東京電力福島第一原発処理汚染水の海洋放出に反対するよう求める緊急要請(2021年4月12日)

汚染水海洋放出問題 県は反対せよ 知事に共産党要請 茨城

要請書を手渡す山中議員、江尻議員と地方議員ら

要請書を手渡す山中議員(中央)、江尻議員(中央左)と地方議員ら=4月12日、茨城県議会

東京電力福島第1原発汚染水の海洋放出問題で、日本共産党茨城県委員会と党県議団、市町村議員団は4月12日、大井川和彦知事に対し、国の海洋放出に反対し、当面の地上保管を継続するよう求める要請書を提出しました。県原子力安全対策課と漁政課が応対しました。

山中たい子議員は、「コロナ禍での水産品需要の減少が追い打ちをかけ、厳しい状況。このうえ海洋放出が強行されれば、漁業、水産加工業、観光業などへの打撃は計り知れない」と、海洋放出させないよう強く求めました。
県担当者は、「政府から方針決定と対策が正式に出され、説明を受けないと判断できない」と述べるにとどまりました。

県の漁業関係者も、強い憤りや危機感をあらわにしていますが、大井川知事は政府の方針を「注視していきたい」と述べるにとどまり、海洋放出に反対する意向を示していません。

参加者は、「『風評被害対策』など、お金を出せば済むなどと考えないでほしい。農業も漁業も生産者の誇りが奪われる。県として反対を貫いてほしい」と訴えました。

(「しんぶん赤旗」2021年4月14日付より転載)

県担当者と懇談する地方議員ら

県担当者(左側)と懇談する地方議員ら=4月12日、茨城県議会

東京電力福島第一原発処理汚染水の海洋放出に反対するよう求める緊急要請

2021年4月12日

茨城県知事 大井川 和彦 様

日本共産党茨城県委員会 委員長 上野 高志
日本共産党茨城県議団 山中たい子 江尻加那
日本共産党市町村議団

東日本大震災と原発事故から10年が経過してもなお、多くの被災者が復興と生活再建にむけて懸命の努力を続けている最中、政府は東京電力福島第一原発処理汚染水の海洋放出を強行決定しようとしています。

菅首相は7日、処分方法をめぐって全国漁業協同組合連合会の岸宏会長らと面会し、「近日中に政府の方針を決定していきたい」と伝え、13日の関係閣僚会議で海洋放出を正式決定するとされています。

これに対し、全漁連は「風評被害の発生は必至であり、海洋放出は断固反対」との立場を堅持し、本県漁業関係者や漁協においても強い憤りや危機感をあらわにしています。

ところが、大井川知事は、政府の方針について「注視していきたい」と述べるにとどまり、海洋放出に反対する意向を示していません。

今でも、茨城県はじめ被災県の水産業は先の見通しが立たず、放射能被害からの再建がいかに困難であるかは明らかです。同時に、不漁や魚価の下落、コロナ禍での需要減少が追い打ちをかけ、厳しい状況に直面しています。このうえ、海洋放出が強行されれば、漁業や水産加工業、観光業などへの打撃は計り知れず、風評対策や補償で解決できる問題ではありません。

福島第一原発構内では中身が不明のコンテナ4,000基が新たに見つかり、柏崎刈羽原発では核防護をめぐる重大事象が発生するなど、東京電力や政府に対して強い疑念を抱かざるを得ません。これらの不信が、復興を妨げている最大の要因です。

漁業関係者や地元同意もないままに結論ありきで海洋放出を決定することは許されず、政府は関係者の声に真摯に耳を傾けるべきです。
よって、知事に対し、以下について緊急に要請いたします。

  1. 茨城県として、東京電力福島第一原発処理汚染水の海洋放出に反対し、方針決定を行わないよう国に求めること。
  2. 当面、地上保管を継続するよう国に求めること。

以上

東京電力福島第一原発処理汚染水の海洋放出に反対するよう求める緊急要請(PDF)