高校生の政治活動に関する申し入れ

2016年4月22日

茨城県教育長
小野寺 俊 様

日本共産党茨城県委員会
田谷武夫
日本共産党茨城県議団
山中たい子
江尻加那
上野高志

高校生の政治活動に関する申し入れ

参議院選挙から選挙権年齢が18歳以上に拡大されることに伴い、学校における政治教育や主権者教育が重要な課題となっています。

本県は3月1日、高校教育課長等連名で、放課後や休日等に学校外での生徒の政治的活動等について、「学校への届け出は原則不要」と通知しました。しかし、学校長による判断で、「必要かつ合理的な範囲内」で届け出をさせることもあるとしています。その場合であっても、「個人的な政治信条の是非を問うものにならないよう」にと明記はしています。

これに先立ち、文科省は昨年10月、高校生の学校内外での政治活動を制限・禁止する通知を出しました。さらに、今年1月には、より詳細な見解(「Q&A」)を出し、休日・放課後の学校外での政治活動を届け出制にすることも、学校の判断でできるとしました。その理由について、「政治活動に没頭して夜遅くまで電話やメールをして学業に影響がでる」ことなどをあげています。しかし、授業に支障が出ているなら、原因が政治活動かどうかにかかわらず、本人と話し合いをすべきことであり、政治活動を禁止したり、届け出制にしたりする理由にはなりません。こうした動きは、高校生の思想・良心の自由を侵害するものであり、許されません。

そもそも戦後の政治教育は、1947年の教育基本法により定められたものです。現行の基本法でも、「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない」とされています。これは、戦前の軍国主義教育を深く反省し、子どもに政治に関する基本的知識を与え、政治的批判力、判断力を養うために構想されたものです。一人ひとりが主権者として政治にかかわる民主主義の社会を築くために不可欠な教育です。憲法においても、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」(21条)とされており、政府や教育委員会の権限で、高校生だけを除外することなど許されるはずはありません。
全国高等学校PTA連合会は昨年9月30日、「高校生だからという理由で政治的権利・政治活動を制限することは論理的根拠を持たない」との見解を示しています。

本県において、選挙年齢が引き下げられた今こそ、憲法と教育基本法で保障された政治的教養と主権者教育を尊重した教育の実現を求めます。以下について申し入れます。

  1. 憲法とこどもの権利条約に違反し、高校生の基本的人権を規制する文科省通知と 「Q&A」の撤回を、文科省に求めること
  2. 3月1日の県教育委員会通知において、学校長の判断で届け出をさせることもあるとしています。高校生の基本的人権を守る立場から、この通知を撤回すること。
  3. 高校生の政治活動に関する各学校の自主的なとりくみを尊重し、不当な干渉は行わないこと。

以上

高校生の政治活動に関する申し入れ(PDF)