茨城県議選 12月2日告示 全国8位の財政力を暮らし・福祉へ
任期満了にともなう茨城県議選(定数62)が12月2日告示(11日投開票)でたたかわれます。
暮らし・福祉・教育に冷たい県政を転換するとともに、来春の統一地方選で日本共産党の勝利・躍進をめざす上で前哨戦となるたたかいです。
共産党は水戸市・城里町区(定数6)の江尻かな氏、つくば市区(定数5)の山中たい子氏の現有2議席の絶対確保と、前回失った取手市区(定数2)で佐野太一氏が議席奪還に挑みます。
(茨城県・高橋誠一郎)
■大型開発推進の与党と対決
国主導の大型公共事業に依存する県は、霞ケ浦導水事業(県費1,038億円)の水源開発、火力発電所の石炭灰を埋め立てての常陸那珂港開発(事業費6,800億円)など、環境破壊と一体の事業に巨額の税金をばらまいています。
売れ残った土地に県税を投入する一方で、新たな工業団地を造成し、豪華ホテルや大企業本社機能の誘致に躍起。一方で問題なのが、県が全国8番目の財政力を持ちながら、県民の福祉を切り捨てていることです。
県議会の約8割を占める自民・公明を筆頭に、国民民主系の「県民フォーラム」に加え、立憲民主も知事提案の予算に賛成。共産党以外の全会派が現県政の“推進役”となっています。大型開発偏重の県政か、暮らしに寄り添う県民本位の県政か―。県議選で大きく問われます。
■県立医療大 独法化を阻止
新型コロナの猛威は、医療が脆弱な県の実態を浮き彫りにしました。47都道府県の中で、人口10万人あたりの医師数は46位、一般診療所数は44位、保健師数は37位、看護師・准看護師数も43位と深刻です。さらに県は2019年、共産党が唯一反対する中、12か所あった県内の保健所を9か所に削減しました。
公衆衛生を軽視する県の姿勢をただし、医療体制の充実を求めてきたのが党県議団です。
山中たい子議員は昨年の3月定例会で、県が来年度に計画していた県立医療大と付属病院の独立行政法人化をめぐり、「医療を効率化の物差しではかるべきではない」と批判。
共産党のみが反対して中止に追い込み、県直営のまま、機能の充実が図られることになりました。
子ども医療費助成も、住民が取り組んできた長年の署名運動と結んで、県内すべての市町村で18歳までの助成が実現しました。
コロナ対策では、16回にわたる県への要請で、検査の拡充や事業者支援を要求。当初は飲食店に限定していた一時金も、関連事業者(計約105億円)に広がるなど、県政を動かしています。
■原発再稼働ストップ要求
「署名に託された9万人の願いを受け止めるべき」―。
一昨年の6月定例会。日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働をめぐる県民投票条例案の審議で、実施を求める江尻加那議員の質問が議場に響きました。賛否の立場を超え、必要数を約1.8倍上回る署名が集まり、運動が広がりましたが、自民・公明・県民フォーラムなどの反対多数で否決に。再稼働反対が多数の県民世論に対して、県民投票の実施に背を向けました。
党県議団は、首都圏唯一の老朽化した東海第2原発の再稼働ストップを繰り返し求めてきました。原電は再稼働のための工事を再来年9月の完了をめどに進めており、予断を許さない状況です。
党県議団は、全国の原発直下で起きている地震のうち、東海第2での発生回数が最多であると告発。県や立地周辺自治体が再稼働判断の前提としている避難計画は、避難所の居住スペースにトイレや倉庫などが含まれていた問題を突き止め、1人当たりたたみ1畳分とする計画では県民の人格権は守れないと指摘。知事も、感染症対策と計画の両立は困難だと認め、見直しに追い込まれました。
水戸地裁は昨年3月、避難計画の不備を理由に東海第2原発の運転を認めない判決を言い渡しました。
判決を受け、江尻議員は「県民の生命や負担を考えると本気で言うなら避難計画は成り立たない。実効性ある計画というのは県民への背信行為だ」と厳しく追及するとともに、再稼働に反対する決断を知事に求めています。
県が一昨年5月に突如表明した公共関与型の産業廃棄物最終処分場(日立市)の整備をめぐっては、生活環境などへの懸念から、地元では約2万人の反対署名が集まり、差し止めを求める裁判もたたかわれています。
昨年3月の県議会予算特別委員会では、「日立セメント鉱山跡地」に決めた候補地選定をめぐり、「日立セメント」元専務が選定の検討委員会に加わっていた問題を暴露。「利益誘導、公共関与ありきで進められてきた」と批判し、整備計画の撤回を求めています。
住民の目線で住民とともにたたかう―。党県議団の値打ちは議会論戦に表れています。
■基地強化・改憲を許さず
平和の問題では、自民党が6月定例会に「緊急事態条項を含む憲法改正を求める意見書」を提出。県民フォーラムなども同調し、採択しました。
茨城県には航空自衛隊百里基地(小美玉市)が立地し、米国やドイツ、オーストラリアとの共同訓練も相次いで行われています。改憲や基地強化のたくらみを許さず、平和と県民の暮らしを守り抜き、自民党県政と堂々とたたかう日本共産党の勝利がどうしても必要です。
(「しんぶん赤旗」2022年10月3日付より転載)