日本共産党茨城県議団ニュース 2017年3・4月号

項目

県議会 2/27~3/24報告
橋本県政6期目 最後の予算編成 県民の声に背を向ける県政を変えよう!
日本共産党は少子化対策・子育て支援、医療拡充を提案

来年11月に40年の運転期限切れ 東海第2原発の廃炉迫る

3月6日の茨城県議会で、日本共産党の上野高志議員が一般質問に立ち、東日本大震災で被災した日本原電東海第2原発の再稼働問題をとりあげ、橋本昌知事の考えをただしました。

20年の運転延長やめよ

東海第2原発は現在、適合性審査中。来年11月には法律で与えられた「運転期間40年」という“寿命”が尽きますが、その“延命措置”とも言える最長20年運転延長の申請期限が今年8~11月に迫っています。

上野議員は、東海第2原発について「首都・東京に最も近く、人口密集地に立地している老朽原発」と危険性を指摘したうえで、知事が『減原発』と持論を述べながらも、東海第2原発再稼働の是非については明言を避けてきたことに言及。「本県の原発はただ一つ。『減原発』を言うなら東海第2原発は廃炉以外にない」と決断を迫りました。

橋本知事は「原発の必要性は国が判断すべきであり、方針が示されていないのに『原発のない茨城の将来像』を申し上げることは適切でない」などと“国まかせ”の答弁に終始したうえで、「『減原発』というのは茨城のことだけではなく、国全体としての方向性を申し上げたもの」などと居直りました。

再質問に立った上野議員は、「再稼働について態度を表明できないようでは、今年秋の知事選に出馬する資格さえないといわざるをえない」と批判しました。

【その他の質問】

●高校卒業までの医療費無料化●保育所待機児童の解消●水道料金の引き下げ●少人数学級の実現─などを求めました。

(「しんぶん赤旗」2017年3月8日付より)

山中たい子議員が最終日討論

県議会最終日に、日本共産党茨城県議団は「県民の願いにこたえる予算編成を」と山中たい子県議が討論に立ち、橋本知事が提案した2017年度予算案に反対しました。
採決の結果、共産党以外の賛成多数で、知事が提案したすべての議案が可決しました。

討論要旨

新年度の県予算は、橋本知事6期目最後の予算編成でした。県政世論調査で県民が求めた「子育て支援・少子化対策」や「高齢者福祉サービス体制」「医療体制を充実」などの県民の願いに応えることが最優先課題でした。

◆子ども医療費助成、保育士処遇改善、国保税値下げを

ところが、日本共産党が高校卒業までの医療費助成を求めたことについて、「財政状況を考慮すると困難」と切り捨てました。あと25億円でできます。また、保育所の待機児解消のためには、保育士の処遇改善は欠かせません。県独自の上乗せについて、知事は「適当でない」と拒否しました。国民健康保険の都道府県化が来年に迫り、今でも高い国保税の値上げが懸念されています。知事が廃止した県独自補助の復活要望にもこたえていません。

◆「陸・海・空」開発を優先する県政の転換を

一方で、知事は「陸・海・空の広域交通の整備を進め、企業を誘致し」たことが本県経済や産業を成長発展させたと述べ、不要不急の開発優先の姿勢を示しました。売れ残り工業団地や開発用地の 破たん処理に、これまで2,100億円も税金を投入し、未だ1,000ヘクタールの土地と2,252億円の借金を抱えていることに、反省がありません。

また、茨城空港と常磐道を結ぶアクセス道路に51億円。茨城空港の就航対策費に11億円。空港の活性化、地域振興の拠点といって、いつまで税金投入を続けるのでしょうか。東京電力常陸那珂火力発電所の石炭灰の次期処分場建設に173億円計上しました。
八ッ場ダムや霞ヶ浦導水事業などを推進するのに21億円です。中央広域水道の基本料金の値下げはわずか3億円です。引き続き、水道料金値下げを強く求めます。

◆国まかせでなく、地方議会が「再稼働ストップ」の決議

東海第2原発の再稼働中止と廃炉について、知事は一貫して国まかせです。土浦市議会と鹿嶋市議会は、東海第2原発の運転期間の20年延長申請を行わないことを求める請願を採択しました。

◆「職員減らし、もう限界!」とアンケートで指摘

知事は就任以来、人件費抑制のためとして、県職員を2,039名、教職員を3,483名も削減してきました。これについて、県が実施した職員アンケートでも、「人員削減は限界に近い」と指摘されました。第7次行革大綱案では、職員数の現状維持を打ち出していますが、必要な職員配置と働きやすい職場環境づくりが求められます。
よって、予算案に同意できません。

小児や周産期など地域医療まもれ

上野議員は県民要望第3位の『医療体制の充実』について質問。周産期医療や小児夜間救急などの地域医療体制が深刻な状況になっていること示し、厚生連病院など公的医療機関が果たす役割と地域医療への支援についてただしました。

知事は「小児夜間救急などは広域連携により対応するが、背景には医師不足などの課題がある。特に小児科では顕著であり、今後も地域医療の充実に向けて取り組んでいく」と答弁。

厚生連の高萩協同病院は3月末で小児科と眼科の外来診療を終了することになり、子育てに不安の声が出ています。

原発複合災害の危険 知事「検討していない」

3月22日の県議会予算特別委員会で、江尻加那議員の質問に対し、東海第2原発と原子力施設との複合災害について、県は「十分検討していない」ことが明らかになりました。

▲予算特別委員会で質問する江尻議員

東日本大震災で被災した東海第2原発(110万kw)の5km圏内には、放射性廃液の再処理工場や核燃料加工施設などが集積しています。知事は「原子力関連事業所が大変集中しているのは国内で極めてめずらしい地域」としながら、「どういう危険が生じるかは十分検討していない」と答弁しました。

また、江尻議員は「東海第2原発で過酷事故が起きたら火力発電所やLNG基地はどうなるか」と質問したのにたいして、知事は「火発なども動かせなくなるのは間違いない」としたうえで、今後の対応が課題だと述べました。

▲実際の発電量ではなく設備容量を示したもの

東京電力の石炭火力発電所(100万kw×2基)やLNG(液化天然ガス)基地が、東海第2原発5km圏内に立地しています。

江尻議員は、「茨城に住み続けたい」、「日々の当たり前の暮らしを奪われたくない」、「二度と危険な放射能に子どもたちをさらしたくない」と不安を抱える県民の声を代弁し、「この思い以上に大事なことがあるか」と強調。知事に「廃炉」の決断を迫りました。

また、江尻議員は一昨年9月、水戸市で3歳の男の子が虐待で亡くなった件について質問。乳児院から家庭に戻る際、要保護児童対策地域協議会を開かず、関係機関で支援を具体化しなかったことは問題だと指摘。そのうえで「本県の児童相談所は3ヵ所、児童福祉司は55人しかいない。そのうち10年以上の職務経験者は8人であり、専門性の確保や人員拡充が必要」と求めました。

保健福祉部長は「今後、子どもが施設から家庭に復帰する場合には、協議会で慎重に検討し対応していく」と答弁。
知事は「現在55名の児童福祉司を、来年度は63名にし、平成31年度までに75名とする」と示しました。

日本共産党 4つの意見書提出

「共謀罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の撤回を

要旨:「共謀罪」は実際の犯罪行為がなくても、「相談」や「計画」をしただけで処罰するという、刑法の大原則を180度転換するもの。法案は「思想及び良心の自由」を保障した憲法第19条に背く違憲立法であり撤回することを求める。

原発事故被災者の支援継続を求める

要旨:被災者を分断するいっさいの線引きや排除を行わず、すべての被災者の生活・生業再建に国と東京電力が支援すること。住宅の無償提供を継続すること。医療費免除を継続し、健康調査を実施すること。「原発ゼロ」に踏み出すこと。

農業者戸別所得補償制度の復活を求める

要旨:米価の下落は生産費を大きく下回り、稲作農家は「作るだけ赤字」という状況。米の流通業者の経営も立ち行かなくなっている。当面、生産費をまかなう所得補償制度を復活させ、国民の食料と地域経済、国土と環境を守ること。

児童扶養手当の拡充を求める

要旨:児童扶養手当の支給額を引き上げること。支給開始5年後に支給額を半減させないこと。事情により祖父母が養育している場合、年金と児童扶養手当の満額併給を認めること。

2017年度茨城県一般会計予算総額

主な議案・請願・意見書

  • 2017年度茨城県一般会計予算
  • 2017年度茨城県水道事業会計予算
  • 「共謀罪」新設の法案撤回を求める意見書
  • 原発被災者の支援継続を求める意見書
  • 戸別所得補償制度の復活を求める意見書
  • 児童扶養手当の拡充を求める意見書

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