新型コロナウイルス問題 柔軟な休校対応を 共産党が茨城県に第3次申し入れ

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本共産党茨城県委員会(田谷武夫委員長)と県内の地方議員団は4月9日、県に対して申し入れ(第3次)を行いました。
梅村さえこ前衆院議員(衆院北関東比例予定候補)、山中たい子県議、江尻加那県議らが出席しました。

新型コロナウイルスの対策をめぐり県に要請する上野高志県副委員長、梅村氏、山中氏、江尻氏

新型コロナウイルスの対策をめぐり県に要請する上野高志県副委員長、梅村氏、山中氏、江尻氏(左から)=4月9日、茨城県議会

要請は、▽県対策本部の体制拡充▽検査・医療体制の拡充▽県民生活と経済対策の充実▽教育・子ども支援─の4項目。
抗体検査の早期導入や、中小・小規模事業者への自粛に伴う損失補償、雇用調整助成金の県補助の上乗せを求めました。

教育では、県内10市町のみとなっている県立学校の休校措置を全県に広げ、希望登校や分散登校など柔軟な対応を求めています。

県の担当者は、中小企業に対し、雇用調整助成金の10分の9を補償する国の制度に、県として10分の1を上乗せすると表明。
「申請手続きの簡素化も図りたい」と応じました。

また、県内すべての市町村立小中学校が、自治体の判断で順次臨時休校に入ると説明しました。

参加者はこのほか、県立高校での臨時休業実施、密集・密着が避けられない保育園の保育士や子どもが優先的にPCR検査を受けられるようにすることなどを求めました。

(「しんぶん赤旗」2020年4月11日付より転載)

新型コロナウイルス感染症拡大の対応に係る申し入れ(第3次)

2020年4月9日

茨城県知事 大井川 和彦 様
茨城県教育長 小泉 元伸 様

日本共産党茨城県委員会
日本共産党 茨城県議団
日本共産党 市町村議団

政府は4月7日、感染者が急増する東京都など7都府県に「緊急事態宣言」を発動しました。

茨城県は対策本部会議において、本県の現状について「複数の集団感染は発生しているが、感染源が不明な患者が継続的に発生している状況にない」とする一方、県外からの感染の疑い例が増加傾向にあるとして、首都圏と近接する県南地域のTX沿線や常磐線沿線、神栖市、古河市の10自治体に外出・通勤通学自粛を要請しました。
現下の県民生活は、感染拡大の影響があらゆる分野で噴出し、不安と深刻さを増しています。

政府のこれまでの自粛・休校要請等により、中小事業者やフリーランス等は収入が途絶え、苦境に追い込まれています。子どもたちは友達と存分に遊び話すこともできず、学習の遅れなどの不安を持っています。

よって、県民の命と健康を守るために感染の拡大防止に最大の力を注ぐとともに、この危機から県民生活と子どもの教育環境を守るための対策強化と必要な予算確保を求め、以下の事項について申し入れます。

1. 特別措置法にもとづく県対策本部の体制

  1. 茨城県新型コロナウイルス感染症対策本部の機能を拡充し、関係各部署の情報や実態把握を全庁で共有し公表するよう改善する。
  2. 感染症対策の最前線にたつ9保健所と衛生研究所の人員体制を大幅に拡充する。
  3. 総合相談窓口を県庁と4カ所の県民センターに設置する。
  4. 感染者や家族、関係者を傷つけたり、不安をあおるなど、感染防止の妨げになりかねない差別や偏見、誹謗中傷を許さず、事実に即した情報対策を徹底する。

2. 検査・医療体制の拡充

  1. PCR検査態勢は、県衛生研究所と医療機関・民間検査機関により検査数が1日150件まで可能とされたが、引き続き迅速な検査態勢を構築する。
  2. 血液を使った検査など簡易な抗体検査を早期に導入するよう国に要請する。
  3. かかりつけ医や一般医療機関の医師が、感染の疑いがあり検査が必要と判断した場合、すみやかに検査が受けられる態勢に改善する。特に子どもや高齢者、基礎疾患がある人は柔軟に対応する。
  4. 感染者の入院施設は、感染症指定医療機関11施設・48床を含めた38施設・204床まで確保された。引き続き、重症者が入院治療できる病床や、中等症状者のための一般病床の確保を急ぎ、陽性結果の判明後に速やかに入院できるようにする。
  5. 軽症者が入院せずに療養する受け入れ施設について、公的施設4カ所・160室を確保したとされるが、引き続き公的施設の確保をすすめる。
  6. 医療機関に加え、高齢者や障害者などの福祉施設に対しマスク、消毒液、手袋、ゴーグル、防護服など、感染予防に必要な資材等を速やかに十分に供給する。

3. 県民生活と経済対策の充実

  1. 現金給付は「1人10万円」を求め、一刻も早く届けることを最優先にする。様々な条件をつけることによる事務手続きの煩雑化などを避け、すべての県民(県内に居住している外国人を含む)を対象にする給付を急いで行う。高額所得者は新型コロナ終息後に所得税の増税で実質的に返納してもらうなどを検討する。一回きりの現金給付で終わりにせず、賃金・収入補償の仕組みを急いでつくる。
  2. 雇用保険加入者か否かに関わらず、非正規雇用労働者、フリーランス、自営業者も含め、通常の賃金・収入の8割以上を補償し、速やかな支給ができる手立てをとる。
  3. 自粛要請によって直接・間接に影響をうけているすべての中小・小規模事業者に対して、家賃・地代・水光熱費・リース代などの固定費への直接助成をはじめ、自粛要請による損失を補償する。また、国保税の緊急減免をはじめ税・社会保険料の減免や県税・市町村税の納付の猶予を行う。
  4. イベント中止などにともなうキャンセル料・必要経費の補償を行う。県内最大規模のイベントである笠間陶炎祭の延期に伴い、出店料等への全額補償を行う。その他、県内各地の観光やイベントの参加業者、関連業者への救済措置を行う。
  5. 中小・小規模事業者が資金繰りのために、無担保・無利子融資を速やかに受けられるようにする。受付窓口の体制を強化するとともに審査の迅速化をはかる。
  6. リストラ解雇や派遣切り、内定取り消しを起こさないよう、経済団体や大企業に雇用責任を求めるとともに、万全の体制を講じる。雇用責任を果たすよう求めるとともに、特別融資の要件として雇用の維持を明記する。
  7. 県ブランド常陸牛、ローズポーク等の銘柄肉をはじめ、養豚・育牛・養鶏農家の減収分を補償する。
  8. 雇用調整助成金の申請書類の簡素化を国に求めるとともに、申請手続きについて事業所を指導援助する。中小企業に対しては10分の9が補償されることとなったが、県補助を上乗せし10分の10とする。
  9. 生活福祉資金や小口貸付事業の弾力的活用を図る。

4. 教育・子ども支援

政府による3月の「全国一律休校要請」が、県内で深刻な混乱と被害を引き起こしたことの検証がなされないまま、新年度にあたって休校又は再開したいずれの場合も不安と混乱が広がっている。

安心して通える学校生活の再開を待ち望んでいた子どもたちは、感染終息の見通しが立たない事態に「コロナ疲れ」「自粛疲れ」でストレスをため込み、学ぶ権利の保障も重大である。さらに、保護者の収入減や給食・スクールバスなど学校関係業者への補償など解決すべき問題は山積している。

  1. 休校(臨時休業)は、子どもや保護者、家庭、教育現場への支援・補償と一体で実施する。
  2. 県立学校(中学校・高等学校・中等教育学校)の休校は、感染拡大要注意市町(10市町)だけでなく、全県を対象に検討する。
  3. 市町村立小・中学校を含め、休校にあたっては「希望登校」や「分散登校」、「週1回の通学日」などを可能とするなど柔軟な対応をすすめる。
  4. 障害をもつ児童生徒を必要に応じて特別支援学校で受け入れられるよう、通学手段、給食、障害に応じた支援を行う。休校の受け皿となる放課後デイサービスの全事業所に対し、追加的経費の全額を補償するようきめ細かな対応を図ること。
  5. 休校の場合の学習支援に必要な教材や人員を保障する。週1回程度の家庭への電話連絡等のために必要な臨時電話を設置する。
  6. 再開した学校現場で3つの「密」(密閉・密集・密接)を回避することが現状で不可能な状況にあり、1クラスの人数を減らすための教室(空き教室の活用、プレハブ教室の設置)や加配教員を確保するなど教育環境を早急に改善する。
  7. 休校によって必要となる学童保育施設(運営費補助を受けていない施設を含む)で、3つの「密」をクリアできるよう利用施設の確保とともに、支援員が1日8時間勤務を厳守できるよう人員を配置する。国の感染症予防対策がすべての施設に適用されるよう対策を講じる。
  8. 学校行事等の中止にともなうキャンセル料・必要経費の補償を行う。休校に伴う給食業者やスクールバス会社等の減収は全額補償する。
  9. 非常勤講師、特別支援教育支援員、給食調理員等の処遇を保障する。
  10. 学校や保育所、幼稚園などでの感染予防のために、接触せず測れる体温計、マスク、ペーパータオル、消毒液の配布や専門業者による清掃・消毒を実施する。発熱や咳の症状がある子どもの検査をすみやかに行い、安心して通えるようにする。
  11. 就学援助の対象世帯を前年度収入ではなく、現在の収入減など家庭状況に応じて幅広く認定する。休校中でも申請受付ができることを保護者に周知する。
  12. 子どもが公園などの屋外で遊んだり、図書館を利用したりできるよう、公共施設等の適切な開設と管理を行う。
  13. 合理的な休校等の目安を示し、学校や部活動の再開見通しを持てるようにする。再開を判断する際は、市町村および議会、PTAや保護者等との連携を図り実施する。
  14. 授業の回復のために各学校・教員の最大限の裁量による弾力的カリキュラム編成を保障する。必要な加配を行う。全国いっせい学力テストの中止を政府に要請する。
  15. 休校中の家庭内ストレスによる児童虐待やDVが増える可能性を考慮し、福祉事務所や児童相談所、市町村要保護児童対策協議会とともに対策を図る。

以上

新型コロナウイルス感染症拡大の対応に係る申し入れ(第3次・PDF)