茨城民報2017年6月号: 県政を身近に 原発ゼロの茨城へ(2)

項目

県政を身近に 原発ゼロの茨城へ(2)
日本共産党地方議員団 20年延長「特別点検」開始の日本原電を調査
「沸騰水型のほうが爆発のリスクが高い」

=茨城民報2017年6月号3面より抜粋=

日本共産党県議団と市町村議員団は5月16日、日本原電にヒアリング調査を実施しました。
事前に送った11項目の質問に対し、6項目について文書回答がありました。残りは内容を精査中として後日郵送すると説明。質疑の冒頭、発電所設計時の運転年数想定さえも後日回答とする日本原電の姿勢を批判しました。

特別点検に5~6ヶ月かかる

5月15日にスタートさせた特別点検の今後の点検期間について、担当者は「5~6ヶ月の見通し」と説明。11月28日までの運転延長申請期間のぎりぎりまでかかる計算です。

防潮堤などの本格工事は未着手

さらに、防潮堤やフィルタ付ベント装置などの安全対策工事(当初発表事業費780億円)について、「現状は地盤調査などを行っているだけで詳細な実施設計はこれから」とし、「本格的な工事着工から完成までには2~3年かかる」と回答しました。

沸騰水型の格納容器「圧力上昇に弱い」

また、沸騰水型原発の危険性についての質問に「加圧水型より格納容器の容積が小さいために内部の圧力上昇による爆発のリスクが高い」と答えました。

老朽化問題は後日回答※

一方、シュラウドサポートの腐食割れの事実や圧力容器の劣化を調べる監視試験片が4セットしかない点、ケーブルの老朽化問題など具体的な質問については、いずれも後日の回答となりました。(※追記…回答が届きました)
共産党議員団は今後も日本原電への調査や要請に取り組みます。

日本原電(株)東海事業本部の大森茂美事務所長らと質疑する山中・江尻・上野の3県議と12名の市町村議=5月16日、東海テラパークで約1時間のヒアリング調査

70年代に運転開始した沸騰水型原発 「東海第2」以外は廃止措置に

原子炉の2つのタイプ(資源エネルギー庁「原子力白書2013」から引用)
※BWR=沸騰水型、PWR=加圧水型

東日本は沸騰水型が多く、西日本は加圧水型が中心。
1970年代に運転開始した沸騰水型は11基ありますが、「東海第2」以外はすでに廃止措置が決定。これまでに再稼働された川内・伊方・高浜原発は加圧水型です。
沸騰水型は、加圧水型に比べて原子炉を覆う格納容器の容積が小さく、圧力上昇に弱いという問題があります。
また、制御棒を下から挿す沸騰水型は溶融した燃料が下の穴から漏れやすいので構造上のリスクがより大きいのです。

国保の「都道府県化」って何?
目的は医療費の削減とさらなる負担増

2018年度から国民健康保険の運営主体がこれまでの市町村に都道府県が加わり県単位で財政運営される問題で、日本共産党県議団は5月17日に学習会を開き、市町村議員や民主団体役員など50人が参加しました。

講師の佐々木滋さん(前神奈川県社会保障推進協議会事務局長)は、国が医療費抑制や社会保障の自己責任・負担増をねらっていると説明。
都道府県化で国保税の引き上げや徴収強化を招くと指摘。憲法の原則を国保にいかし「必要に応じて医療を受け、所得に応じて負担する制度」に改善させるたたかいが重要だと提起しました。

なぜ国保は高いの?

国保税が高い原因は、1984年の法改定で国保会計に対する国庫支出金を減らしてきたからです。以前の割合に戻すために必要な国庫負担は1兆円超です。

年間国保保険料(税)と国庫負担割合の推移

現在、市町村は国保税の負担軽減のために一般会計から国保会計に財源を繰り入れていますが、国は「悪い繰り入れ」として削減を促しています。

国保加入者のうち、医療をより必要とする高齢者が全体の4割と多いにもかかわらず、年所得200万円以下の低所得者が8割を占めるため、国保税がより高くなる仕組みです。
さらに、子どもなど世帯人数が多いと 国保税が高くなる課税方式は、子育て支援に逆行しています。これらの構造的問題は都道府県化されても何ら解決されません。

国庫負担の増額や県と市町村の繰入拡充、税の減免制度の拡大などを要求し、「生きる権利」を守る運動を広げましょう。

加入者1人当たりの所得と保険料(税)=2014年度=

年所得年額保険料(税)
守谷市820,510円104,141円
つくば市830,179円93,648円
水戸市670,926円88,213円
取手市637,360円84,194円
牛久市769,908円79,421円
常陸大宮市542,081円68,281円

茨城民報2017年6月号・3面(PDF)