択とすることに反対し、以上で討論を終わります。