最低賃金大幅引き上げを 共産党茨城県委員会 労働局に要請

日本共産党茨城県委員会(上野高志委員長)と党茨城県議団は7月28日、茨城労働局(水戸市)を訪れ、最低賃金の大幅引き上げと中小企業支援の拡充を求める「要請書」を、稲葉典行・労働基準部長らに手渡しました。上野氏と江尻加那県議が参加しました。

労働局担当者に要請書を渡す上野県委員長、江尻県議

労働局担当者(左)に要請書を渡す上野県委員長、江尻県議(右から)=7月28日、水戸市

県の最低賃金は昨年、28円増えて879円になりましたが、1,000円を超えている東京都や神奈川県だけでなく、隣接する千葉県、栃木県に比べても格差が生じています。

「要請書」は、「最低賃金を大幅に引き上げ、家計をあたためることが求められる」と指摘。
▽県の最低賃金を1,500円に引き上げる▽県の審議会と専門部会を全面公開で行う▽税や社会保険料の負担軽減など、中小企業への支援策を政府に要請する─ことなどを求めました。

江尻氏は、今年度、企業の収益増で県の法人事業税収が安定的に増えている点に触れ、「県民所得が増えながら、住民税も県の収入として確保していくのが健全な方向。最低賃金の底上げをお願いしたい」と述べました。

稲葉部長は、「趣旨を受け止めて進めていきたい」と応じました。

(「しんぶん赤旗」2022年7月30日付より転載)

最低賃金の大幅引き上げと中小企業支援の拡充を求める要請書

2022年7月28日

茨城労働局長 様
茨城地方最低賃金審議会会長 様

日本共産党茨城県委員会 委員長 上野 高志
副委員長 大内久美子、田谷武夫
県議会議員 山中たい子、江尻加那

中央最低賃金審議会で2022年度の最低賃金(最賃)額の目安を決める会議が6月末から始まり、議論が本格化しています。世界的な物価高騰のなかで、欧米では最賃を引き上げる国が相次ぎ、円換算でドイツはおよそ1,600円に、イギリスはおよそ1,500円に引き上げています。日本でも速やかに最賃を大幅に上げ、家計をあたためることが求められています。

2021年度の最賃は、全国加重平均で時給930円、茨城県では879円と、1日8時間、週40時間で働いても年収200万円以下であり、「ワーキングプア(働く貧困層)」の水準です。全国労働組合総連合(全労連)の調査によれば、2021年度の最賃額では、最低限必要とされる生計費の半分程度にしかなりません。

加えて、最賃額の低い地域でも、交通費や自動車の維持費など実際の生活費はかさみ、最低生計費をまかなうために、東京都北区の25歳単身男性が時給1,664円、茨城県の10~30代の男性単身世帯平均が1,687円、那覇市の単身男性で1,642円が必要と試算され、大都市と地方で格差を設けることは不合理です。

2022年の政府「骨太の方針」は、「できる限り早期に」全国加重平均1,000円以上を目指すと記述しています。7月の参議院選挙では、自民、公明政府与党をはじめ、ほとんどの政党が最賃引き上げを公約しています。しかし実際には、日本政府は大幅引き上げには後ろ向きでした。2020年度は目安が出されず、21年度はわずか3%増です。政府が本格的な中小企業支援を怠っていることが大幅引き上げの障害となっています。

日本共産党は、新型コロナ禍でも内部留保を増やしている大企業に対し「内部留保課税」をおこない、新たに10兆円の税収を生み出し、中小企業の社会保険料事業主負担の軽減等に充て、全国一律最賃1,500円を実現することを提案しています。茨城地方最賃審議会で大幅な最低賃金の引き上げを決定するよう要望します。

  1. 茨城県の最低賃金を1,500円に引き上げる。
  2. 審議の透明性・実効性を高めるため、審議会および専門部会は全面公開で行う。労働者代表委員は様々な職種や雇用形態の労働者からなる組合等から選出する。
  3. 最低賃金の都道府県格差を解消するため、全国一律最低賃金を政府に提言する。
  4. 最低賃金引き上げによって、中小企業が窮地に陥ることがないよう、事業所の経営と雇用を維持するために、設備投資等を行った事業所への業務改善助成金に加え、税金や社会保険料の企業負担への軽減策など、支援策を実行するよう政府に要請する。

以上

最低賃金の大幅引き上げと中小企業支援の拡充を求める要請書(PDF)
本県最低賃金の改正について(茨城県提出、PDF)