2010年3月議会 代表質問の内容と答弁を掲載します

2010年3月水戸市議会定例会 代表質問   2010年3月9日

江尻加那です。3月水戸市議会定例会にあたり、日本共産党水戸市議団の代表質問を行います。
政権交代後、初めてとなる水戸市2010年度予算案は、引き続く経済不況・失業・生活困窮という市民生活の実態が色濃く反映されています。日本共産党水戸市議団は昨年12月1日、加藤市長に対し2010年度予算に関する168項目の要望書を提出しました。その実現を強く求めるものです。要望書作成にあたり、私たちは市民のみなさんにアンケートを行いましたが、寄せられた650通の回答には、切り詰めた生活の実情や不安のほか、「くらしやすい水戸市にしたい」との要望がびっしりと書き込まれていました。こうした意見・要望をふまえ、市長に質問いたします。


項目

1.子どもの医療費助成制度について


はじめに、子どもの医療費助成制度についてです。本定例会に医療費助成の対象年齢を小学校6年生まで拡大する条例案が提出されました。このことを子育て中のお母さんたちに知らせたところ、「本当に助かる」と喜び、歓迎する声が寄せられました。日本共産党水戸市議団は、これまで独自の条例提案により子どもの医療費無料化を求めてきましたが、共産党の市民アンケートでも「子育て支援で望むこと」の問いに、「子どもの医療費無料化」は2番目に多い回答でした。そこで、以下3点について質問します。
(1)外来及び入院の医療費自己負担への市補助を継続すること
第1に、対象年齢は拡大されますが、その一方で、水戸市がこれまで独自に行ってきた医療費の一部自己負担への補助を廃止するとしています。県の制度では、外来で1回600円、入院で1日300円という自己負担があり、市がその分を補助して実質無料化としてきたことは、独自の子育て支援策でありました。なぜ廃止してしまうのか、これまで通り継続すべきと考えますが、見解を伺います。
(2)県内27自治体が所得制限を廃止しており,水戸市も廃止すること
第2に、所得制限があるため3割の子ども-小学校6年生までとすると約9,000人もの子どもたちが医療費助成を受けられません。その所得基準も決して高いものではなく、年所得393万円という厳しい制限です。こどもの医療費への直接的な支援なのですから、どの子どもに助成すべきではないでしょうか。県内では27市町村が所得制限を廃止しています。水戸市でも廃止する考えはないのか、見解を伺います。
(3)県内で11自治体が対象年齢を中学校3年生までとしており,水戸市でもさらなる拡大をめざすこと
第3に、対象年齢のさらなる拡大をめざすことです。土浦市や鹿嶋市、那珂市など県内11市町村が、すでに中学校3年生まで拡大しています。愛知県犬山市や長野県木曽町では、高校3年生までとしています。水戸市でも当面中学校卒業までの拡大にむけ、今後も積極的に取り組んでいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

【市長答弁】
日本共産党水戸市議団を代表されましての江尻議員の御質問にお答えいたします。
はじめに,子どもの医療費助成制度についてでありますが,今回の改正は, 0歳から小学校6年生までの子育て世帯の医療費負担の軽減を図るという視点から見直しを行ったものであり,これまで妊婦健診の助成制度の拡充を図ってきたことや,マル福の対象を小学校 6 年生まで拡大すること,さらには,受益に応じた適正な負担など,総合的な視点から,一部自己負担の助成については廃止することとしたものであります。
また,所得制限につきましては,現在,県制度に基づき実施しており,約 3割の方が非該当となっておりますが,市独白に所得制限を廃止することは現下の厳しい財政状況の中では,難しいものと考えております。
さらに,中学校 3 年生まで対象年齢を拡大することにつきましては,今後,県の動向を見極めながら,調査検討してまいりたいと考えております。


2.就学援助制度について


次に、小学校や中学校に通う児童生徒への就学援助制度について教育長に伺います。
貧困と格差の拡大が子どもにも深刻な影響を与えている下で、学校教育法に基づく学用品費や給食費、修学旅行費等への経済的援助を必要とする子どもは、水戸市でも確実に増えています。日本の子どもの貧困率が14.2%という状態にあることを政府は昨年初めて認めましたが、これを水戸市にあてはめると約3,000人の小中学生が貧困状態にあることになります。一方、水戸市で就学援助を受けているのは、全児童生徒の7.06%、1,513人で半分です。まだ1,500人の子どもが援助を受けていないと考えられます。事実、7.06%という水戸市の就学援助率は全国平均の半分です。
ある小学校では学校指定の体操服が夏冬上下で7,500円、上履きが1,650円、ピアニカは5,000円、給食費が毎月4,300円、中学校になれば修学旅行の積立金が毎月6,000円。決して少ない額ではありません。家庭によっては、こうした出費が家計の大きな負担になっており、これらを補助する就学援助制度の活用が求められています。
(1)対象となる収入基準を生活保護基準額の1.2倍未満とした根拠
教育委員会は昨年12月、就学援助の実施要綱を策定して、対象とする家庭の収入基準を初めて定めました。それを「生活保護基準額の1.2倍未満」としていますが、その根拠をお答えください。
(2)収入基準を引き上げ,経済的理由で就学が困難となる児童・生徒を生まないこと
そして、現在援助を受けている1,513人のうち、3割に当たる約450人がこの基準を超え、民生委員の家庭調査を受けているとお聞きしましたが、多くの子どもの援助を打ち切ることは許されません。生活保護費のわずか1.2倍とする基準が低すぎます。
小学生の子ども2人がいる母子世帯の場合、年間収入がわずか262万円で1.2倍を超えてしまいます。子どもの貧困を研究する札幌学院大学の松本伊智朗教授は、貧困ラインは生活保護基準の1.4倍としています。水戸市の基準をせめて1.4倍に引き上げること。また、これまで就学援助を受けていた家庭には引き続き援助を行い、経済的理由により学校生活が困難とならないよう教育委員会の対応を求めますが、見解を伺います。

【教育長答弁】
江尻議員の代表質問にお答えいたします。
はじめに,就学援助制度につきましては,昨年1 2 月に,水戸市就学援助実施要項を制定しておりますが,水戸市の実情に応じた認定基準を設けるため,平成2 1年度に認定された世帯の収入額と,生活保護基準額との比較・検討を行いながら,認定された世帯の多くが該当する生活保護基準額の1.2倍未満という一定の収人基準を設けました。
また,実施要項には,収入基準を超える世帯であっても,特別な事情がある場合には認定を行うことも盛り込んでおり,保護者の就労状況や家族構成,生活実態など,民生委員の家庭訪問による調査をもとに総合的に判断しながら,経済的理由によって児童生徒の就学が困難にならないよう,就学援助制度の趣旨に基づき,適切な運用に努めてまいります。


3.雇用対策について


次に、市の雇用対策について質問します。子育て家庭を含め、安定した雇用と賃金が何より求められています。共産党の市民アンケートでも、くらしが苦しくなった原因として、「不景気による仕事や売上の減少」や「職場が倒産して転職し賃金が下がった」、「正職員から派遣パートになった」などの声が多く寄せられ、仕事を見つけることが本当に大変になっています。現在の経済状況からみると、自治体における公的な雇用を増やすことも重要になっています。
(1)緊急雇用創出事業について
そこで、今年度、市が計画した緊急雇用創出事業、及びふるさと雇用再生事業による雇用実績はどうだったのか。就労・失業対策として市はどのように評価しているのか、市長の見解を伺います。また、これら国の雇用対策事業は、安定した就労がみつかつまでのつなぎ雇用という位置づけのため、2~3カ月程度の雇用が多く、継続した就労を望む失業者の実態には合わない実情があると考えるのですが、雇用期間や要件など事業に対する市としての意見・要望等も合わせてお答えください。
新年度、水戸市が雇用する予定の116人の中には、雇用期間がわずか2日間と極めて短い歩行者通行量調査33人も含まれています。一方で、公立保育所で保育士を13人、内原図書館の司書として7人、さらには、障害者の授産製品の受注・販売強化のために2人を雇用します。いずれも国の対策事業による雇用期間はあと2年ですが、国事業が終了したからといって打ち切れる業務ではないと考えます。そこで、水戸市にとって必要な業務については、市独自に継続して雇用するよう求めますが、いかがでしょうか。
(2)市の臨時職員の処遇改善について
次に、市が雇用している臨時職員のうち、給食調理員の処遇改善について伺います。子どもたちに安全でおいしい給食をつくるため、毎日、学校や共同調理場で働く調理員は正職員が94人、臨時職員が95人で、臨時の調理員は時給890円で働いています。夏休みなどを除く就学日には毎日出勤し、年間約10カ月働いていますが、雇用期間が学期ごとに切られるため、有給休暇も雇用保険もなく、ボーナスも昇給もありません。正職の調理員と比べ1日45分勤務時間が少ないだけで、ほぼ同じ仕事をこなしているにもかかわらず、月額の手取りは約10万円と、処遇には大きな格差があります。学期ごとに雇用が切られますが、実態は年間を通した雇用であり、有給休暇と雇用保険加入を適用していないのは問題です。政府の雇用保険法改正案では、31日以上継続雇用すれば雇用保険への加入が義務付けられます。直ちに雇用保険への加入と有給休暇の適用を求めますが、見解を伺います。
さらに、地方公務員法第22条では、臨時職員について緊急、臨時の場合としているのであり、毎日の給食提供に欠かせない多くの調理員を、臨時パートとして雇用を繰り返すのではなく、法の趣旨に沿って正職員に切り替えるよう求めます。

【市長答弁】
次に,雇用対策についてのご質問にお答えいたします。
緊急雇用創出事業の実績状況と評価につきましては,平成 21年度は,「緊急雇用創出事業」及び「ふるさと雇用再生特別基金事業」 の両事業あわせて 20 事業,事業費約 8 千 800万円で,128 人の雇用を創出してきたところであります。
平成 22年度におきましても,引き続き雇用対策事業として,新たに開始する「重点分野雇用創造事業」 を加え,全体で 20 事業,事業費約 2億2 千 500 万円の予算化を図り,116 人の雇用を創出してまいりたいと考えております。
これらの事業評価につきましては,雇用情勢が悪化する中で,雇用機会の確保という観点から有効な施策であり,一定の成果はあったものと考えておりますが, 3年間の実施期間がございますので,今後さらに検証してまいりたいと思います。
また,事業運営に対する改善意見につきましては,昨年10月より, 事業費に占める人件費の割合や失業者割合など,国の定める雇用要件が緩和されたところでありますが,今後,雇用対策事業を実施するに当たり,さらなる要件緩和等が必要と考えられる場合は,本市といたしましても,茨城県を通じて国へ要望してまいります。
さらに,緊急雇用創出事業等において雇用期間が終了した方々を市として継続雇用することにつきましては,本市の業務全般の中で検討してまいりたいと考えております。

【教育長答弁】
次に,雇用対策のうち,市の臨時職員の処遇改善についてお答えいたします。
現在,市の臨時職員のうち学校給食調理パートにつきましては,業務内容から学期ごとに雇用しておりますが,雇用期間が短期のため,雇用保険の適用範囲を満たさないとともに,年次有給休暇の付与条件を満たしていない状況にあります。
雇用保険につきましては,今年4 月からの雇用保険法の改正により,適用範囲が「 6 カ月以上の雇用見込み」 から「3 1 日以上の雇用見込み」へと拡大される見通しであることから,学校給食調理パートについても雇用保険に加入してまいります。
また,学期ごとの雇用形態につきましても,第2学期から第3学期まで継続して雇用することに変更し,年次有給休暇の付与条件を満たした場合には,勤務実績に応じた年次有給休暇を付与するなど,学校給食調理パートの処遇改善を図ってまいります。


4.国民健康保険について


(1)保険証の交付について
次に、国民健康保険について質問します。
昨年、小中学生の子ども2人と暮らすある母親から相談が寄せられました。先天性の障害をもって生まれてきた長男の手術と都内への通院のために仕事を辞めざるを得ず、2004年から国保税が払えなくなりました。収入がないのに国保税が課税され、18万円の未納分に加え、延滞金だけで52,300円の督促が何度も通知されました。昨年は、月7万円のアルバイト収入では滞納分を含めた国保税は到底払えず、市役所が親子3人分の短期保険証を窓口に留め置いたため、障害を持つ子どもを病院にも連れて行けないというところまで追いつめられました。払えるお金がなく、市役所に来れない市民の気持ちがわかるでしょうか。その後、勇気を出して母親自ら市と交渉し、共産党市議団も国の法改正にのっとって中学生以下の子ども全員に保険証を交付すべきと訴えて、市はようやく11月に交付したのです。払いたくても払えない、障害をもつ子どもがいる家庭にまで保険証を渡さないようなことがあっていいのでしょうか。
市は昨年4月、国保税を5期以上滞納した7,210世帯に6ヶ月間しか有効期限がない短期保険証を発行しました。10月の保険証切り替え時で、3,454世帯もの短期保険証を市役所窓口に留め置いたことが、11月27日の参議院厚生労働委員会で日本共産党の小池晃議員が質疑で取り上げられました。小池議員が「事実上の無保険」と指摘して全国的な調査を求めたのに対し、長妻厚生労働大臣は「まず茨城県の状況を詳しく分析する」と答え、この大臣答弁を受けて12月4日に厚生労働省が水戸市を調査。その結果によって12月16日に「保険証の留め置きが長期間に及ぶことは望ましくない。速やかに手元に届けるよう努めること」との通知を全国市町村に出したのです。私たち共産党市議団が12月25日に厚生労働省と交渉した際に、水戸市を調査したという厚生労働省保険局国民健康保険課の担当官本人に対応をただしたところ、「通知に基づいた対応を市町村にお願いしている」と答えました。もかかわらず、その水戸市が1月になっても2,200世帯の短期保険証を留め置き、実質無保険状態としたのは国の方針にも反するものであり、ただすべきであります。
共産党市議団は、子ども以外の未交付世帯についても直ちに保険証を郵送するよう1月20日に市に申し入れましたが、その後の状況をお答え下さい。また、この4月の保険証切り替えにあたり、加入者全員に保険証と郵送交付するよう求めますが、市の考えを伺います。
(2)年所得の1割をこえる高い国保税は値下げすべき
共産党の市民アンケートでは、実に78%の市民が国保税が高いと答えています。市の試算でも、年所得300万円の単身世帯で299,900円もの国保税。年所得300万円の4人家族では361,400円もの国保税であり、年所得の1割を超えています。これが払える国保税の水準でしょうか。新年度に向け、市はいったん値上げを検討したものの、結果として据え置くことを決めたようですが、必要なのは国保税の値下げであります。
(3)生活実態に合った減免と分納を認めること
そして、失業や売上の減少等により所得が大幅に減った場合には、適切に減免の手続きを行って滞納にならないようにすること。14.6%もの延滞金は減免し、生活実態に合った額での分割納付を認めることです。昨年11月、市は分納額の引き上げを迫る通知を市民に送り、その中で分割納入中であっても、事前予告なしに差し押さえを執行するとしました。支払い困難な高い国保税を課し、市民の財産を奪っていいのでしょうか。
(4)国庫負担の大幅な増額を求めること
国保の加入世帯は、年金生活者や個人事業者、農業者、さらには非正規労働者や失業者が増え、多くが低所得や高齢で他の医療保険に入れない人たちの医療保険になっています。市民にこれだけ重い負担を強いながら、市の国保会計が悪化した原因は、国が国庫負担を引き下げ続けてきたことにあります。1984年まで自治体の国保会計の約50%を占めていた国庫負担が、今や25%・約半分に下がり、その結果、保険料は値上がりし続けています。国の新年度予算案において、国保税軽減のために増やした国庫負担はわずか40億円ですが、民主党は野党ときに9000億円を市町村国保に財政措置すると言っており、国庫負担の大幅な引き上げを政府に強く迫ることです。

【市長答弁】
次に,国民健康保険についてお答えいたします。
国民健康保険制度の財政は,医療費等の支出額に対し,被保険者に負担していただく保険税収入のほか,国庫支出金や県補助金,般会計繰入金などの財源によって賄われております。近年,医療費が年々増加する一方で,最近の景気の悪化等により,低所得者の加入割合が増加し,また,後期高齢者医療制度が施行されたことも影響して,平成 20年度の現年度の収納率が大きく低下し,国保会計の赤字額がさらに拡大している状況となっております。
このような中,本市においては,今後,収納率向上に最大限の努力をするとともに,医療費適正化による歳出削減にも努めていくこととしておりますが,国保制度そのものにも問題点があるというのが率直な感想であります。
したがいまして,国においては,平成22年度から市町村国保の都道府県単位化の環境整備を進めることを予定しておりますので,これらの動向を見極めるとともに,他の社会保障制度の改善とあわせて,私が会長となっております全国特例市市長会を通しながら,国の責任について訴えていきたいと考えております。

【保健福祉部長答弁】
江尻議員の代表質問のうち,国民健康保険についてお答えいたします。
はじめに,保険証の交付についてでありますが,短期保険証につきましては,滞納者との接触の機会を設け,その際に納付指導を行うことを目的に,原則として窓口交付扱いとしているものですが,2 1年度の短期保険証につきましては,2月5日をもって全世帯に交付したところでございます。また,新年度の短期保険証の交付に当たりましては, 2 1年度と同様, 5期以上の滞納がある方を対象に交付することで現在作業を進めているところであります。
次に,国保税の値下げについてでありますが,本市の国保財政においては,累積赤字が増加しているなか,赤字補填のため一般会計から繰人を行っている状況であり,現状では値下げを行うことは困難であると考えております。
また,国保税の減免及び分納についてでありますが,国保税の納付が困難な方に対しましては,生活の状況等を踏まえながら,納付方法等の相談に応じているところであります。


5.後期高齢者の健康診査について


次に、後期高齢者の健康診断について質問します。鳩山内閣は後期高齢者医療制度の廃止を4年後に先送りするとし、その口実としている「新しい制度」の素案として3月7日の各種新聞で報じられているのは、「65歳以上は市町村の国保に加入させるが、現役世代と別勘定にする」というものです。「75歳以上」の差別医療を「65歳以上」に広げるのは、「姥捨て山」の拡大ではないかとの批判がすでに出ています。廃止を先送りしたために、現行の制度のもとで、今年4月からの保険料値上げが検討されました。共産党市議団は今年1月、県内の党議員とともに、茨城県広域連合に対し「基金を活用して保険料を値上げするな」と申し入れを行い、8,000名の値上げ反対署名を提出しました。結果、広域連合は32億円の積立金を全額取り崩し、保険料の据え置きを決めました。値上げをストップさせたことは世論と運動の大きな成果です。一方で、基金が32億円もあったということは、受診抑制により医療費が当初見込みより少なかった。高齢者が病院にかかりづらくなっているということです。
(1)健康診査受診率の実績に対する見解及び診査項目の拡大について
健康診断についても、県広域連合の受診率の目標は25%でしたが、水戸市の受診率は昨年度も、今年度も約18%と低いままです。この受診率結果を市はどのように考えているのか。今後、受診率を高める方策として、他の自治体でも行っているように、市独自に健診項目を上乗せして、75歳上の健診項目からはずされた貧血検査や心電図検査、眼底検査などを実施するよう求めます。
(2)人間ドックへの補助拡充について
また、一度廃止したのち復活させた75歳以上の方への人間ドックの補助について、今年度の実績、及び新年度の予算では何人分の補助を見込んでいるのかについて、合わせてお答えください。

【市長答弁】
次に,後期高齢者の健康診査についてお答えいたします。
まず,高齢者健康診査の受診率についてでありますが,平成21年度の受診率は,前年度とほぼ同程度の17~18%と見込まれます。この受診率につきましては,県平均の15%を若干上回っている状況であります。
診査項目の拡大についてでありますが,高齢者健診は茨城県広域連合が指定する健診項目によって,各市町村に委託されている事業でございますので,ご理解いただきたいと思います。
また,人間ドックの補助につきましては,平成21年度は160名,平成22年度は20名増やし,180名を予定したところであります。
今後とも高齢者の健康診査について周知を図り,健康の維持増進に努めてまいりたいと考えております。


6.公共交通活性化について


(1)バス交通実態調査の内容と目的について
次に、公共交通対策について市長の考えを伺います。中心市街地の活性化や、高齢者など交通弱者の移動確保策、CO2の排出削減など、どの課題にもかかわる公共交通のあり方について、市民の関心が広がり、取り組みも始まっています。茨城交通が高齢者の身近な足にと、下市・城東地区で買物バスの運行を計画するなど、事業者と市民、行政が一体となって、利用しやすく、魅力ある公共交通をつくっていく機運が高まっています。そこで、新年度予算化された「バス交通実態調査」(予算370万円)について、調査の内容と目的をお答えください。
(2)バス路線廃止地域におけるデマンドタクシーの運行を含めた市民の移動確保策について
また、バスに対するニーズや実態調査を実施すると同時に、路線バスがすでに廃止された地域や、もともとバス路線がない地域をどうするかという対策が求められていると思います。共産党の市民アンケートでも、公共交通について1番の要望は「バス路線の確保」で、2番目が「デマンドタクシーの実施」でした。デマンドタクシーの要求は、バス利用が望めない地域、例えば山根・国田・常澄地区などの住民ほど高く、とくに高齢者が病院に行くのにも、市役所に来るのにも不便をきたしており、早急な具体化が必要と考えますが、見解を伺います。

【市長答弁】
次に,公共交通活性化に関するご質問にお答えいたします。
はじめに,バス交通実態調査についてでございますが,本市におきましては,市民の日常生活を支える交通手段として,また,地域活力を支える社会基盤として,路線バスが重要な役割を果たしておりますが,車社会の進展や少子化等の影響により,利用者数は減少傾向にございます。その結果,減便や廃止がなされるなど,一部の地域におきまして,車の運転ができない高齢者など,いわゆる交通弱者の皆様の交通手段の維持確保が課題となってきております。
こうした課題解決のためには,交通に関する地域の課題やニーズを十分に把握することが必要であることから,来年度,バス交通実態調査を実施するものでございます。
具体的には,路線バスに関する各種データを整理し,運行状況や利用状況を把握するとともに,路線バスが運行されていない地域も含め, 市民アンケートを実施し,ニーズの把握,分析等を行うものであり,個々の調査項目について,早急に詰めてまいりたいと考えております。
次に,デマンドタクシーの運行等についてでございますが,暮らしやすい魅力ある都市づくりを進めるためには,路線バスが廃止となった地域などにおきまして,現在取り組んでおります外出支援施策等に加え,一人暮らしの高齢者などの移動を支える,新たな交通手段の検討が必要であると認識しております。
そのような中,本市におきましては,路線バスやタクシー等の公共交通に恵まれた特性を有しておりますので,単に先進事例を踏襲するのではなく,路線バスを基幹とした,本市にふさわしい,持続的な公共交通のあり方を構築することが重要だと考えております。
したがいまして,ご提案のありましたデマンドタクシーにつきましては,路線バスを補完する新たな交通システムのひとつとして,バス交通実態調査の結果に加え,受益者負担のあり方や他の交通事業者との連携方策など,様々な条件を十分に把握した上で,組み合わせを考え,今後,持続可能な公共交通体系の構築に向けた検討を進める中で,導入の可能性について研究してまいりたいと考えております。


7.大工町1丁目再開発事業について


(1)「特定業務代行方式」による事業への業者の申込状況と今後のスケジュールについて
最後に、大工町1丁目再開発事業について質問します。
再開発組合は、事業をまるごとゼネコン等に委託する「特定業務代行方式」に変更すると昨年9月に決定し、今年1月に建設業者を公募する説明会を開きました。2月15日の締切日までに、業者からの申し込みはあったのか、なかったのか。あったとすれば何社申し込みがあったのか、明らかにして下さい。最終的に1社を決定するまで申し込み状況は公表しないと言っていますが、39億円もの税金を投入する公的意味合いが強い事業であり、市民への徹底した情報公開と事業の透明化を図るべきです。また、来年度はどのような事業スケジュールを見込んでいるのかについても合わせてお答えください。
(2)2010年度予算について
新年度予算案の中で、ついに大工町1丁目再開発の事業費予算がゼロになりました。今年度計上された7,290万円の予算が1円も執行されなかったことからすれば、当然の措置であります。一方、再開発事務所経費として、今年度と同じ5千万円の予算が職員5人の人件費等として計上されているのは納得できません。すすめる事業費はゼロなのに、何の業務をするための予算なのか、市民の理解が得られるでしょうか。市長の見解を伺います。
(3)都市再開発法について
共産党の市民アンケートで、「事業を中止して再検討すべき」と答えたのが76%にのぼりました。「何年たってもできなければ、やめたほうがいい」という声や、「国が公共事業を見直しているんだから、水戸市も見直すべき」という市民の意見です。ある商店主の方は、「ホテルやマンション、業務ビルという計画が、本当に今の時代にふさわしいか。子どもや孫たちに誇れる街並みになるか非常に疑問です」としたうえで、「これ以上工事の着工が延びれば、商店街は悲惨な状況になる。出来ないのなら早く組合を解散して、別の方法を探るべきだ」と危機感を募らせています。
市は、都市再開発法により、権利変換が行われた後は、施工者は必ず事業を完成させなければならないんだと説明していますが、全国各地で同じように再開発事業が前にも進めず、後にも引けずに立ち行かなくなっています。昨年8月10日の日本経済新聞は、「再開発が計画段階で破たんするケースも現れた」として、「三重県松坂駅西地区市街地再開発準備組合は津地裁が破産手続き開始を決めた」と報じています。こうした現状を考えれば、1969年制定から40年経つ都市再開発法を時代に即した形に見直す等、国として何らかの手立てが必要との認識を市長はお持ちにならないでしょうか。先日の記者会見で、市長は特定業務代行者が決まることを期待していると述べましたが、市長の期待だけで市民が納得するような状況ではありません。
(4)市民や商店街の意見・要望を広く聞き,計画を見直し,再検討すること
多くの市民は今のような空き地のままでは困ると思っています。今や大工町だけではありません。駅前リビン跡地、ユニー跡地、旧京成百貨店跡地と、中心部にある広大な空白を何とかしなければと思っている市民や商店主の思いをまちづくりに生かすことです。  「中心街での買い物が不便なので、駐車場付きのスーパーがほしい」といった声や、「わんぱーく・みとを卒業したくらいの学齢期の小中高校生が学び、遊び、交流できるような場が必要になっているのでは」という意見等、市民目線で事業を見直すことです。現行の再開発事業計画に固執するのではなく、こうした市民や商店街の声にも耳を傾ける姿勢を求め、市長の見解を伺います。

【市長答弁】
次に,大工町1丁目地区市街地再開発事業について,お答えいたします。
本事業は,過去2度の工事入札不調の結果を踏まえ,事業を取り巻く社会・経済情勢の変化にも十分対応できるよう施設規模の見直しを行ってきたところであり,さらに,より確実な施工業者を確保するため,「特定業務代行方式」を活用することとし,再開発組合において,本年1月に公募を開始いたしました。
現在,募集期間中にあり, 3 月下旬に応募を締め切った後,応募者の資格審査等を行い, 4 月中旬には特定業務代行者を決定する運びとしております。その上で,速やかに実施設計に着手するとともに,事業スケジュールの詳細を確定していくこととしております。
次に,平成 22年度における泉町・大工町周辺地区開発事務所の予算につきましては,大工町1丁目地区及び泉町1丁目北地区の再開発事業を推進していくため,必要となる人件費等を計上したものであります。この事業は,中心市街地の再生と賑わい創出のため,極めて重要な事業と考えておりますので,引き続き,積極的に支援してまいります。

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