東海第2発電所の防潮堤工事に関わる質問書(4回目)
東海第2再稼働やめよ 共産党茨城県委員会など要請 施工不良事実確認を
日本共産党茨城県委員会(上野高志委員長)と、江尻かな県議、大名美恵子東海村議は8月27日、日本原子力発電(原電)東海第2原発の再稼働に向けた工事の完了時期が2026年12月に延長されたことに対し、原電に質問書を提出しました。
昨年10月、津波対策の要となる防潮堤の地中連続壁基礎(A基礎)で、施工不良があるとの内部告発を受けた共産党が事実を告発。原電は工事を中断し、今月23日に、完了時期を2年3か月延長と発表しました。
質問書では、さらに別の箇所でも施工不良があることを指摘し、原電に事実確認を求めています。これは工事関係者から共産党に新たに告発があり、A基礎を施工したゼネコンが造った他の基礎(B基礎)も同様の施工不良があるというもの。江尻氏は、「施工不良の全体把握がないまま工事再開は許されない」と強調します。
同日、江尻氏と大名氏は、県と東海村にも要望書を提出。規制委の審査前の段階で、原電が2年3か月の工期延長で完了できると結論付けたことに対して「重大な施工不良を過小評価するもの」と批判し、再稼働を認めないよう求めました。
さらに江尻氏と大名氏、花島進那珂市議は、半村登県議会議長と面会し、県議会に原発やエネルギー問題を調査する特別委員会設置等を求めて要望書を手渡しました。
(「しんぶん赤旗」2024年8月29日付より転載)
日本共産党茨城県委員会は8月27日、日本原電および茨城県議会議長、県知事、東海村長にそれぞれ申し入れを行いました。
日本原電への4回目となる質問について、文書ではなく直接ヒアリングや視察調査を申し入れましたが受け入れられず、メールで質問書を送りました。
これに対し、日本原電東海事業本部地域共生部からは「ご回答等、今後の対応につきましては、社内で検討させて頂きます」と返信がありました。
工事関係者から今年7月に寄せられた新たな施工不良の告発について、原電を追及していきます。
東海第二発電所の防潮堤工事に関わる質問書(4回目)
2024年8月27日
日本原子力発電株式会社東海事業本部 御中
日本共産党茨城県委員会
委員長 上野 高志
茨城県議 江尻 加那
東海村議 大名美恵子
現在実施中の東海第二発電所の安全性向上対策工事について、下記事項の質問に回答いただけますようお願いいたします。
記
- 工事完了を2024年9月から2026年12月に延長することについて、施工不良のあった鋼製防護壁の地中連続壁をどのようにやり直すのか原子力規制委員会での審査が終わっていないにも関わらず、そのタイミングで2年3か月の工期延長で完了できると結論付けた根拠を示してください。
- 鋼製防護壁に隣接する鉄筋コンクリート防潮壁の地中連続壁基礎(B基礎)についても、施工不良の有無を公表するとともに、その根拠を示してください。B基礎は、施工不良のあった鋼製防護壁の地中連続壁基礎(南北2か所のA基礎)と同じJV(共同企業体)が施工し、同じエリアで同じ工法、同程度の深さであることから同様の施工不良が起きている可能性を否定できません。その事実があるとの証言が工事関係者から寄せられています。B基礎にはすでに上部工の鉄筋コンクリート防潮壁が設置されていることから基礎部分を目視できない現状にありますが、基礎周囲を掘るなどの調査を行って施工不良の有無を明らかにしてください。
- 鋼製防護壁の地中連続壁基礎(南北2か所のA基礎)における一連の施工不良について、コンディションレポートでいつどのように報告され、CRMやCAP会議でどのように対策を検討したのか示してください。また、原子力規制委員会の現地検査官からどのような検査を受けてきたのか経過を明らかにしてください。
- 施工不良のあった取水口部の防潮堤工事の他にも2024年9月に完了しない対策工事の有無と、遅れている工事内容や進捗状況を示してください。
- 日本共産党議員団として東海第二発電所の現地視察を行いたいと7月から依頼しておりますが、視察日程の見通しを示してください。
- 使用済燃料を保管する乾式キャスク(計24基)について、残り7基の製造スケジュール及び燃料プールからキャスクへの移管見通しを示してください。
- 2023年10月31日に発生した原子炉建屋照明安定器の焦げ跡を含めた4件の火災について、県に報告書第2報を提出していないのは何故か。提出の見通しを示してください。
以上
東海第2発電所の防潮堤工事に関わる質問書(4回目、PDF)
茨城県議会の運営に関する提案・要望について
2024年8月27日
茨城県議会議長 半村 登 様
議会運営委員会委員長 下路健次郎 様
防災環境産業委員会委員長 飯田 智男 様
日本共産党茨城県委員会
委員長 上野高志
県議会議員 江尻加那
市町村議会議員団
本県は、原子力発電所のみならず再処理施設や核燃料製造工場、高速実験炉「常陽」、核融合施設など多くの原子力関連施設が立地している。これらの施設が立地・運用されてから数十年が経過し、施設の老朽化に起因すると思われる火災やトラブルが頻発するなど安全性への懸念も高まっている。
よって、施設の健全性や今後のあり方とともに、原子力事業者の危機管理体制などについて、県民の幅広い関心にこたえるべく県議会として積極的に調査や審議を行うよう以下の内容について提案し、要望いたします。
記
- 茨城県議会に原子力やエネルギーに関して調査を行う特別委員会を設置する。東海村議会には「原子力問題調査特別委員会」が、那珂市議会には「原子力安全対策常任委員会」が設置されているが、事前了解権をもつ県の役割にふさわしく県議会においても調査や審議を深める委員会の設置が求められる。
- 日本原子力発電株式会社が再稼働をめざす東海第二発電所や、日本原子力研究開発機構が再稼働を予定する高速実験炉「常陽」及び核燃料サイクル工学研究所の再処理施設など重要施設について、県議会で視察調査する。とくに、東海第二発電所の安全性向上対策工事における防潮堤施工不良について、東海村議会や周辺6市村首長の視察に続き、県議会が早急に視察調査を行う。
- 原子力政策についての諮問や施設の新増設等計画などについて審議を行う「茨城県原子力審議会」において、委員23名のうち県議会から5名選任されている。しかし、施設立地の地元選出議員として結果的に5名全員がいばらき自民党である。地元の意向反映としては自治体首長が委員になっており、県議会では幅広い県民の声を反映するため各会派から委員を選任するよう改善する。
以上
日本原子力発電(株)東海第二原発に関わる要望書
2024年8月27日
茨城県知事 大井川和彦 様
東海村長 山田 修 様
日本共産党茨城県委員会
委員長 上野 高志
茨城県議 江尻 加那
東海村議 大名美恵子
東海第二原発について、下記事項を申し入れます。茨城県と東海村においては、原子力所在地域首長懇談会(6市村)及び東海第二発電所安全対策首長会議(15市町村)と連携して、安全対策の役割を発揮することを要望します。
記
- 日本原子力発電(株)は8月23日、東海第二原発の再稼働をめざす安全性向上対策工事の完了時期を、2024年9月から2026年12月に延長することを公表しました。施工不良のあった防潮堤鋼製防護壁の地中連続壁をどのようにやり直すのか原子力規制委員会での審査が終わっていないにも関わらず、そのタイミングで2年3か月の工期延長で完了できると結論付けたことは、規制委員会の審査過程を軽視し、重大な施工不良を過小評価するものです。原子力災害の発生防止に万全の措置を講じるべき原子力事業者の責任に反しています。
地震列島の日本で原発の安全運転は成り立たず、過酷事故が起きれば取り返しのつかない被害が広がり、処理の見通しがない使用済核燃料を大量に発生させるものです。
よって、茨城県と東海村は、工期延長ではなく廃炉の決断を事業者に求めること。再稼働を認めないこと。 - 防潮堤鋼製防護壁の地中連続壁基礎(南北2か所のA基礎)の両側に設置される鉄筋コンクリート防潮壁の地中連続壁基礎(B基礎)についても、施工不良の疑いが生じています。B基礎は、A基礎と同じJV(共同企業体)が施工し、同じエリアで同じ工法、同程度の深さであることから、A基礎と同様にコンクリート未充填や鉄筋変形が起きている可能性を否定できません。その事実があるとの証言が工事関係者から寄せられています。B基礎にはすでに上部工の鉄筋コンクリート防潮壁が設置されていることから基礎部分を目視できない現状にありますが、基礎周囲を掘るなどの調査を行って施工不良の有無を明らかにすることは可能です。
よって、茨城県と東海村は、B基礎の施工不良の有無について日本原電に確認し、その根拠を明らかにすること。
以上