東海第2原発 原電に運転延長の申請中止求める 共産党と「考える会」

日本原子力発電(日本原電)が東海第2原発(茨城県東海村)の20年運転延長を申請する方針を固めている問題で、日本共産党茨城県委員会(田谷武夫委員長)と「県原発を考える会」(中村敏夫会長)は11月9日、日本原電に運転延長申請を中止し、廃炉にするよう要請しました。

東海第2原発は、来年11月で運転開始から40年を迎え、老朽化しているうえに、東日本大震災の激しい揺れと津波を受けて被災。
半径30キロ圏内には約100万人が居住するという人口密集地域内に立地しており、危険性が指摘されています。

東海第2原発の再稼働をめぐっては、東海村とその周辺5市の首長でつくる「原子力所在地域首長懇談会」が事前了解について、東海村と同等の発言権を周辺5市が持てるよう、原電側に協定の見直しを求めています。

この日の要請には日本共産党の県議、市町村議、「考える会」の役員ら計約30人が参加。
応対した東海事業本部地域共生部の高島正盛部長代理に要請書を手渡しました。

原電側は、「福島第1原発の事故は残念」、「安全対策をとっている」などと力なく繰り返しました。

一行は運転延長申請の中止をあらためて要求するとともに、要請に関する面談時間をわずか15分と一方的に区切った原電側の不誠実な姿勢を戒めました。

(「しんぶん赤旗」首都圏版 2017年11月10日付より転載)

東海第二発電所の再稼働と運転延長申請の中止を求める要請書

2017年11月9日

日本原子力発電株式会社
取締役社長 村松 衛 殿

日本共産党茨城県委員会 委員長 田谷 武夫
茨城県原発を考える会 会長 中村 敏夫

来年11月28日で運転開始40年を迎える東海第二発電所について、再稼働させずに廃止すること、及び20年間の運転延長を可能にするための申請を行わないことを強く求めます。
この間、御社は再稼働に必要な新規制基準の審査を最優先で進められ、さらに運転期間延長に必要な申請を行うことが予定されています。しかし、県民の6~7割が再稼働「反対」の意思をくり返し示し、市町村議会の6割が「運転延長反対」や「再稼働中止」を求める意見書を可決しています。
福島第一原発事故によって「安全神話」が崩壊し、原子力事故がもたらす取り返しのつかない被害を私たちは目の当たりにしました。
仮に、東海第二発電所が再稼働されれば、40年を超える沸騰水型原発では初めてとなります。茨城県は地震が多発し、複合災害の危険が高い地域です。国が求める100万人規模の県民避難は実行不可能であり、たとえ避難できたとしても元の暮らしを取り戻せません。首都・東京にも甚大な被害を与えます。さらに、核燃料サイクルの破たんが明らかなもとで、放射性廃棄物を増やすべきではありません。
本来なら、運転期間40年と決めた国が東海第二発電所の廃止を決定すべきですが、そうでない現状においては、御社が自ら廃止決定することが社会的な責務と考えます。
とくに、東海第二発電所は3・11大震災でタービン等が損傷するなど被災した原発です。ところが、御社は、被災原発の再稼働と運転延長のために当初の2倍以上となる1,800億円もの工事費をかけるとしました。一方、2017年3月期決算で64億円の純損失を計上するなど、資金繰りの行き詰まりがあきらかです。
よって、下記事項を要請します。

  1. 県民の安全を最優先に考えて原発の再稼働と運転延長を行わないこと
  2. 御社の研究開発・技術及び人材・資金を脱原発の方向に活かすこと

なお、再稼働をめざす各電力会社で労働強化がすすんでおり、原子力規制委員会の審査対応をしていた関西電力の課長が昨年4月に自殺し労災認定をうけました。御社でも「36協定」によって残業時間の上限が年間800時間に延長されており、長時間労働が懸念されます。老朽原発の延命のために過労死するということがあってはなりません。

以上

東海第二発電所の再稼働と運転延長申請の中止を求める要請書(PDF)