国保料 運動で軽減 全商連が経営対策交流会
全国商工団体連合会(全商連)は8月22日夜、経営対策交流会「高すぎる国民健康保険(国保)料・税の負担軽減対策」をオンラインで開きました。負担増になる都道府県ごとの保険料・税水準の統一が実施・推進されるもと、議会活動や自治体要請を通じて均等割減免や独自の軽減措置を実現させた経験が各地から出されました。
茨城県内で広がる子どもの均等割減免について、日本共産党の江尻かな議員が報告。保険料算定方式が所得割と均等割の2方式に統一されると多子世帯で税額が高くなる傾向にあるとの知事の県議会答弁を引き出し、県が総額年5億円を市町村に支給し、9割弱の市町村が減免を実施していると紹介しました。
保険料が統一された大阪府内でも、自治体の基金を健康増進事業に使って、国保加入者1人に1万5千円を支給している能勢町の取り組みを日本共産党の中西顕治町議が強調。「公費負担率の大幅拡大など国保制度の抜本的見直しが必要だ」と指摘しました。
奈良県商工団体連合会の柴田勝久事務局長は、負担軽減には自治体独自の法定外繰り入れが必要だと強調。自治体に要請し、「県に対して保険料統一反対の声をあげさせる取り組みが重要だ」と指摘しました。
(「しんぶん赤旗」2024年8月24日付より転載)
8月22日 全商連経営対策交流会「国保料・税の負担軽減策」への報告
茨城県議会議員 江尻加那
【茨城県】 課税2方式への統一と子どもの均等割り減免について
1. 茨城県の国保事業状況
- 県(44市町村)人口約282万人のうち、国保被保険者は約62万人(約2割)、約40万世帯(約3割)で減少傾向。後期高齢者医療は増加。
- 「茨城県国民健康保険運営方針」で「保険料水準の統一」を掲げ、その第一歩として、県主導でR4年度から課税方式を2方式(所得割・均等割)に統一。
- 資産割と平等割をなくす理由に、▽簡潔・公平な2方式とする▽制度創設時(昭和36年)と比べて家族形態が変わり、国保世帯の約85%が1人または2人世帯で、世帯当たりで課税する意義が希薄化などを上げる。統一化前は、4方式が20市町村、3方式が24市町村であった。
2. 2方式導入による県から市町村への交付金
- 多子世帯に着目した項目(子どもに係る均等割の軽減措置)を設け、2方式を実施した市町村に対して、総額5億円を0~19歳の被保険者数で按分した額を交付。R4年度は1人当たり7,389円、R5年度は8,839円。
- 国はR4年度から全世帯の未就学児を対象に未就学児に係る均等割について、その5割を公費による軽減策をスタート。(国1/2、県1/4、市町村1/4)
- 市町村は、国と県からの交付金を活用して、独自の政策判断で子どもの均等割など保険税負担軽減策を実施。
- 現在、子どもの均等割減免実施は39市町村(未実施5市町村)。そのうち取手市と鹿嶋市は全額免除。また、かすみがうら市は子どもの均等割相当分を応援金として一般会計から支給して全額免除を実施するなど、各市町村の取組を拡充している。
- 2方式導入の前後(R3とR4)で、1人当たり現年度分国保税額(医療分+後期高齢者医療分)が県平均で年額88,464円が83,787円に減額。一方、6市町で負担増となった。一般会計からの法定外繰入を廃止。
3. 県民要望を受けて議会で論戦、知事答弁を引き出す
- 2方式導入前のR3年10月県議会で、2方式導入により子育て世帯(多子世帯)が値上げになることを追求し、値上げ回避策・財政措置を要求。
- 知事の答弁
▽2方式に施行した場合、市町村が国保税で集めるべき総額に影響はないが、賦課方式が変わることにより額は世帯所得や世帯構成によって変動することになる。
▽多子世帯など家族の多い世帯では、税額が高くなる傾向があると認識している。
▽R4年度については、国による未就学児に係る均等割軽減と併せて、子 ども1人当たり約2万5千円の負担軽減を図る考えである。
▽国保における子育て支援は、一義的には国が責任をもって取り組む課題であり、引き続き、対象年齢の拡充と地方負担の撤廃を要望する。
4. 現在の課題
- 市町村の国保税算定基礎となる県への納付金はR6年度800億円で、加入者1人当たり6,856円、5.1%増。県の国保財政安定化基金は24億円あり、国の指示で8億円取り崩したにもかかわらず、1億円しか活用していない。子どもの均等割をゼロにするなど負担軽減を行うべき。
- 後期高齢者医療保険料はR6年度7万円から7万8千円に11%の引き上げ。広域連合の医療給付費準備基金が過去最高の65億円あるのに、負担軽減に活用したのは半分以下の30億円のみ。
さらに、県の後期高齢者医療財政安定化基金は一切取り崩さない姿勢。過去に県の基金を活用したのは、民主党政権時代の1回きり。現在50億円にまで増え、これ以上積立は必要ないとして基金条例が改定されたほど。 - 負担の求め方、基金のあり方が問われる。少なくとも、基金の活用基準を見直して保険料軽減を実施させていく。
- 医療福祉(マル福)制度をさらに改善させ、医療費助成を拡充させる。とくに、小児外来について県内全市町村が高校3年生まで助成しているが、県は入院のみ高校3年生までで、外来は小学6年生にとどまっている。
以上