最低賃金 大幅アップを 共産党県委員会と県議団が労働局などに申し入れ 茨城

日本共産党茨城県委員会(田谷武夫県委員長)と日本共産党茨城県議団(山中たい子団長)は7月31日、茨城労働局長と茨城地方最低賃金審議会長あてに「最低賃金を早急に全国一律1,000円にすることを求める要請書」を提出しました。
大内久美子県副委員長、上野たかし県副委員長、山中たい子県議、江尻かな県議らが茨城労働局で担当者に手渡しました。

茨城労働局の担当者に要請書を手渡す大内くみ子党県副委員長、山中県議、江尻県議、上野党県副委員長

茨城労働局の担当者(左)に要請書を手渡す大内くみ子党県副委員長、山中県議、江尻県議、上野党県副委員長(中央から)=7月31日、水戸市

要請書では、首都圏の中で茨城県の最低賃金が低く、都市部への人口流出が深刻な問題になっていると指摘。

▽ただちに全国一律時給1,000円、1,500円を実現し、地域間格差につながるランク制度を廃止する▽中小企業への支援予算を抜本的に増やし、社会保険料の中小事業主負担を減免▽専門部会の公開など県最低賃金審議会の運営改善─を求めました。

茨城労働局の担当者は要請に対し、「今後開かれる審議会で内容を説明させていただく」と答えました。

最低賃金をめぐっては、茨城県弁護士会(根本信義会長)が6月13日、全国すべての地域で50円以上の最低賃金の引き上げを求める声明を発表しています。

(「しんぶん赤旗」2019年8月1日付より転載)

最低賃金を早急に全国一律1,000円にすることを求める要請書

2019年7月31日

茨城労働局長様
茨城地方最低賃金審議会会長様

日本共産党茨城県委員会
委員長 田谷 武夫
副委員長 大内久美子
副委員長 上野 高志
日本共産党茨城県議会議員団
県議会議員 山中たい子
県議会議員 江尻 加那

中央最低賃金審議会は、2019年度地域別最低賃金を全国加重平均で時給27円引き上げ、901円とする目安を答申しました。

引き上げ額の目安は、Aランク(東京・埼玉・千葉など6都府県)は28円、Bランク(茨城・栃木・静岡・京都など11都府県)は27円、Cランク(北海道・群馬・新潟など14道県)とDランク(青森・福島・鹿児島・沖縄など16県)はいずれも26円です。目安額における地域間格差は残され、今年度は2円です。

昨年は、中央最低賃金審議会の示した23~27円(平均26円)の引き上げの目安に対し、半数近い23県が1~2円の上積みをしました。茨城県は目安通りで上積みはありませんでした。

政府は「骨太の方針」(6月21日閣議決定、「経済財政運営と改革の基本方針2019」)で、最低賃金の引き上げについて「年率3%程度を目途として引き上げられてきたことを踏まえ」「より早期に全国加重平均が1,000円になることを目指す」ことを明記しました。しかし、これまでのペースでいくと、政府が掲げる「全国加重平均」で1,000円になっても、実際に1,000円を超えるのは8都府県にとどまります。最低の鹿児島県が1,000円になるのは10年もかかってしまうことから、政府の姿勢が厳しく問われました。

全国労働組合総連合が実施した最低生計費試算調査では、全国どこでも月22万~25万円程度が必要で、地域間で大きな格差はほとんどありませんでした。

全国知事会は本年7月、「ランク制度を廃止し、全国一律の最低賃金制度の実現。最低賃金の引上げによって影響を受ける中小企業への支援の強化」を提言しています。

一刻も早く全国一律時給1,000円に、そして1,500円をめざすべきです。
実現のカギを握っているのは、中小企業が賃上げできるように支援策を抜本的に強化することです。政府の中小企業支援策は、「業務改善助成金」しかありませんが、その予算は極めて少額です。しかも、2014年の36億円から19年は7億円に削減しています。

中小企業が求めている支援策は、赤字であっても負担しなければならない社会保険料の減免措置です。日本商工会議所などが行った「最低賃金引上げの影響に関する調査」結果概要(19年5月)は、最低賃金の引き上げに対応するために必要と考える支援策として「税・社会保険料負担の軽減」を挙げる回答が65.2%と最も多くなっています。

最低賃金の引き上げは、労働者全体の賃金を底上げするだけではなく、中小企業支援による地域における雇用の確保と地域経済への好循環をつくる点からも最重要課題です。
よって最低賃金の大幅引き上げを求め、下記のとおり要請します。

  1. 最低賃金をただちに全国一律時給1,000円に引き上げ、1,500円を実現すること。
    19年度の茨城県最低賃金は引き上げの目安額で時給849円である。Aランクの首都圏と比べ時給で164円の差がある。人口減少のなか、都市部への人口流失が県内市町村でも深刻な問題となっており、首都圏より低い最低賃金はその要因の1つとなっている。
    地域間格差の拡大につながっているランク制度を廃止すべきである。
  2. 最低賃金引き上げのための中小企業支援予算を抜本的に増額し、社会保険料の中小事業主負担を減免すること。
  3. 茨城県最低賃金審議会の運営の改善について、本審にとどまらず、専門部会をすべて公開すること。

以上

最低賃金を早急に全国一律1,000円にすることを求める要請書(PDF)

参考記事)最賃1,500円 速やかに 共産党議員団が要請 厚労相に 全国一律制・中小企業支援を(「しんぶん赤旗」2019年7月30日付)