茨城民報2017年11月号: 県政を身近に 原発ゼロの茨城へ(7)

 

項目

百里基地の縮小・撤去、核兵器禁止条約の調印
茨城県議会 江尻かな議員が本会議討論で主張

【討論の要旨】

日本共産党の江尻加那です。議会最終日の採決にあたって、討論をおこないます。

1. 百里基地・茨城空港へのアクセス道路に190億円

一般会計補正予算に、茨城空港と常磐道・石岡小美玉スマートインターチェンジを結ぶ9.6kmのアクセス道路整備費として9億4200万円の増額補正です。総事業費は当初164億円とされていましたが、私どもの調査で約190億円に増額されることも明らかになりました。同意できません。
茨城空港は自衛隊百里基地との共用飛行場であり、戦闘機の火災事故やオスプレイの飛来、日米共同訓練の強化など県民を危険にさらしています。基地の縮小・撤去をすすめるべきです。

2. 国の規制緩和をすすめる県条例に反対

手数料徴収条例の一部改正条例について、1点目として、通訳案内士法改定は、訪日外国人旅行者に対応するためとの口実で、無資格の違法ガイドを合法化するもので反対です。
現在、通訳案内士の資格取得者のうち、7割が通訳の仕事に就いていません。
旅行者に日本の歴史や文化を正しく伝え、魅力を感じてもらうことが観光政策の柱です。まずやるべきは、通訳案内士の年収引上げ・処遇改善をすすめて活用を図ることです。

2点目の小規模不動産特定共同事業の改定は、組合形式で出資し、不動産の売買や賃貸による収益を投資家に配当する事業の規制緩和です。これは悪質業者の参入を許し、出資者に被害をもたらすことが懸念されます。空き家や空き店舗の再生事業・まちづくりを、不動産投資というリスクある手法に委ねるべきではありません。

3. 政府に核兵器禁止条約の調印求める請願に賛成

請願第6号(新日本婦人の会茨城県本部が提出)は、日本政府に核兵器禁止条約の調印を求めるもので、これに反対する理由があるでしょうか。
被爆者をはじめ、世界各国と市民社会の多年にわたる共同の取組が結実した条約であり、被爆国日本が速やかに批准して核兵器の廃絶に積極的役割を果たすことが求められます。

4. 家族労賃を必要経費に認める所得税法改正に賛成

請願第8号(県商工団体連合会婦人部が提出)所得税法第56条の廃止を求める請願の不採択に、反対です。
農業者や中小零細自営業者を支えている家族従業者の自家労賃を、必要経費として認めることは世界の主な国々では当然のことです。
必要経費に算入しないと定めた56条を廃止し、家族従業者の多数を占める女性の働き分を税法上きちんと認めることは、男女共同参画社会づくりの前進に貢献するものです。

5. 1票の格差是正は比例代表中心の選挙制度で

意見書議第11号(いばらき自民党が提出)は、参議院議員選挙制度について、選挙区の一部合区を解消し、都道府県を単位とする選挙区に見直すことを求めています。

選挙制度は、国民の基本的権利、議会制民主主義の根幹であり、制度見直しは1票の格差を是正することが根本問題です。
日本共産党は、現行制度への改定に際し、鳥取と島根、徳島と高知を合区とする10増10減案に対しては、憲法の要請にこたえるものではないと反対しました。

多様な民意を反映し、得票数が議席に正確に反映される比例代表を中心とした制度こそ抜本的見直しにつながるという立場から、意見書には同意できません。

6. 消費税10%への増税中止を求める意見書

意見書第14号(日本共産党県議団が提出)は、消費税10%への増税中止を求める意見書です。言うまでもなく、消費税は、所得の低い人ほど負担割合が多くなる最悪の不公平税制であり、例え軽減税率が実行されてもその矛盾は解消されません。
10%へのアップによる約5兆円の税収増ではなく、高額株取引の税率見直しで1兆円、大企業向け優遇減税の見直しで4兆円の税制改革で財源をつくることは可能です。

消費税増税は社会保障のためと言いながら、安倍政権はこの5年間で社会保障費の自然増を1兆4600億円削減し、教育予算も5年前より600億円も削っています。少子高齢化の日本において、予算の中心に社会保障の充実や教育の無償化、子育て支援の拡充を据えて、最優先で取り組むべきです。県民に負担を強いる消費税増税の中止を求めて、討論を終わります。

以上

採決の結果

今議会には知事から議案13件、議員から意見書6件、県民から請願3件が提出され、計22件について賛否が問われました。日本共産党は12件に賛成、10件に反対しました。
採決の結果、議案はすべて可決。核兵器や消費税、所得税法56条に関する意見書や請願は共産党以外の反対で否決。参院選選挙制度見直しの意見書は、共産党と民進党が反対しましたが賛成多数で可決。

県議会 10月3日~30日 新知事の原子力行政に対する政治姿勢ただす
山中議員が一般質問・江尻議員が予算特別委で質疑

=茨城民報2017年11月号3面より抜粋=

山中議員「知事選出口調査で再稼働反対が76%であった。県民の意見をどう反映するのか」「福島原発事故の教訓をどうとらえているのか」

大井川知事「福島原発事故は原子力の安全に対する過信、安全神話があったことが問題」再稼働については「県民の意見を反映し判断する」

東海第2原発について原子力規制委員会は新規制基準の公開審査を終了し、再稼働に向けた審査書案の取りまとめに入ると報じられています。
一方、日本原電は現段階で説明困難な部分を今後の「工事計画認可」時に先送りし、11月中に20年運転延長を申請するとしています。

再稼働工事費 1,800億円に大幅増額

日本原電は再稼働に向けた工事費について、当初の780億円から2倍以上の約1,800億円になると説明。防潮堤の構造やケーブル防火対策の変更などが主な要因です。

県安全対策委員長が原発企業から寄付

県は、原発の老朽化や緊急時の対応能力などを独自に検証するとしています。ところが、それを行う県原子力安全対策委員長が原発メーカーの三菱重工や日本原電から10年間で約1,700万円の寄付を受領。
山中議員は「これでは県民本位の検証は不可能であり改善を」と要求しました。

知事「必要情報を県民に提供していく」

江尻議員は「元の暮らしに戻れないのが原発事故の残酷さ。再稼働と廃炉のそれぞれの場合について県は検討も掌握もしていない」と追及。知事は「原発の必要性や使用済核燃料対策、地域経済への影響など再稼働のメリットやデメリット等、必要な情報を提供していきたい」と答えました。

原子力事故の避難計画

再稼働の可能性がある場合は、原発から半径30km圏内の避難計画が必要で、東海第2の場合約96万人。原発を廃止してプールの核燃料が冷却され貯蔵容器などに移替保管されれば半径5km圏内の避難計画(約8万人に)。すべての核燃料が撤去されれば避難の必要はありません。

大井川知事の政治的立場

衆院選投票日翌日の新聞に、自民党・梶山弘志議員(7選)の後ろで大井川知事が万歳する写真が大きく掲載されました。
8月の知事選で、大井川氏の選対本部長を務めたのが梶山氏でした。梶山氏は議員になる以前、旧動燃(現在の日本原子力研究開発機構)に勤務。衆院選の各紙アンケートで、原発再稼働に「賛成」と回答しています。

「ヒバクシャ署名」賛同を 山中議員が知事に要求

山中議員は一般質問で大井川知事に対し、憲法を遵守した県政運営や住民投票運動などの住民自治を生かすことを求めました。
知事は「県民全体の奉仕者の最高責任者として極めて重い職責を担っている」との認識を示し、「日本一幸せな県をめざす」と表明しました。

核兵器廃絶ヒバクシャ国際署名への賛同を求めた山中議員に対し、知事は「核兵器の廃絶は全世界、全人類の共通の願い」と答え、署名への対応を検討するとしました。

山中議員はこのほか、▼医療的ケア児支援、▼常総市水害の被害者支援、▼正規雇用の促進と中小企業支援、▼つくば市内への特別支援学校増設などを求めて質問しました。

○…新日本婦人の会県本部が、大井川知事に「ヒバクシャ国際署名」を届けて賛同をよびかけました。

待機児童556人 学童保育の充実を

江尻議員は予算特別委員会で、学童保育(放課後児童クラブ)について質問しました。
豊かな子どもの生活の場であり、働く親の仕事と子育てを支える学童保育の待機児童が増えています。
江尻議員は「施設が足りないだけでなく、大規模施設(46人以上)の分割や小規模施設(19人以下)への県補助の復活、指導員の処遇改善など思い切った支援拡充が必要です」と求めました。

保健福祉部長は「本県の待機児童は556人に増えている。市町村の放課後児童クラブの状況把握に努めるとともに、指導員のスキルアップ研修やアドバイザーの派遣など、子どもたちの居場所づくりを支援していく」と答えました。

質問に先立って日本共産党県議団は、茨城県学童保育連絡協議会の役員メンバーと意見交換したり、埼玉県の先進的な取組を調査しました。

水道事業37億円の純利益 「料金値下げは可能」

上野議員は決算特別委員会で、水道料金の値下げを求めて質問しました。
県の水道用水事業は県南、鹿行、県西、県中央の4つの広域水道によって37市町村に水を供給しています。

上野議員は「2016年度水道会計決算は純利益が37億2400万円となる。県が出した『経営戦略』でも、2024年までの10年間に165億6900万円もの純利益を見込んでおり、料金値下げは可能だ」とただしました。
企業局業務課長は「水道事業は巨大な装置産業のため、2025年度以降も管路更新などに多額の費用がかかり直ちに値下げすることは難しい」などと答弁しました。

市町村長からも再三、値下げ要望が県に出されています。県は2017年度から県中央広域水道のみ、料金を1立方メートルあたり40円値下げしました。

県議団ニュース2017年11月号(PDF)