放射性廃棄物L3「素掘り埋設」計画の中止を求める要請書

原子力規制委員会
委員長 田中俊一様

2016年8月31日

放射性廃棄物L3「素掘り埋設」計画の中止を求める要請書

【要請団体】21団体 ※以下、あいうえお順
茨城県原発を考える会(中村敏夫)
茨城県憲法9条世界へ未来へ連絡会
茨城の環境と人を考える会議(那珂市 植田泰史)
環境学習同好会(牛久市 中村弘美)
原発事故からくらしを守るネットワーク(茨城県 阿部功志)
さよなら原発いばらきネットワーク(茨城県 丸山幸司)
さよなら原発ひたちなか市実行委員会(ひたちなか市 大内健次)
3・11を忘れない東海イレブンアクション実行委員会
JCO臨界事故を忘れない9・30集会実行委員会
常総生活協同組合(守谷市)
新日本婦人の会東海支部(東海村 塚原千枝子)
脱原発ネットワーク茨城(茨城県 小川仙月)
地球カフェ・結(水戸市 玉造順一)
東海第二原発再稼働ストップ日立市民の会(日立市 荒川照明)
東海第二原発差止訴訟原告団(茨城県)
東海第二原発の廃炉をめざす県民センター(茨城県 田村武夫)
東海第二原発問題相談会(茨城県)
とりで生活者ネットワーク(取手市 竹添みち子)
日本共産党茨城県委員会(茨城県 田谷武夫)
未来への風いちから(ひたちなか市 荻三枝子)
リリウムの会(東海村)

【要請内容】
日本原電株式会社(以下原電)は、東海発電所解体により発生する放射性廃棄物L3の自社敷地内への埋設を計画し、2015年7月に事業許可申請を貴委員会に申請しました。
そして2016年9月末までに「補正申請」を行い貴委員会と協議し2017年度に工事に着手したいとしています。
今回の埋設計画は、商業用原発の廃炉措置に伴う国内初の放射性廃棄物の埋設施設となるもので、「規制基準」への適否にとどまらず、将来にわたって「安全な施設」かどうか、環境汚染はないか、住民の立場からの審査を強く求め、以下の事項を要請します。

(1)「低レベル廃棄物」と言っても上限値はセシウム137で10万ベクレル/kg、コバルト60で1千万ベクレル/kg、ストロンチウム90で1万ベクレル/kgというものです。
「指定廃棄物」について、環境省は、「分厚いコンクリートの壁の中に廃棄物を閉じ込め、四方から雨水が入りこまない構造として、監視者が内部に入って保管状態を目視できる施設」と言っています。
L3廃棄物には、体内に摂り込んだら骨に蓄積するというストロンチウム90など、セシウム以上に危険な物質も含まれ、プルトニウムが存在する可能性も否定できません。埋設する廃棄物の総量(1万6千トン)、含まれる放射性物質のベクレル総量(1兆7千億ベクレル)からみても、格段に危険性の高いものであることは明らかです。「素掘り計画」を認めないこと。

(2)埋め立て施設は素掘りであり地下に浸透し、放射能によって周辺の自然環境が汚染されることは必至です。
原電は、「地下水は、海に流れている」「海産物を摂取した場合の評価値は、国の基準を満たしている」としています。
しかし近くには、大洗漁協、黒磯漁協、久慈浜漁協、河原子漁協が活動するなど国内有数の漁場や近海の海産物を扱う那珂湊お魚センター、日立お魚センターなどがあり、漁業関係者も多く暮らしています。
また国内有数の大洗海水浴場、阿字ヶ浦海水浴場、久慈浜海水浴場などがあり、豊かな茨城の海の中心地です。風評も含め海水汚染は許されません。
しかも地下水は複雑な動きをすることも知られており、地下からまっすぐに太平洋に流れ出すという前提も正しくありません。
海洋汚染の許容を前提とした埋設計画は認めないこと。

(3)原電は「説明会」を行いましたが、多くの住民が不安の声を上げています。漁協への説明も不十分です。合意のない「埋め立て計画」は認めないこと。

(4)原電は、「原子力機構の研究用実験炉JPDRのL3廃棄物埋設実験で安全は実証済」と言っていますが、JPDRの場合、「廃棄物はコンクリートだけだった」と言う事が明らかにされています。金属類は含まれていません。「コンクリートと金属を埋設」という原電の計画とは、前提条件が異なります。しかも、JPDRの「実験」は1996年の埋め立て完了時からほぼ2年間だけで終了しています。
2年間だけの「実験」で、「安全性を実証できた」と言えるでしょうか。埋設量は、JPDRは1,670トン。原電はその10倍の約1万6千トンですから、規模的に見ても比べものになりません。「JPDRの実験」を安全の根拠としないこと。

(5)雨水・海水等の浸水対策、地震・突風・竜巻等への対策を十分行うため「遮断型構造による施設」に見直し、厳重な管理をするよう求めること。管理に当たっては、場所の明確な表示等により後世に渡って一目でその内容が分かるものとすること。
また、立ち入り確認ができる施設の構造及びその場所とすること。管理状況の確認は、毎日実施すること。

(6)セシウム137やストロンチウム90の半減期は30年間とされ、90年後でも1/8も残っています。
処分場の管理は50年ですが、管理期間とその後の安全対策を原電に求め、「完全無害化」まで国が責任をもって厳正に管理・監督を行うこと。

(7)原電は、L3廃棄物の敷地内埋設を求めていますが、今後L1、L2など高いレベルの廃棄物はどう処分するのか。全体計画を原電に求めること。

(8)2016年1月27日放映のクローズアップ現代「廃炉時代到来、積み残された課題」では、アメリカの廃棄物処理場が紹介され、電力会社任せでなく州政府が関与して「遮断型構造による施設」を建設しています。
住民への説明も電力会社でなく「第三者機関」がおこなっています。規制基準の見直しを行うこと。

以上

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