長谷川智恵子茨城県教育委員の不適切な発言についての申し入れ

茨城県教育委員会の長谷川千恵子委員が11月18日、県総合教育会議の場で「特別支援教育は県としても大変な予算」「生まれてきてからじゃ本当に大変」「妊娠初期に障害の有無がわかれば」などと、障がいのある子どもや親への配慮を欠いた発言をしたことに県民の批判が広がっています。

日本共産党茨城県議団は11月20日、一連の発言について、知事と教育長に抗議の申し入れをしました。

長谷川氏は発言を撤回しましたが、人間の尊厳と教育行政の根本が問われる重大発言です。
会議の議長は知事であり、知事の責任も看過できません。

11月18日の県総合教育会議における長谷川教育委員の発言について」(茨城県教育委員会)

※「総合教育会議」…「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正に伴い、平成27年度から、知事が総合教育会議を招集し、教育施策の基本方針である「教育に関する大綱」の策定をはじめ、部局横断的な課題について協議・調整を行っていく会議」


2015年11月20日

茨城県知事
橋本 昌 様
茨城県教育委員会
教育長 小野寺 俊 様

日本共産党茨城県議会議員団
県議会議員 山中たい子
県議会議員 江尻加那
県議会議員 上野高志

長谷川智恵子茨城県教育委員の不適切な発言についての申し入れ

11月18日に開催された第3回茨城県総合教育会議における、茨城県教育委員長谷川智恵子氏の不適切な発言に強く抗議し申し入れます。

長谷川氏が会議の席上、県内特別支援学校を視察した感想として、「ものすごい人数の方が従事している。県としてもあれは大変な予算だろうと思った」「妊娠初期に(障害の有無が)もっとわかるようにできないでしょうか、4ヶ月以降になるとおろせないですから」「技術で(障害の有無が)わかれば一番いい。生まれてきてからじゃ本当に大変」「茨城県ではそういうことを減らしていける方向になったらいい」などと発言したことが新聞各紙に報道されました。会議後の取材においても、「命の大切さと社会の中のバランス。一概に言えない。世話する家族が大変なので、障害のある子どもの出産を防げるものなら防いだ方がいい」と話しました。教育委員の資格に係わる重大発言として看過することはできません。

県教育委員会の役割は、障害児教育の充実であり、障害のあるなしにかかわらず基本的人権が尊重される共生社会を実現することにあります。長谷川氏の発言は、障害をもつ子どもやその父母だけでなく、妊娠の圧力にもなりかねないものです。

この長谷川氏の一連の発言について、知事自身が「問題はない」と発言したことも重大です。県民の批判が広がっています。

長谷川氏は、発言を撤回しましたが、教育行政の根本が問われています。小野寺教育長は、「深く陳謝」し、「特別支援教育について誠心誠意取り組んでおり、今後も、より良い教育環境の充実に向け全力で推進して参りたい」と述べましたが、言葉だけにせず、特別支援教育の充実に真剣にとりくむべきです。知事自身の責任も厳しく問われています。

今回問題となった「総合教育会議」は知事が招集し、知事と教育委員会が教育の振興に関する大綱を策定する場です。運用によっては、教育委員会の形骸化をまねき、知事の教育内容への介入で、教育の政治的中立性を脅かしかねません。教育委員会の改革と知事の政治的介入の中止を強く求めます。

以上

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