東海第2原発廃炉を 施工不良発覚1年(下) 江尻かな県議に聞く

原電は再稼働やめ 廃炉事業に専念を

東海第2原発(茨城県東海村)の現状や今後の課題について、議会内外で奮闘してきた日本共産党の江尻かな県議に聞きました。

(茨城県・小池悦子)

記者会見で説明する江尻県議と大名美恵子東海村議(左から)=2023年10月16日、茨城県庁

東海第2原発は、1978年に運転開始し、東日本大震災後13年間休止中です。再稼働をめざす沸騰水型原発で一番古い原発です。原発から30キロ圏内14市町村の人口は全国最多の92万人。避難先は県内30市町村に収まらず、千葉、埼玉、群馬、栃木、福島にまで拡大し、宮城県も想定しています。

再稼働の事前了解権を県と東海村の他、日本原電に新安全協定を締結させた周辺5市(水戸・ひたちなか・日立・那珂・常陸太田)に拡大しています。これまで県内25市町村が再稼働反対の意見書や決議、4市町が趣旨採択をし、66%の自治体は再稼働ストップを表明しています。

議会の内外で

2021年3月18日の水戸地裁判決は、「実現可能な避難計画及びこの実行体制が整えられているには程遠く、防災体制は極めて不十分。複合災害を含めた検討がなされていない」などとして運転差し止めを言い渡しました。現在は東京高裁で審理が行われています。

その中で昨年9月、防潮堤工事(防潮堤の取水口部分である鋼製防護壁の地中連続壁基礎部分)に埋める鉄筋組み立ての工事管理者から、共産党に施工不良の内部告発がありました。

共産党は、告発の情報をもとに調査をすすめ、10月に記者会見を行って公表。その後も、市民団体の学習会や講演会でも講師を務めるなど、事実や情報を多くの人と共有するために議会内外で活動してきました。特に原電茨城事務所前(水戸市)での毎週の金曜日抗議行動では、連帯と学びがあり励まされています。

党議員の責務

この間、告発者との連絡を取り続けてきました。共産党に声を寄せてくれた、勇気ある告発に応えることは党議員の責務です。

今年2月、原電は基礎の補強と補修を行う方針を原子力規制委員会に提出しました。その後、規制委員会の公開審査会合が2回行われ、3月26日は「不具合の全容を示す」、「既工認との相違点」、「課題の整理と対応策」などの指摘を受けました。6月18日は「不備の全容が把握できない」、「防潮堤の構造体として期待できない」、「設計自体の抜本的な変更を検討」、「不備部分の建て直しも検討」などが求められました。

原電は、7月末の回答期日を守ることができず、7月26日に規制委員会と面談し「8月下旬の審査会合で説明することを目指して準備を進めている」と表明したとのことです。同日の茨城県知事の定例会見では、「この状況でいまだに工期を変えないのは地元に対して不誠実だ」とのコメントがありました。

今後も原電に対し調査や質問を繰り返し、現場視察実施を求めていきます。その結果を、さらに広く知らせていきます。

なぜ施工不良をおこしたのか。工期優先で施工品質をおろそかにし、現場の告発も聞き入れず、規制委員会現地調査官の監視もリポートチェックだけでした。こうした管理体制と企業体質に踏み込まず、施工不良を単なる「事象」として扱うなら、原発事故は繰り返されます。

原電が廃炉を決断できないなら、自治体がNOの声を上げる時です。原電は敦賀も東海も全て廃炉にして、廃炉事業に専念するべきです。

(「しんぶん赤旗」2024年8月22日付より転載)