2015年第3回定例会 予算特別委員会 2015.9.28

日本共産党茨城県議団 江尻加那

パネルを掲げる江尻議員

パネルを掲げる江尻議員

1. 豪雨災害対策について

(1) 緊急支援の実施

(江尻)
日本共産党の江尻加那です。

はじめに、豪雨災害対策について知事に伺います。
台風18号の甚大な被害により、亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様にお見舞い申し上げます。

私ども日本共産党県議団は、国会議員や地元常総市など地方議員とともに、幾度も被災地に入り、支援活動を続けています。そして、国に対して14項目、県に対しては15項目の要望を申し入れたところです。

そこで、2点、お伺いします。
第1は、大量に発生している廃棄物についてです。常総市における災害ごみ量は推計で2万4千トン、市の年間ごみ総量の1.4倍にのぼり、更に増えています。早期に分別、焼却処分することが望まれます。仮置き場での受け入れや分別だけでなく、焼却を含めた一日も早い処分が必要です。県が一体になって処分をすすめる方策を求めます。

第2に、自動車取得税の減免についてです。多くの家で移動手段に欠かせない自家用車が水没しました。県の手引きでは「全壊の方は自動車税を減免する」とありますが、取得税についても減免措置が必要です。広島県が昨年、土砂災害で滅失、又は損壊した自動車に代わる車を6か月以内に取得した場合の税を全額免除しています。

以上2点について、知事の所見を伺います。

(知事答弁)
災害廃棄物の処理についてお答えいたします。

今、大量の災害廃棄物というお話がございました。24,000トンというのは、実は、全壊、半壊自体を入れておりません。ですから、今から相当、量は増えてくると思われます。従いまして、今委員からございましたように、本当に、この処理というものは大変なことになってまいります。

私ども県におきましても、例えば、下妻市3.5ヘクタールの県有地を提供して仮置き場を確保するとともに、いろいろなことをやってございます。こういったところにつきましても、かなり目一杯の状況にございまして、道路の脇当たりも、あるいは私有地につきましても、仮置きされてしまっている状況にございます。私有地の皆さん方は警告とかやって、ここは仮置き場でありませんとかいう注意を喚起しますけれども、一旦入ってしまうとどんどん捨てられてしまうという状況でございまして、憂えるべき状況だと思っております。

今回、県といたしましても、最初から課長を向こうにいかせまして、いろいろどういう場所があるか、どういう方法をとればいいか、ということについて相談に乗ってきたところでありますし、今、現地災害対策本部におきましても、ひと山を災害廃棄物対策チームにして全力で対応しているところでございます。

また、今日から、横浜市及び名古屋市から職員35人、パッカー車等支援車両14台が本日夕方に到着する状況でございます。
こういった中で、何よりもやはり、一番大切なのは今お話しにございましたように、早期に処理を始めるということでございますので、今日から、確か処理に入っているはずでございまして、明日からは、また、ほかの場所においてもそういった形での方向を目指して努力をしていくところでございます。自動車所得税の減免についてお答えいたします。

今回の被害地域は、日常生活の足として自動車に頼る割合が比較的高いことなどもあり、多くの自動車が被害にあったこと、9月18日に開催された総務企画委員会でも強い要望があったこと、今般、災害により減失し、又は損壊した自動車を、災害から6ヵ月以内に取得した場合においては、自動車所得税を減免する方針を先週決定し、現在、この減免措置の早期実施について、交付金として約7割おこなっている市町村や自動車のディーラーなどと調整しております。

(2)農業被害への補助拡大

次に、農業被害についてです。

収穫の最盛期と重なったお米について、農業災害補償法第110条の規程で収穫後の米は農業共済の補償対象にならないことが大きな問題になっています。

24日の参議院災害対策特別委員会の質疑で、山谷国務大臣は「現状を把握しながら、いろいろ考えていきたい」と、含みを持たせた答弁であり、県がさらに強力な後押しをすべきです。農地の復旧も重要課題です。大量に流れ込んだ瓦礫や土砂の撤去とともに、水没した農業施設や農業機械に対する直接補助を求めます。

農業者の方々は、昨年の米価大暴落に続き、今回の大水害です。早期再建の見通しがもてるよう、国と県の強力な支援策、補助の実施を求め、知事の所見を伺います。

(知事)
農業被害への補助拡大についてお答えいたします。
平成27年9月関東・東北豪雨による被害は、農作物で32億円、農地・土地改良施設で約42億円に上っておりますほか、農業用施設や機械などにも多くの被害が生じております。

私も被災地を訪れ、農家の声を聞くとともに、被災状況をつぶさに見てまいりましたが、一刻も早い地域農業の復旧を図らなければならないと強く感じたところです。

このため、農業経営の再建につきましては、農業共済金の早期支払いを働きかけるとともに、農地や土地改良施設等の早期復旧に向け、激甚災害指定を国に要請したところですが、指定に向けた所定の手続きが進められると聞いております。
また、被害の甚大さにかんがみ、農業用施設・機械の復旧や収穫後の米についても、特段の救済措置を講じるよう、国に対して去る9月18日に要望してきたところでございます。

さらに、県農林漁業災害対策特別措置条例を適用して、薬剤等の購入費用への助成等を実施するとともに、農協系統が創設した農業災害資金に対し、市町村と協力し利子助成を行い無利子化してまいります。

県といたしましては、被害状況の把握に努めながら、被災した農業者ができるだけ早く農業経営を再開できるよう、引き続き国に対して要望するとともに、関係団体とも連携しながら、必要な対策を講じてまいります。

(3)被災者生活再建支援制度の拡充

次に、切実な問題となっている住宅の再建支援について、3点提案いたします。

1)国に対して、生活再建支援法の支給額を現在の最大300万円から500万円に引き上げ、支給対象世帯を全壊と大規模半壊に限定せず、半壊まで拡大するよう求めること。
2)国の支援金に上乗せする県独自補助の実施です。現在わずか5万円の見舞金だけですが、京都府や和歌山県では、過去の台風災害をきっかけに国と同額程度を上乗せしています。
3)国の支援法適用外の被災者を救済するため、県が今年度創設した補助事業の柔軟な活用です。床上1mの浸水で大規模半壊とみなすのが国の規程ですが、県の独自補助にあたっては、1m以下であっても被害状況に応じて補助すべきです。

以上3点、国の制度拡充、県独自の上乗せ支援、そして現行補助の適用拡大を提案し、知事の所見を伺います。

(※常総市…約21,000世帯。住家被害―床上浸水4,400件、床下浸水6,600件)

(知事)
被災者生活再建支援法の適用でございますけれども、住宅の全壊世帯が地域内で一定数発生したことが要件となっており、今回の場合は、常総市と境町以外の市町村においては、全壊被害が少ないことから、同支援法の適用が難しい状況になっております。

しかしながら、市町村の区域にかかわらず、同じ被害を受けた方に対しては、同様に支援することは必要と考えております。

また、支援対象の拡大につきましては、今回の被害による住宅被害が全壊や大規模半壊だけでなく、日常生活に支障が生じる「半壊」の被害が大変多いことなどを考慮して、支援金の支給対象を半壊まで拡大していくことも検討していいのではと考えております。

このため、9月12日に、安倍総理大臣が来県された際に、被災者の生活支援を弾力的に取り扱っていただくよう要望をいたしましたほか、9月18日には、山谷内閣府特命担当大臣などに、市町村の区域に促われることなく、同一災害の被災者が等しく支援を受けられるようにすることや、支給対象者を「半壊」に拡大することを内容とした制度改正の要望を行ってきたところであります。
また、支給額につきましても、平成16年に限度額300万円に改正されて以来、据え置かれているところでございますけれども、当時と比べ、住宅建設費用等が増加していることなども考慮して、支給額の引き上げについても、要望してまいりたいと考えております。

次に、県の独自の被災者生活再建支援制度の拡充についてでありますが、同支援法の適用とならない地域であっても、住宅が全壊したり大規模半壊した方々に対して、法と同等の生活再建支援をしていくことが必要でありますので、本年4月からこれをスタートさせたところであります。

委員御提案の支給対象の拡大でございますけれども、国が半壊まで拡大した場合には、県の補助事業でも当然拡大を検討していくことにしたいと思っております。

また、一方でですね、財源の問題が出てまいります。例えば、東日本大震災のような大規模災害が発生いたしますと、半壊だけで2万4千世帯出ております。仮に10万円支給したとしても、2万4千世帯ですから、120億円必要となってくるわけでございまして、県でそれだけ対応できるかといった問題もございますし、今のは半壊だけでございますし、一部損壊ということになると、東日本大震災の時には19万世帯ありました。
そういったことも考えますと、財源面も含めながら、考えていく。東日本大震災の時には、被災者生活再建支援法の基金につきましては、国の方が8割持ってくれるという措置がありましたことから、都道府県の方で負担する分が少なくて済んだわけでございますけれども、今申し上げたようなことを考えますと、単純にできるか、手当てがないと難しいんじゃないかという感じを持っております。

また、同支援法による支援に県独自の上乗せ支給をすべきというお話でございますけれども、京都府や和歌山県などにおいて上乗せ支給をしていることは承知しておりますけれども、これらの府県の制度によりますと、支援法の適用地域と非適用地域で、支援金額に差が生じてしまうということになりますので、私はこれはまた逆に問題になってくるのかなと思っております。

県といたしましては、今後とも、被災者生活再建支援法の制度の拡充を全国知事会などを通して、強く要望してまいりますとともに、県独自の補助制度を活用して、被災者の方が生活を再建できるように支援してまいりたいと思います。

(4)流域河川整備

パネル資料(1)

パネル資料(1)

次に、流域河川整備についてです。

本県では、県管理の八間堀川や西仁連川、飯沼川など44河川と、国管理の鬼怒川など合わせて49河川が決壊や法面崩れを起こしました。

パネル資料(1)をご覧ください。日本共産党の紙智子参院議員の求めに国土交通省が提出した資料をもとに、鬼怒川流域の堤防整備状況を示したものです。

本県の鬼怒川右岸・左岸の延長距離は82.5km。そのうち堤防完成区域は黒く線を引いた13.9kmで、整備率は16.8%です。残りの赤い部分が堤防の高さや幅が足りない未整備区域で多く残されています。なにも線がないところは整備計画がありません。今回、大きく決壊、越水した箇所も示してあります。

鬼怒川全体の堤防整備率は43%ですが、上流の栃木県側が62.7%であるのに対し、本県は16.8%です。
これは知事や県の問題なのか、それとも国・国土交通省の責任なのでしょうか。本県があまりにも遅れていることについて、知事はどのように取り組んでいくのか伺います。

(知事)
今お話があったとおりでございまして、本県の部分について大変遅れている。私どもとしては、絶えず国に対しては強く要請をしてきているところでございます。

しかし国では、平成9年度をピークに、平成10年度以降、公共事業予算の縮減を進めてきているところでありまして、鬼怒川本川の事業費が大きく削減されてきているだけでなく、県管理河川の改修事業に係る予算につきましても、国の補助で行う公共事業が7割を占めておりますことから、大幅に減少してきております。

今回の災害のように、堤防の決壊や越水により、大変甚大な被害が生じていることを踏まえますと、改めて河川改修により早急に取り組むことが極めて重要であることを痛感しているところであります。

県といたしましては、国に対し、河川改修の早期完成に必要な予算の確保などについて、引き続き、強く要望していきますとともに、県が管理する河川につきましても、必要な予算の確保に努めて、整備を推進してまいりたいと思っております。

(江尻)
知事がおっしゃるように、公共工事予算全体は減っていますが、一方で巨額のダム建設が優先され、治水のために必要な堤防強化が遅れたのではないでしょうか。鬼怒川上流にも湯西川ダムなど4つのダムが建設されていますが、鬼怒川の河川改修予算を、もう一枚のパネル資料(2)に示しました。

これは下館河川事務所に確認したものです。整備率16.8%なら本来増やすべきなのに、増えていません。鬼怒川流域の集中整備が求められますが、いかがですか。

パネル資料(2)

パネル資料(2)

(知事)
国におきましても、この度の堤防の決壊に対して、鬼怒川堤防調査委員会というものを開催して、被災原因を特定し、原因に対応した堤防復旧工法の検討を進めているところでございまして、こういったことを受けまして、必要とあれば当然、国の方でも大幅な予算を計上してくれるんではないかなと期待をしているところでありますし、我々としても働きかけてまいりたいと思っております。

ダムにつきましては、治水に加えて利水といったこともありますので、どちらが良いかということについては総合的に考えていかなければいけませんし、特に、ダム等で貯める水量と堤防の整備等により河道で流す水量の分担などの問題もございますので、私の方からはですね、なかなか、どういうバランスにすればいいのかということを申し上げることはできませんけれども、それは総合的に国の方で考えてやっていることと思います。

(江尻)
1986年の台風で氾濫した小貝川と那珂川では、その後の5年間で、激甚災害指定を受けての特別事業により堤防建設が進みました。一日も早い激甚災害指定を重ねて国に求めるとともに、県管理の河川改修を含めた早期整備を要望して次の質問に移ります。

2. 広域避難計画における要援護者対策について

次に、原子力災害に係る広域避難計画について伺います。

放射能汚染は同心円状に広がらないにも関わらず、国は原発から30キロ圏で区切って市町村に避難計画を義務付けています。このこと自体が大きな問題ですが、東海第二原発から30キロ圏14市町村の計画策定はどのように進んでいるのか伺います。

また、30キロ圏には有床診療所や病院など医療機関が128施設、社会福祉施設は184施設ありますが、県立病院を含めて求められる避難計画はどこもできていません。(県保健福祉部厚生総務課より)

計画策定の現状と課題について知事の所見を伺います。

(知事)
原子力災害に備えた避難計画につきましては、ご承知のとおり国の防災基本計画等により、UPZ内の市町村が作成することとされております。

現在、UPZ内の14市町村のうち、11の市町村では、避難先の検討・調整を進めている状況にあり、東海村では既に計画骨子案を策定するなど具体的な検討が進んでおりますが、一方で、県外に避難先を求める市町村については、現在、県が避難先との調整をしているところでありますので、計画策定の進捗状況には違いが出るところであります。

このため、県といたしましては、県外避難先の確保に先行して取り組んでおり、これまでに、隣接5県や各市町村に対する説明会を開催し、現在、各県内の市町村における受入可能数調査を実施しているところであります。
今後は、この調査結果がまとまり次第、それぞれの県の受け入れ人数等について各県担当部局と調整を進め、市町村において具体的な避難先の割り振りができるように対応してまいります。

次に、要援護者対策についてであります。
要援護者等の把握については、災害対策基本法により、市町村の地域防災計画に位置付け、「避難行動要支援者名簿」の作成が義務づけられております。

現在、UPZ内の7市村が名簿を作成済みであり、未作成の7市町についても、地域防災計画の改定及び名簿の作成を今年度中に予定していると報告を受けております。

また、病院及び社会福祉施設については、茨城県地域防災計画により、施設の管理者が避難計画を作成することとなっております。医療機関等の避難計画の策定に当たっては、災害の規模や状況に応じて、屋内退避も視野に入れつつ、UPZ外への避難との組み合わせにより、適切な計画としていく必要があります。

県といたしましては、計画に欠かすことが出来ない避難先や移動手段の確保について、関係機関と速やかに協議を整えて、早期に医療機関や社会福祉施設が計画を策定できるよう支援してまいりたいと考えております。

(江尻)
現実として、今回、鬼怒川氾濫で浸水した常総市のきぬ医師会病院や、水海道さくら病院は、入院患者全員の避難が余儀なくされました。さくら病院では、患者88名の搬送にDMATの医師や看護師約160名の他、多くの消防隊員と数十台の救急車が活動したといいます。患者数の2倍、3倍にのぼる人員を要したのです。

まして、原子力災害は目に見えない放射能とのたたかいで避難は混乱の極みに達します。30キロ圏300を超える病院や福祉施設、そこにいる約1万8千人に上る方々や、在宅にいる要援護者を避難させるのは不可能です。避難計画の策定そのものが非現実的だと私は考えます。知事はできるとお考えなのでしょうか。ご答弁下さい。

(知事)
今、医療機関あるいは社会福祉施設においていろいろな角度から検討しているところでございまして、我々としてはそれを支援していく、そして今、一生懸命策定努力をしていただいているところでございますので、早晩できあがると思っております。

(江尻)
知事は「できると考えている」とお答えになりましたが、たとえ計画ができても、現実的に安全な避難などできないことが福島の事故で示された教訓ではないでしょうか。災害弱者は置き去りにされてしまいます。

住民避難を計画しなければならないような危険がある、その原発を止めるとなぜ言えないのでしょうか。再稼働は認められないという知事の決断こそ最優先だと考えます。

(知事)
避難計画の策定は、先程申しましたように防災基本計画等に基づくものであり、発電所の再稼働の有無に関わらず、策定していかなければいけないものであります。

一方、避難計画については、再稼働の要件としてどのように位置づけるのかなどについて、全国の発電所でばらばらにならないよう国が統一的な基準のようなものを示すよう、原子力発電所の立地道県などで構成する原子力発電関係団体協議会等を通じ要請してきているところでありますが、未だ何ら国の対応が見られない状況にあります。

東海第二発電所の再稼働につきましては、国の原子力規制委員会の新規制基準への適合性審査の結果や、再稼働に係る国の方針が示された段階で、県の原子力安全対策委員会での検討結果を踏まえながら、県の原子力審議会の審議、県議会や地元自治体との十分な協議をさせていただき、県としての方針を決定してまいりたいと考えております。

この過程での避難計画の取り扱いなども議論されるものと考えられますが、いずれにしろ現時点で再稼働の是非について判断できる状況にはなく、私の意見を申し述べることは差し控えさせていただきます。

3. 子ども・子育て支援新制度の課題について

(1)保育所待機児童、保育料

次に、本年4月にスタートした子ども・子育て支援新制度について、保健福祉部長に伺います。

県は新制度において認定こども園を推奨し、既存の幼稚園が認定こども園になれば0~2歳児の受け入れが広がり、待機児童解消につながるとしています。しかし、本県私立幼稚園の80%にあたる154園が認定こども園に移行しても、多くは3歳児以上が対象です。今年4月の保育所待機児童は前年より逆に146人増えて373人です。その8割が0、1、2歳児です。やはり認可保育園の増設を基本に据えるよう求めます。

また、幼児教育の無償化が議論されたにも関わらず、逆に4月以降、公立幼稚園の保育料が値上げされたり、保育所の保育料を決める所得の算定方式が変わったことで保護者負担が増えた世帯があります。こうした現状を、県がしっかりと把握し、保育料の軽減をすすめるべきです。2点について伺います。

(保健福祉部長)
保育所待機児童についてお答えします。
平成27年4月1日現在で待機児童が発生している市町村は13市町村です。そのうち、水戸市とつくば市で待機児童数全体の約7割を占めていることから、待機児童が発生している主な要因としましては、都市部における保育需要に対する供給不足が主な要因と考えております。

このような中、「子ども・子育て支援新制度」におきましては、「保育の量の拡充」として、保育定員を確保するため、保育所や認定こども園等の整備を進めることにより、定員拡充を図るとともに、潜在保育士の活用を図ることとしております。
また、新制度では、待機児童の大半を占める3歳未満児を主な対象とする地域型保育事業として、小規模保育や事業所内保育なども市町村の認可により新たな公的給付の対象とされたことから、これらの事業を実施することにより、待機児童の解消につながるものと考えております。

このため、県といたしましては、引き続き、国の制度を活用し、保育所等の整備に努めるとともに、事業者に対して地域型保育事業を広く周知するほか、地域型保育事業の一つである小規模保育事業を新たに行う場合に、建物の改修費用に対する補助を行うなど、市町村と連携しながら待機児童の解消を図ってまいります。

次に、保育料についてお答えいたします。
新制度の対象となった幼稚園の保育料については、すべての子どもに質の確保された教育・保育を保障するとの考え方を踏まえ、これまで園ごとに定められていた保育料が、市町村一律の保育料とされたことや、世帯の所得に応じて定める応能負担の保育料とするなどといった変更が生じております。

このため、児童が通っている施設や世帯の所得の状況等により、一部世帯の保育料について、昨年度までと比べて増減が生じうることは、県としても承知しているところでございます。

市町村によっては、制度変更に伴う急激な変更が生じないように、在園児に対して経過措置を設ける等の対応を行っていると聞いておりますが、今後も、市町村担当者会議などを通して、保育の現場の声を確認していくとともに、必要に応じて国への要望等を行ってまいりたいと考えております。

(2)私立幼稚園の今後の支援

次に、私立幼稚園に対する支援について私学助成を所管する総務部長に伺います。幼稚園は今年4月以降、3つの選択肢から運営形態を選ぶことになりました。

(1)従来の私学助成の枠組みに残るか、(2)幼稚園として施設型給付を受ける新制度に移行するか、(3)認定こども園になって新制度に移行するか─です。

そして今、従来の枠組みに残る私立幼稚園から、私学助成が従前どおり継続されるのかといった不安の声が寄せられています。従来の枠組みに残ることで不利益を生むことはあってはなりません。私学助成予算の確保を求めますが、所見を伺います。

(総務部長)
新制度に移行しない私立幼稚園に対する今後の支援についてお答えいたします。

私立幼稚園の子ども・子育て支援新制度への移行については、各私立幼稚園の判断に委ねられており、新制度に移行した幼稚園については、市町村からの「施設型給付」により運営経費に対する公的支援を受けることになります。

一方で、新制度に移行しないという選択をした園に対しては、県からの経常費補助を行い、運営を支援することとなります。
新制度施行初年度である本年度におきましても、園児一人当たりの補助単価を増額して、「私立幼稚園の経営の健全化」、「教育条件の維持向上」及び「保護者負担の軽減」を目的とし、「私立幼稚園経常費補助金」を新制度へ移行しない私立幼稚園に対し補助してまいります。

今後とも、新制度への移行の有無にかかわらず、いずれの私立幼稚園においても安定的な運営がなされるよう、引き続き支援を継続してまいります。

質問を行う江尻議員

質問を行う江尻議員

4.教育行政の推進について

(1)スクールカウンセラー事業の拡充

次に、教育行政に移ります。

まず、小・中・高校で実施されているスクールカウンセラー事業について教育長に伺います。
本県では、国補助を活用したカウンセラー配置(事業予算1,866万円)に加え、東日本大震災の被災県として国の全額委託(事業予算2,357万円)による緊急派遣事業が実施されています。2つの事業により、県内すべての公立小・中・高校に配置または派遣できています。しかし、その緊急派遣事業について、政府は震災後4年が経過するなか、今年度は派遣回数を減らし、来年度は本県での事業が継続されるかどうか、廃止されてしまうのではないか、不確定な状況です。

私は先日、県北地域の公立高校に実情を伺って参りました。「スクールカウンセラーに話を聞いていただくことで、精神的に安定する生徒がたくさんいる」とのこと。また「発達障害や精神疾患が疑われる生徒への対応について専門的な立場から助言を頂いて教師も勉強になり、安心して対応策を考えることができる」と、その役割を評価しています。

「月1~2回のカウンセリングは生徒の予約がすぐに埋まり、キャンセル待ちの状態」とのことで、拡充が求められます。震災のあるなしに関わらず、様々な要因から心に悩みや不安を抱える生徒も多く、子どもの貧困対策としても重要な取り組みだと考えます。

国に対し緊急事業の継続を強く求めると同時に、もし廃止された場合、県独自に予算を確保して継続する必要があるのではないでしょうか。所見を伺います。

(教育長)
お答えいたします。スクールカウンセラーにつきましては、13年から事業がスタートいたしまして、年々これまで充実を図ってまいりました。ご指摘のように現在では、従来からの派遣事業と震災後の緊急事業、2本の事業によりまして、県内全ての小・中・高全校に配置ないし派遣をしている状況にございます。

その緊急事業につきましては、国の方で本年度が集中復興期間最後の年という事で、今年で終わるのではないかということも言われております。私どもは、ぜひ継続していただくように、事業の継続についてこれまで強く国に働きかけてまいりました。

その結果、現時点では、国の概算要求の中で、この緊急事業としては終わりという事でありますけれども、それに代わる事業として、新しい事業が来年度から継続されるという事で、額的にもほぼ現在の緊急事業に見合う額で概算要求上は計上されております。これがしっかりと予算化されるように、我々としては見守っていきたいと思います。

今、県単の事業の話もございましたが、このスクールカウンセラーの取組は、何よりもまず全国的な課題でありますので、国がしっかりと対応すべき課題であると考えております。そういう意味では、国がしっかりした体制が今後も引き続きできますよう、我々としては、国に引き続き更に働きかけてまいりたいと考えております。

(江尻)
国の制度がしっかりとしていればいいですけれども、県としての必要性についても十分現場の声も吸い上げていただいて、事業の継続だけではなくて拡充という視点で、教育庁にも取り組んでいただきたいと思います。

(2)長期入院する児童生徒への学習支援

最後に、病院に長期入院する児童生徒への学習支援について伺います。

現在、本県で唯一、病弱教育を行う友部東特別支援学校が、県内5つの医療機関(県立こども病院、こころの医療センター、医療大学付属病院、筑波大学附属病院、土浦協同病院)への訪問教育を行っています。心臓疾患や白血病など、突然の病気に苦しむ子どもは決して少なくありません。訪問教育を受けるには、原則として、特別支援学校に転校しなければなりませんが、今年5月時点で、22名の小中学生が病院で学習支援を受けています。一方、義務教育でない高校生への訪問教育は、本県では制度化されていません。実施を願います。

私は先日、県立こども病院の創立30周年(記念式典)に出席し、その際頂いた記念誌に、親の会のお母さんがこう書いています。「闘病中の子ども達は、病院という社会から隔離された環境で日常生活を送ることになります。わが子の病気を治すことが最優先ですが、一方で、できることなら、年齢にふさわしい成長をしてほしいと願っています」と。この願いの一つが学習支援ではないでしょうか。

文部科学省は2013年度、初めて長期入院する子どもの学習実態調査を行い、その結果(2015.5.20発表)、高校生の7割が学習支援を一切受けていないことが示されました。そうした中でも、東京都や沖縄県では院内学級の体制を整え、群馬県や福井県は希望する高校生にも訪問教育を行っています。

また、大阪府や神奈川県では在籍高校に非常勤講師を加配して入院先に教員を派遣する仕組みです。本県で、今後どのように実施できるのか、教育長の所見を伺います。

(教育長)
ご指摘いただきましたように、国の調査によりますと、本県の高校生について申し上げますと、現時点で病気やケガにより年間延べ30日以上欠席した生徒数は、15名おります。その15名のうち、11名は、重症で治療に専念せざるを得ないという状況がございまして、学習指導は行えない状況にございます。残りの4人の生徒につきましては、現在も、近隣の特別支援学校の助言や支援を受けながら、一人一人の疾病やケガの状況に応じまして、病室を訪問したり、あるいは病院内の会議室をお借りしたりしながら直接指導したり、課題やレポートなどを課したり、退院後補習をするなどいたしまして、特別な配慮に基づく対応をしているところでございます。

現在この4人というのは、比較的全国的にも少ない状況でありますので、こうした個別の対応で今対応しておりますけれども、今後対象の増加などを想定した上で、よりきめ細かくしっかりとした体制ができますように、今後、学校と病院、県が連携をいたしまして、長期入院生徒の情報をしっかりと共有できる体制を作っていきたいというふうに思っております。
また、併せまして、長期入院生徒への教育に関して専門性のあります特別支援学校のセンター的機能を活用いたしまして、教員の研修、例えば生徒の心理的な安定や、学習上・生活上の配慮事項、といったことなどを研修でしっかりと教員が学ぶ、といったことで、病気療養児への支援のノウハウを、長期入院生徒の学習指導に生かしまして、学習支援の更なる充実を図ってまいりたいと思います。

また、先程ご指摘いただきました転学の制度の話でありますが、一般に高校におきましては、異なる校種間での転学は、教育課程の違いや単位認定などの面から、いったん退学するという仕組みに本県の場合、なっております。これは要項で定めておりますが、今後は、長期入院をしていて通学ができない生徒のニーズをしっかりと見極めまして、また、希望も把握した上で、現時点ではあまり転学の希望はないと聞いておりますので、今後のそうしたニーズあるいは希望をしっかりと把握した上で、今後その要項をどうやって見直していくのか検討してまいりたいというふうに思っております。

(江尻)
教育長がおっしゃったように、高校生にとって退学・転入というものが一つの大きなハードルになっています。そのため、神奈川県では独自に特別支援学校に転籍しなくても支援ができる制度にしています。それぞれのところで、努力し、知恵を出して実施しており、本県でも教育庁と病院局が一緒になってやれば実現できます。

教育とは、子ども達に希望を与えるものだと思います。学びたいという意欲が、病気に立ち向かう力になると信じています。知事に対しても、困難な状況とたたかう子ども達に希望を与えられる県政を強く望み、質問を終わります。

以上

質問・答弁全文(PDF)